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*8・期待に喘ぐ

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 グローディからもたらされる刺激は、何もかもが気持ちよかった。
 首筋や項、鎖骨や腰のラインをいやらしく辿られるのも。そこに這わされるくちづけも。口へと含まされた指さえ、全部、全部が気持ちよくて堪らなくて。
 気付けば俺は一糸まとわぬ姿で大きく足を開いて、その間にグローディの体を受け入れていた。
 とはいっても、まだつながっているわけではない。
 俺の、大きく突き出た腹が邪魔で見えはしないけれども、どうやら硬くち上がって、その腹にびたんとくっついているらしい俺自身に、グローディの、やはり硬く熱いそれがぐいぐいと押し付けられている。
 それ同士が触れ合っているだけでも、堪らない刺激となって気持ちよくて。

「あっ、あっ、ぁあっ」

 俺の両手は縋るようにグローディの首の後ろを必死で掴んでいて、ちゅ、ちゅと顔中に降らされるくちづけに酔いながら、俺は俺の下肢へと延ばされているグローディの手を視線で追っていた。
 だってついにグローディの手が、そこへと伸ばされているのだ。そう、勃ち上がった俺自身の更に奥、窄まりに。
 つまりは肛門である。
 本来は入り口でなどないはずの排泄口。
 グローディの逞しい陰茎を突き入れてもらえる・・・・・・・・・らしいその場所。
 俺が、グローディを余すことなく受け入れられる唯一の部分である。
 グローディのそれはあまりに大きすぎて、俺の口では収まり切れないし、そこにしか穴はないから。
 だから、そこを使うしかない。
 でも、俺は同時に知っているのだ。
 それがどれほど気持ちいい行為なのかということを。
 だからこそ今こうして期待に胸が高鳴って、落ち着かなくて。
 ずっと荒いまま、吐き出される息全部が、甘く、グローディ自身をねだってでもいるかのようだった。

「はぁ、はぁ、あっ、はぁっ……」

 大きく胸を喘がせてはぁはぁと息を吐き続ける俺の様子を、グローディは喜悦を持って窺っている。
 そんなに期待する俺の浅ましさが面白いのだろうか。
 だってもっと欲しいのだ。仕方がない。

「あっ! ぐろぉ…でぃぃ……」

 グローディの名を呼ぶ俺の声に涙が滲み始めたからだろうか。まさかそれを待っていたのか、俺の太腿や腰のきわどい部分を、くすぐるようになぞり続けていたグローディの指が、ようやく俺の窄まりへとつぷんと少しだけ差し入れられた。
 きっとはくはくと引くついて待ち侘びていただろうそこへだ。

「あっ!」

 ぬち、うめられた指は浅かったのに、俺の背には電流が走る。
 気持ちいい。
 グローディはまだ、入り口に浅く、指を沈めただけだ。
 なのに自分の其処が、これまでで一番の歓喜を持って、彼の硬く、俺よりずっと太い指を迎え入れたのが自分でも分かった。
 だって、気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい!
 グローディは流石にこれ以上焦らすつもりもないようで、浅く差し入れられただけだった指は、すぐに深く突き入れられ、やや乱暴にぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てて激しく出し入れされ始めた。

「あっ! あっ! あっ!」

 内壁を擦られる。グローディの指が、擦っている。それだけで溶けそうだ。
 ひとりでには湿ったりしないはずの其処が、どうしてそんなに濡れそぼっているのか、何か特別な道具を使っている様子もなければ、俺自身の湿り気などの体液ぐらいでは、それほど彼の指が滑らかに動くはずがないことなど、この時の俺にはまったく思い至れず、ただグローディからもたらされる、これまで以上の激しい刺激に、声を上げ、頭を振り、体を震わせて。余すことなく溺れきることしかできなかった。
 大きな腹がグローディの逞しい腹筋とグローディ自身に擦り付けられていることまでもが気持ちよくて、逆に俺からも更にと強く擦り付けさえしてしまう。
 びきっと、快感ゆえ力が入ってしまった足が、グローディの腰を挟んでいる。
 熱い。

「レシア様」

 流石に息を荒くし始めたグローディが、促すように俺を呼んだ。
 グローディ。
 言葉こそ紡げないまでも、心の中で彼の名を呼んだ俺の視線と彼のそれが僅か絡んで。グローディの青い瞳が、愛しげに細められる。
 ぬちゅん。
 俺の中からグローディの指が引き抜かれた。

「ぁっ……」

 名残惜しく上がる俺の喘ぎに応えるよう、グローディが態勢を整えて、其処へとぴたり、突き当てられた熱は、指とは比べ物にならないぐらいに熱く。硬く。

「あっ♡」

 思わず上がった俺の声はとろけ、誘っていた。
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