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おかわり!
*x-23・俺と俺の嫁との思い合う夜①(リシェ視点)
しおりを挟む(俺はいったい今、何を見ているのだろう)
そう、呆然と見つめ続けてしまうぐらい、俺の目の前にある光景は、俺の理解を超えていた。
サフィルが、閨について思い悩んでいることぐらいわかっていた。
否、俺があまりに何も知らなさすぎるからだろうか、どうやら俺ほど、とまではいかずとも詳しいわけではないらしいサフィルが、より知識の乏しい俺に、どう説明すればいいのか戸惑っているのはサフィルがそんなことを言い始めた初めの時からわかっていることで、でも俺は、何もかもサフィルの言う通りにすると決めていた。
だって初めの初め、一番最初の夜に、何もわからないまま、サフィルを傷つけたのは俺だ。
あれから思えば二ヶ月も経っていないのだが、なんだかひどく遠いことのように思える。だけど。
俺が一番初めに、サフィルを怯えさせてしまったことに間違いはなかった。
余程に怖かったのだろう、かわいそうなサフィルは、そこから俺が近づくと、体を強張らせるようになってしまって、それがようやく今、そうではなくなってきたところだった。
勿論、だからと言って、サフィルからの誘いに負け、早急にサフィルへと手を伸ばした俺に、どれほど堪え性がないかなんて、そんなこと、これでもかというほど自覚している。
だってサフィルは可愛くて。
その上、彼の中へと踏み入る強烈な快感を、俺はすでに知ってしまっているのだ。サフィルの側にいると、それを思い出さずにはいられず、だけど可愛いサフィルを怯えさせたくはなく、この二ヶ月弱、俺が我慢に我慢を重ねてきていたのは、情けないことに事実だった。
そしてその我慢が解禁されたのがほんの数日前のこと。
それはサフィルからの誘いがけで、同時にサフィルによる俺への閨教育の始まりでもあった。
ぎこちなく、戸惑いに満ちたサフィルからの教えを、俺は必死に聞き続けた。
股間に熱が溜まりすぎて、半ば以上しっかり聞けなかったのは仕方がないことだと思う、それでも俺は出来る限りサフィルの言う通りにと、それだけを心の中で唱え続けてきたのである。
それは今も。そして。
「あ、あの……吸っ、て……みます、か……?」
「え?」
初め、言われた言葉が理解できなかった。
ああ、今日は何だったか。そうだ、閨において大切なこととして、サフィルが言ったのだ。
「お、お互い、の、反、応を……よ、よく、見、て、その……お、お互いに、気持ちのいいところを、探して、みま……しょう……?」
と、そう。
つまり今夜は心の思うまま、どこに触れ合ってもいいのだと。
だから俺はなんとなく目の前にあって、どうしても気になったサフィルの胸に触って、そして。
そして、何がどうしてこうなったのか。
吸ってみますか、と言っただろうか。
胸を吸う。
サフィルの、胸を?
俺が……吸う。
言葉の意味が頭に入ってくる度、わけのわからない興奮が、俺の中に渦巻くようだった。
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