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7・遅い成長と髪と目の色

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 小美シャオメイは成長が遅かった。
 二十を超えてなお、否、ほんの半年と少し前まで小美はどう多めに見積もっても、12か13ぐらいにしか見えない、子供のような見た目をしていたのである。
 勿論、頭脳や教育までが幼かったわけではなく、あくまでも見た目のみではあったのだが。
 いや、もしかしたら情緒面、心理的なものが作用していたのかもしれない。
 なにせその時まで小美は、大人になどなりたくない、出来るだけ子供のままでいたいと願っていたので。正しくは、周囲にそう望まれていると考えていた。
 幼く、可愛らしいままでいれば、誰の脅威にもなり得ない。
 皇帝の渡りが一度もないことだって、幼いからだと言い訳が立った。
 親というものは子供に、いつまでも子供のままでいて欲しいと願うことがある。
 それは皇帝と正后もそうで、可愛い可愛いと、可愛がることを出来る分だけ可愛がってくれた。
 小美よりいくつか年下であった両陛下の実子である皇女が、見た目だけなら小美を抜かしていってさえそうで。
 否、だからだろうか。

「まったく。あの子たちときたら、もう育ち切ってしまって、かわいくないばかりなのよ。その点、小美はいつまでも幼くて」

 正后がそう、小美をほめそやす度、それらは呪いのように、小美の上へと降り積もっていったのかもしれない。
 とにかく、小美の見た目はいつまでも幼いまま育たず、それでいいと、小美本人も周囲もまた、考えていたのである。だけど。
 少女だっていつまでも子供ではいられない。
 自分の恋心を自覚したのならばなおさらだ。
 小美が見た翔兄と朱貴妃は、本当によく似合っていた。
 翔兄は青い髪と琥珀色の瞳をしている。
 琥珀色、つまり輝かんばかりの金色の瞳は、皇族によく現れる色で、歴代皇帝の大部分はこの色の瞳を持っていた。とは言え、もちろん、皇族以外に同じ瞳の色の者が出る場合はあり、それは主に、皇族が過去降嫁したことの多い四家の者がほとんどで、白家出身の小美も、実は同じ色の瞳を持っている。
 皇家に多い琥珀色だ。
 その所為で小美は本当に幼い頃、確か5歳になる頃ぐらいまでは、自身は正しく翔兄の同父母兄妹だと認識していた。それが間違いだったと知ったのは、さて何がきっかけだったことか。それはともかく。
 朱貴妃は赤髪に赤い目をしている。
 赤は朱家によく出る色合いだった。
 とは言え、もちろん、瞳はともかく髪に関しては、深く、暗く艶やかな色で、鮮やかな赤髪というわけではない。それは勿論、翔兄も同じで、濃く、闇に近い青い髪なのである。
 ここ、華国では黒に近い髪色で、なのに魔力を豊富に持っているというのが、尊ばれる特徴だった。
 本来魔力は多ければ多いほど、髪や瞳の色が薄まる。反対に、魔力が少ない分だけ、それぞれの色が黒に近づいた。
 そんな摂理に反する存在であること。それが華国では尊ばれるのだ。
 反して、小美の髪は、白髪のような銀色なのだった。
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