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*27・いつかの夜③
しおりを挟む触れる、というのはどういうことなのだろうか。小美はよくわからないまま、翔兄の手を拒まなかった。
翔兄は小美の身に着けていた寝間着を脱がせにかかった。
お風呂に入るわけでもないだろうに何故なのか。
小美の体は幼い。年は今、12。もうじき13歳になるのだけれど、見た目は決して、10を超えているようには見えなかった。精々が8つか9つぐらいだ。
そんな子供の体を見て、翔兄はいったい何がしたいのか。
どうしてか、体が熱くなっているのが、小美に触れると治るのだと言っていた。なら、それを治すために触れたいのかもしれない。触れるというのは、裸でなければならないのだろうか。だから今、服を脱がせたのか。
翔兄におかしな所は見られない。いつも通りの翔兄だ。優しく、小美に微笑みかけてくれている。小美はそんな翔兄にほっとした。
裸を晒すこと自体に抵抗はない。だって幼少期より共に育ったのだ、一緒にお風呂に入ったこともあれば、並んで寝入ったこともあり、当然、互いの裸など、幾度も目にしたことがあった。
ただ、少し見ないうちに翔兄はとても逞しく、大人の男性に近づいていて、なんだか少しだけ気恥ずかしいような気持ちにはなる。
小美は変わらないのに、翔兄は変わっているのだ。
「翔兄、翔兄、本当に妾に触れると、熱いのは治るのですか?」
今、自分に触れているのはそのため?
さすっと、小美の色々な所に触れてくる翔兄に、躊躇いがちに尋ねた小美は、なんだか不安な気持ちになって翔兄を見上げた。
翔兄は頷く。
「うん、その通りだ。こうして小美に触れていると、僕はとても幸せな気持ちになるんだ。小美は凄いね。僕をとても満たしてくれる。小美」
そう言いながらまた、小美の顔中に唇を落とした翔兄は、さっきよりも更に熱くなっているような気がした。
次第に、翔兄が触れたところから、小美もなんだか熱くなってくる。
「翔兄、翔兄、なんだか妾も熱くなってきたんです、どうして」
初めての感触に戸惑う小美に、翔兄は笑って、
「なら、僕と一緒だね、小美。お揃いだ」
そんな風に告げてきた。
お揃い。
それはとても心躍る響きで、嬉しくなった小美は、もっと翔兄に触れて欲しくなって、そして。
「翔兄、翔兄、どうしてそんな所にまで触るんです? そこは汚いですよ?」
流石に、足を大きく広げられて、その間に触れられた時は、どうしてと、口にしていた。でも。
「ここ触れるのが一番なんだ。汚いからこそかもしれないね。お互いの熱がもっと上がって、そしてお互いの熱が収まる場所だよ。小美。僕に触れられるのは嫌かい?」
翔兄が言うから、そんなものなのかと思う。それに翔兄に触れられるのは少しも嫌ではなかった。少しだけ恥ずかしいような気はしたけれど、嫌なわけではなく。
だから、翔兄は小美の汚い所にまで全部触れて、そのうち体の中にまで触れて、触れるものは、翔兄の手から、他の部分にまで変わった。
翔兄が触れるのは気持ちいい。
初めは、ビリビリしたりするような変な感じばかりだったけれど、それが気持ちいってことなんだと教えられ、熱くなるのを治める為にもそれが必要なのだと告げられた。
小美と翔兄の仲が良い証。特別な仲良しだからこそできること。
他の人には言ってはいけない秘密。
特に翔兄の手じゃない所を、小美の体の中に入れられた時には、翔兄の魔力まで小美の中に入ってきてしまって、それをどうにかしないと秘密ではなくなってしまうとも言われ、小美はお腹の中に入ってきた翔兄の魔力を、集めてくるんと自分の魔力で包むことまで覚えてしまった。
そんな触れ合いは月に1度より多い頻度でずっと続いていて、小美はもしかしたら自分も翔兄も同じ病気になっているのかもしれないと思っている。
触れ合わないと治らない病気。でも、触れ合ったら治まる病気なのだ。
そうして、いつかの夜から、ほんの半年ほど前まで。途切れることがなかった触れ合い。
だから小美は翔兄と、夜にならあったことがあったのだった。
半年も触れていないけれど、翔兄は大丈夫なのだろうかとちらと思う。でも。
小美はこの半年ほどですっかり変わってしまった。
だからもしかしたらもう、翔兄を治すことが出来なくなってしまっているのかもしれなかった。
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