15 / 49
*13・乱入者
しおりを挟む見知らぬ青年は見事に固まっていて、俺もグローディも固まっていて。
誰が真っ先に我に勝ったのだろうか。青年か、グローディか。少なくとも俺ではない。
青年がわなわなと震えだす。かと思うと。
「ぐ……グローディっ……!!」
悲鳴のような声でグローディを怒鳴り付けた。
俺の後ろでグローディが溜め息を吐いたのが分かる。
「ぁっ!」
身動がれて思わず声が上がった。
そんな俺を宥めるように、耳の後ろにちゅっとくちづけて、グローディは口を開く。
「うるさいですよ、母様。どうしたんです、いきなり。ノックぐらいしてください」
そう、不機嫌に吐き捨てた。
ん? え? 母様?
何を言っているのだろう。目の前の青年はどう見てもグローディより年若く見える。むしろ少年と青年の中間ぐらいに。とは言え、何故だかはわからないが、流石に成人はしてそうだとは思った。
青年もまた不機嫌そうにぎゅっと眉根を寄せ、一瞬、言葉を詰まらせて。
「それはっ……悪かったよ。だが……」
そこまで言葉にして、その後、続きを言うのを諦めたかのように溜め息を吐いた。
小さく頭を振る。
「……子供たちと待っているから、出来るだけ早く切り上げて来なさい」
ちらと振り返ってグローディを見ると、首肯するでなく小さく肩を竦めていた。
青年はそれを見咎めたようで、更に険しく顔を歪め、だがそれ以上は何も言わず、バタン、あっさりと部屋を後にする。
な……なんだったんだ、今のはいったい。
わけがわからないままの俺が、今の自分の状況を思い出して、あの美しい人に、もしやとんでもない場面を見られたのでは……と思い至り、さぁーと顔を青くする寸前。
「あっ!」
ぐちゅん。腰を動かされて、思考が全部、飛び去って行った。
グローディが何度目か。吐き出した溜め息が耳朶を擽る。
「ぁっ!」
そんな微かな息にもびくびくと反応する俺を後ろから抱き込んだまま、グローディはさっきの出来事など何もなかったかのように、腰の動きを再開し始めた。
「あっ! あっ! ぁあっ!」
またしても快楽に頭が眩み始めた俺の耳元で、グローディが何かを話している。
腹の奥から湧き上がる快感に押し流されて、内容が俺にはちっとも伝わってこない。
「邪魔が、入りましたね、レシア様……仕方ありません。手早く済ませます、から……もう少しだけ、お付き合いください、ねっ……んっ!」
そんなことを腹の中をかき回しながら言われても。俺は意味など何も呑み込めず。
「あっ! あっ! あっ! ぅっ……あぁっ!」
ただ、グローディの動きに合わせて、喘ぐことしかできなかった。
21
お気に入りに追加
1,420
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる
木嶋うめ香
BL
本編完結済み(2021.3.8)
和の国の貴族の子息が通う華学園の食堂で、僕こと鈴森千晴(すずもりちはる)は前世の記憶を思い出した。
この世界、前世の僕がやっていたBLゲーム「華乙男のラブ日和」じゃないか?
鈴森千晴なんて登場人物、ゲームには居なかったから僕のポジションはモブなんだろう。
もうすぐ主人公が転校してくる。
僕の片思いの相手山城雅(やましろみやび)も攻略対象者の一人だ。
これから僕は主人公と雅が仲良くなっていくのを見てなきゃいけないのか。
片思いだって分ってるから、諦めなきゃいけないのは分ってるけど、やっぱり辛いよどうしたらいいんだろう。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる