12 / 242
10・俺の嫁さん超かわいい(リシェ視点)
しおりを挟む「魚のパイ包みとか、好きですね。パイなら、果物を包んだものとかも好きです」
そう言って控えめに、はにかんだように笑う顔が可愛くて堪らなかった。
「! そうか! じゃあ、今度出してもらおうな!」
そうやって勢い込んで返してしまったのも、仕方がないことだと思うんだ。
ああ、こんなに可愛くてキレイな子が俺の伴侶だなんて!
俺はなんて幸せ者なんだろうか。
俺は浮かれ切った気持ちで食事を続けた。
俺の名前はモルシェイア・チェアデュ。親しい人はみんなリシェって呼ぶ。ここ、マチェアデュレ神聖王国の、一応今の聖王ってことになっている。
成人を待ってすぐに即位して5年。こないだ25になったばかりだった。
そんで、今、目の前で行儀よく食事してるかわいい子がサシュアフィル・ジルサ・ナウラティスと言って、昨日婚姻式を上げたばかりの俺の伴侶。
今年、成人したばかりの19歳だと聞いている。
でも、小柄なのもあって、年よりずっと幼く見えた。それぐらい小っちゃくてかわいい。
それにすごくキレイだ。
昨日、婚姻式の直前に初めて会った時、俺はあんまりにも可愛くてキレイで、しばらく何もできずに見惚れてしまった。
そんでもって、自分が今、この立場に居られたことを神に感謝した。
正直、聖王だとかなんだとか、煩わしいばっかりで全然嬉しくなかったんだけど、でも俺が聖王じゃなかったら、この子は俺のお嫁さんになってくれなかったんだろうって思ったら、そりゃあ、感謝するってものだろう。
サシュアフィル……――サフィルは、それぐらい、物凄く可愛くてキレイだった。
さっき小柄だって言ったけど、それでも多分、170ぐらいはあるんじゃないかと思う。だからそんなに身長が低いわけじゃない。
でも細いせいか、顔、と言うか頭がちっさいせいか、なんかちっさく感じるんだ。
いや、顔とか頭とかが小さいと、普通、背が低くなんて感じないように思うんだけど、その辺はよくわからない。
少なくとも180以上、身長がある俺からだと細さもあって小さく見えて。
それに体の厚みみたいなのは身長以上に差があった。
俺も別に騎士とかそういうやつらほど筋肉ムキムキってわけじゃないんだけど、でもサフィルと並んだら多分逞しく見えるんじゃないかな、そう思う。
一応鍛えてもいるしね。
なんだっけ? 聖王のたしなみとか何とか言って、体術やら剣術やらは一通り教えられてるんだ。
ちなみに俺の口調が王族にあるまじきほど汚くて悪いのは、その剣術を教えてくれた師匠の影響だったりする。
1
お気に入りに追加
907
あなたにおすすめの小説
薬師は語る、その・・・
香野ジャスミン
BL
微かに香る薬草の匂い、息が乱れ、体の奥が熱くなる。人は死が近づくとこのようになるのだと、頭のどこかで理解しそのまま、身体の力は抜け、もう、なにもできなくなっていました。
目を閉じ、かすかに聞こえる兄の声、母の声、
そして多くの民の怒号。
最後に映るものが美しいものであったなら、最後に聞こえるものが、心を動かす音ならば・・・
私の人生は幸せだったのかもしれません。※「ムーンライトノベルズ」で公開中
結婚式の晩、「すまないが君を愛することはできない」と旦那様は言った。
雨野六月(旧アカウント)
恋愛
「俺には愛する人がいるんだ。両親がどうしてもというので仕方なく君と結婚したが、君を愛することはできないし、床を交わす気にもなれない。どうか了承してほしい」
結婚式の晩、新妻クロエが夫ロバートから要求されたのは、お飾りの妻になることだった。
「君さえ黙っていれば、なにもかも丸くおさまる」と諭されて、クロエはそれを受け入れる。そして――
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
番だと言われて囲われました。
桜
BL
戦時中のある日、特攻隊として選ばれた私は友人と別れて仲間と共に敵陣へ飛び込んだ。
死を覚悟したその時、光に包み込まれ機体ごと何かに引き寄せられて、異世界に。
そこは魔力持ちも世界であり、私を番いと呼ぶ物に囲われた。
奴の執着から逃れられない件について
B介
BL
幼稚園から中学まで、ずっと同じクラスだった幼馴染。
しかし、全く仲良くなかったし、あまり話したこともない。
なのに、高校まで一緒!?まあ、今回はクラスが違うから、内心ホッとしていたら、放課後まさかの呼び出され...,
途中からTLになるので、どちらに設定にしようか迷いました。
【完結】酔った勢いで子供が出来た?!しかも相手は嫌いなアイツ?!
愛早さくら
BL
酔って記憶ぶっ飛ばして朝起きたら一夜の過ちどころか妊娠までしていた。
は?!!?なんで?!!?!って言うか、相手って……恐る恐る隣を見ると嫌っていたはずの相手。
えー……なんで…………冷や汗ダラダラ
焦るリティは、しかしだからと言ってお腹にいる子供をなかったことには出来なかった。
みたいなところから始まる、嫌い合ってたはずなのに本当は……?!
という感じの割とよくあるBL話を、自分なりに書いてみたいと思います。
・いつも通りの世界のお話ではありますが、今度は一応血縁ではありません。
(だけど舞台はナウラティス。)
・相変わらず貴族とかそういう。(でも流石に王族ではない。)
・男女関係なく子供が産める魔法とかある異世界が舞台。
・R18描写があるお話にはタイトルの頭に*を付けます。
・頭に☆があるお話は残酷な描写、とまではいかずとも、たとえ多少であっても流血表現などがあります。
・言い訳というか解説というかは近況ボードの「突発短編2」のコメント欄からどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる