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93・理解の外にある未来②

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 蒼貴妃は。勿論、全く何のお咎めもなしにというわけにはいかなかった。
 しかし全ては後宮内でのこと、加えて、調べを進めたところ、決定的に害された者・・・・・・・・・などは結局おらず、小美シャオメイに盛られた毒も、そう大きな効果のある物ではなかったのだとか。
 そうなると必然、蒼公主や蒼家そのものには表向き大きな罰などは与えられず、蒼貴妃も後宮の閉鎖より一足早く、蒼家で蟄居することとなっただけであるらしい。
 小美に盛られた毒も、そう大きな効果のある物ではなかったのだとか。
 とは言え、蒼家内で主家の交代が起こる可能性すらあり、蒼家内だけで言うと、しばらくは少しばかり落ち着かないかもしれないとも教えられている。
 小美はおそらくはそれには関われず、ただ翔兄シァンシォンや他、周囲から教えられることとなるのだろう。
 もっとも、関わりたいと思っているわけでもないのだけれど。
 後宮を閉鎖するという話にも間違いはないので、色々と準備があり、リァンとしてでさえ、昼間、小美の側にいられなくなっていっていたのだとか。
 ルイは正しく護衛で、今後長く付き合っていくことになるだろうとも聞いていた。
 なお、後宮の閉鎖は当然、今日明日すぐに、というわけにはいかず、半年後を目処に予定されているらしい。

「それぐらいがギリギリ・・・・なんだよ」

 とのこと。
 なお、何がギリギリなのかというと……――つまり、小美側の事情である。
 ああ、本当に、いったいどんな事情があったというのだろう。

「ねぇ、翔兄。妾の閨教育・・・は、翔兄が請け負っていたのだそうですわね。なのに、なぜ妾は知らないままだったのかしら」

 正后曰く、他でもない翔兄が他者から教えるなんてと、頑として拒んだのだとか。自分が責任を取る・・・・・からと、それに関してだけを請け負った。
 いったいどういう意味で・・・・・・・責任を取るつもりだったのか。
 小美はこればかりは、翔兄を詰らずにはいられなかった。
 だって、そうでもなければ、どうしてこんな。こんな。

「翔兄。妾は本当に知らなかったのですよ? なのに、こんな……こんな」

 思わずそっと、下腹部に手を置いた。
 自分で、気付けなかったことが不思議だ。
 思い返してみれば、結果など疾うに、わかっていたはずなのに。

「小美……でも、君が望んだんだよ? 君だってわかっているだろう? 君自身が望まなければ・・・・・・、結果は伴わない。僕だけ・・がどれほど望んだってね」

 そう言われると、小美に返す言葉などなく、けれど、と、つい、言い訳じみた言葉が零れ落ちてしまう。でも。

「妾は……夢だと。だって。だって、そうでしょう? 翔兄は長く、妾の元へはいらして下さらなかったし、だから」

 てっきり夢だと思っていた。
 夢だったから、望むことが出来たのだ。
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