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3・王宮にて
*3-10・誘われるよう、中へ
しおりを挟む「ぁっ、ぁっ、ぁっ、」
ティアリィの体内を探る僕の指の動きに合わせて、小さく声を上げ続ける彼が、かわいくて仕方なかった。
僕は夢中で彼を追い詰め、追い上げる。
「あっ!」
ティアリィの様子を見ながら三本まで増やした指で、特に反応のいいところは執拗に刺激した。体が、熱い。ティアリィの、こんな姿を見ているだけで、歌詞が張り詰め、はち切れそうだ。
興奮で脳が茹るかと思った。必死で理性をかき集める。ともすれば乱暴になりそうな指の動きにも、出来るだけ気づかいを込めて。ティアリィには快感だけを感じてほしい。お互いに初めてのこんな行為に、不安や恐怖や痛みなどを差し挟みたくなかった。ティアリィには何も、辛く思ってほしくなかった。だから慎重に、慎重に。見逃さないように彼を見つめ続けて。
すっかり蕩けきったティアリィが、びくっ、体を震わせて、とぷと彼自身から白濁を吐き出した。そこにはほとんど触れていなかったのだけれど、肌と中への刺激だけで、ティアリィはそんなにも感じてくれたのか。
ぬち、湿った音が指を追い、熱い媚肉が縋るように絡みつくのを振り解いて、くいとひっかくようにして、ティアリィの腹へと埋めていた指を引き抜いた。
「あっ」
そんな刺激にも高く声を上げるティアリィから目を離さずに、ティアリィのそれをにゅるりと握り、垂れていた白濁を指で拭う。
くす、思わず漏れた小さな僕の笑い声につられてか、ティアリィがぼんやりと滲んだ眼差しで僕の方を見た。だから僕は見せつけるように、指に絡む白い液体を舌を伸ばして舐めとっていく。苦いはずのそれは、なのにどこか甘く喉に絡んで。ごくん、味わって呑み込んだ。
「ん……流石に、魔力は薄いね」
ティアリィが、まったく意識していなかったからだろう、こういった体液には通常ある程度の濃さの魔力が混じるはずなのだが、僕の中に流れ込んだ魔力は、汗や涙と同じ程度には薄かった。
少しばかり残念に思う。彼の体液ごと、魔力の味も存分に味わいたかったのに。これだと先程のくちづけの方が濃いぐらいだ。
「まぁいいか」
それは今度で。
呟いて、改めてティアリィを見下ろした。快楽に火照り、熱を灯して。赤く色づいた肌を荒い息のまま上下させ、潤みきった瞳でこちらを見上げてくる。
滴るようにあふれ出る色っぽさに、下肢に集まる熱がとどまる所を知らなかった。
ああ、早くと焦る。
早く、早く、この肢体に溺れたいと。
情動に赤く明滅するような頭を必死に堪えて、ティアリィの其処へと再度、指を伸ばしていった。
ぬちゅ。魔術を、指に纏わせるのは忘れない。ティアリィを酔わせるそれだから。ティアリィの下肢そのものへも魔術を流して。
「ぁっ、ぁっ、ぁあっ、んっ」
ティアリィの声に、少しだって痛みのようなものは混じっていないようで安堵する。
ああ、早く。
焦る指が少しだけ荒くなった。否、否、ゆっくりと、ゆっくりと。
もう少しだけ。
今、指で探るその場所に。自信を埋めることを想像して自然浮かぶ笑みでティアリィを見た。
ああ、ティアリィ。
「ティアリィ」
顔を寄せて、彼の肌にくちづけを落とす。何度目だろう、幾度でも味わっていたい滑らかで甘い肌。真白く輝いて僕を魅了する。耳朶をくすぐって、首筋に吸い付き、鎖骨を舐った。
「ぁっ、ぁっ、ぁあっ……」
上がるティアリィの声が、甘く蕩けている。気持ちいいと。その響きだけで僕に伝えて。
ああ、ティアリィ。
堪えられない。
ティアリィ。
「でん、かぁ……」
求められているような、気がした。
縋るような声が甘く、僕を求めているかのようで。誘われるよう、指を引き抜き、ティアリィの足を抱え上げた。すでに僕は彼の足の間に体をねじ込んでいて。腰は、ひどく近くて。
熱い。
火傷しそうな熱と共に硬く腫れ上がった僕自身を、ほんの今まで指で探っていたティアリィの其処へと押し付ける。ぬちと、濡れそぼった口が、柔らかくほどけて、僕を歓迎しているかのようで。
ぐっと、狭い其処へと押し入っていく。熱い。
熱くて、熱くて、そして。
「ぐっ、」
「ぁっ、ぁぁああああああっ……!!」
痛いほどのきつい締め付けが、だけどとんでもなく気持ちよかった。
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