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おかわり!
x-5・閨の知識、とは②
しおりを挟むお互いの性感を高め合うのだとか、そういうふわっとしたことぐらいならばわかるのだけれど。
慣らすこととくちづけと、触れ合うこと。
それ以外に、いったい何があるというのか。
曖昧な知識は、到底、口で説明できるようには思えなかった。
でも足りない、不十分だ、そう思う。
まだ他にもいろいろあったはずなのだ。
その具体例のようなものを思い浮かべられないだけで。
いっそそう言った描写のある物語などを参考にしてみようかと思ってみたりする。
サフィルは本などは好んで読む方ではあるのだけれど、どちらかというと歴史関連の物などの方が好きで。恋愛を主体としたようなものはあまりたくさん読んだことがなかった。
当然、艶本等とも縁遠い。
今まで必要だと思ったことがなかったからなのだが、そう言った書物も嗜んでおけばよかったなどと今更思っている。
イーニアから聞いた話などからしても、おそらくこの国にそう言った書物はない。
むしろあったら禁書扱いになるのではないかとさえ思われた。
一応、今日の勉強時間の合間、休憩中にざっと図書館の中を見て回ってみたのだけれど、そもそも恋愛を取り扱っていそうな本が、ほとんど見つけられなかったのだ。
支所に訊ねてみて、案内された書架にもひどく少なくて。
勿論、そう言った行為の描写などなさそうな物ばかりだった。
どうやら閨ごとが忌避されているというのは誇張でも何でもないのだろう。
丸ごと禁忌扱いだなんて、いったいどうすればいいというのか。
ああ、でも。
「知識、は、おありになるの、かな……?」
子供が出来る、仕組み、という意味だ。
魔力を練るだとか注ぐだとか言う話。
サフィルが知っていることと言えば、主にそう言ったことばかり。
流石にそう言ったことなら、リシェも知っているのではないかと思った。
だってそれは閨に限らず、魔力操作だとかそういう話にもつながっているのだから。
立派な学問である。
一度そう言った確認をしてみるのも悪くはないと思いつく。
そうしたらそれはしなければいけないような気になってきて。
サフィルはいっそ使命感に駆られるように、今日はリシェに知っていることを話してもらおうと心に決めた。
つまり、なんだか違う方向に意識が逸れたことにはまるで気付かず、サフィルはこの夜を望むこととしたのだった。
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