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入れ替わり
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「アノンさん、全て話すよ」
すっと落ち着き、サルバドールさんは私の方を見て話し出す。
「俺はサルバドールだ。それは紛れもない真実だ...」
サルバドールさんが話し出した。とても真剣な表情で、私、そしてこの場にいる人全員に話す。
その時私は、彼がいつもの口調から変わっていたことに気づいた。
「ミミックがマリアの兄だと言うことは知っているよね、アノンさん」
「は、はい。それはミミックから聞きました...」
「何言ってやがる。ミミックは俺の息子じゃ...」
「うるさい」
「う...てめぇ...」
「実は、俺とミミックは双子の兄弟だ」
「え、じゃあ...何が.......どう言うことなの?」
私は混乱せずにはいられなかった。
「一から話すよ。俺とミミックが生まれた時、それはビリオンにとって初めて子供を授かった時だ。
でも、流石あの村を支配していた男。その時ですら、子供相手にすら容赦なかったよ。
俺とミミック、生まれるのは俺の方が少し早かった。
俺は、生まれる時すんなり生まれ、母さんに抱っこされてよく泣いたそうだ。
その時はまだよかった。おそらく流石の親父も笑顔を保っていただろう。
だが、この後だった。ビリオンの逆鱗に触れるのは。
数分後、ミミックが生まれた。
しかし、そこにはとんでもない事実があった。
ミミックには、障害があったんだ。
それが発覚した時点で、ビリオンは少し迷惑していた様子らしい。
そこで、うちの名付け方法について知っているか?」
「ええ、知っています。男の子が生まれた時、願掛けとしてこんな子になって欲しいと言う願いを込めて意味のある言葉をつけるんですよね」
急に振られて多少の動揺はあったが、お爺さんとの会話を思い出し、なるべく話の邪魔にならないよう、私はすぐさま答えた。
「そうだ。俺の名前はサルバドール。確か、「救世主」って意味があるらしい。
そしてミミック。
親父は、重症を患い生まれてきたミミックを忌み嫌っていたので、所詮サルバドールの見た目をした出来損ないということで「真似る」という意味がある「ミミック」という名前をつけた。
初めて聞いた時はとても驚いた。自分の息子にそんなことをするなんて、と。
その事実を聞いた時、それはまだ俺がサルバドールだった時のことだ」
「どう言うことですか?」
「ちゃんと説明するよ。
ミミックは障害を患っていたので、成長していく過程で、俺との差がどんどんと広がっていってしまった。
勉強や運動。さらに親父からは嫌われ、いじめ抜かれ、閉鎖的な人間になってしまっていた。
その時の俺はそんなことに気づくこともなくアホな顔して暮らしていたよ。
ただ、ミミック。その名は本物だった。彼は彼自身、しっかり考えていたのだ。
自分がサルバドールになる方法を」
「え、本当に真似ようとしたの...?」
「ああ、そうだ。それは、ビリオンがまだ村を支配していた時の話。
村の少し離れたところに、家があった。
その時、家には俺とミミックの2人しかいなかった。
急にミミックから「部屋を交換してみようよ」と言われた。
当時の俺は楽しそうと思い、すんなり受け入れた。
時間は19時頃だったと思う。もうすぐで母さんが帰ってくる。そう思いながら、俺はミミックの部屋で勉強をしていた。そんな時だった。
急に視界が赤色に染まった。
何かと思い、必死に当たりを見渡すとそこら中で炎がわんさか燃え盛っていた。
俺は訳が分からなかったがとりあえず、部屋から出ようとした。
しかし、何かが引っかかっているのか、扉は開かなかった。
俺はなぜ開かないのか分からなくて必死に叫んだ。炎はもうすぐそこまで来ている。「ミミック!」と叫んだ所で俺は意識がなくなった。
そして次に目が覚めたとき、そこは外だった。そして目の前にはビリオンがいた。
「ミミック、お前はどこまで迷惑かけるんだ。もうお前はいらない。じゃあな」
そう言いながら俺を置いてそのまま帰った」
「どういうこと...?どうしてサルバドールさんはミミックと思われたの?」
「それは、俺は実は真っ黒に焦げて誰か判別できないような状態だったらしい。しかし、ミミックは避難しサルバドールに化けていた。
避難しているサルバドールの見た目をした子供、そして真っ黒焦げで誰かわからない子供。
その2人を見たら自然とどっちがサルバドールでどっちがミミックかわかるだろう。
入れ替わったんだよ。その瞬間に」
その言葉を最後にサルバドールさんの話は幕を閉じた。
すっと落ち着き、サルバドールさんは私の方を見て話し出す。
「俺はサルバドールだ。それは紛れもない真実だ...」
サルバドールさんが話し出した。とても真剣な表情で、私、そしてこの場にいる人全員に話す。
その時私は、彼がいつもの口調から変わっていたことに気づいた。
「ミミックがマリアの兄だと言うことは知っているよね、アノンさん」
「は、はい。それはミミックから聞きました...」
「何言ってやがる。ミミックは俺の息子じゃ...」
「うるさい」
「う...てめぇ...」
「実は、俺とミミックは双子の兄弟だ」
「え、じゃあ...何が.......どう言うことなの?」
私は混乱せずにはいられなかった。
「一から話すよ。俺とミミックが生まれた時、それはビリオンにとって初めて子供を授かった時だ。
でも、流石あの村を支配していた男。その時ですら、子供相手にすら容赦なかったよ。
俺とミミック、生まれるのは俺の方が少し早かった。
俺は、生まれる時すんなり生まれ、母さんに抱っこされてよく泣いたそうだ。
その時はまだよかった。おそらく流石の親父も笑顔を保っていただろう。
だが、この後だった。ビリオンの逆鱗に触れるのは。
数分後、ミミックが生まれた。
しかし、そこにはとんでもない事実があった。
ミミックには、障害があったんだ。
それが発覚した時点で、ビリオンは少し迷惑していた様子らしい。
そこで、うちの名付け方法について知っているか?」
「ええ、知っています。男の子が生まれた時、願掛けとしてこんな子になって欲しいと言う願いを込めて意味のある言葉をつけるんですよね」
急に振られて多少の動揺はあったが、お爺さんとの会話を思い出し、なるべく話の邪魔にならないよう、私はすぐさま答えた。
「そうだ。俺の名前はサルバドール。確か、「救世主」って意味があるらしい。
そしてミミック。
親父は、重症を患い生まれてきたミミックを忌み嫌っていたので、所詮サルバドールの見た目をした出来損ないということで「真似る」という意味がある「ミミック」という名前をつけた。
初めて聞いた時はとても驚いた。自分の息子にそんなことをするなんて、と。
その事実を聞いた時、それはまだ俺がサルバドールだった時のことだ」
「どう言うことですか?」
「ちゃんと説明するよ。
ミミックは障害を患っていたので、成長していく過程で、俺との差がどんどんと広がっていってしまった。
勉強や運動。さらに親父からは嫌われ、いじめ抜かれ、閉鎖的な人間になってしまっていた。
その時の俺はそんなことに気づくこともなくアホな顔して暮らしていたよ。
ただ、ミミック。その名は本物だった。彼は彼自身、しっかり考えていたのだ。
自分がサルバドールになる方法を」
「え、本当に真似ようとしたの...?」
「ああ、そうだ。それは、ビリオンがまだ村を支配していた時の話。
村の少し離れたところに、家があった。
その時、家には俺とミミックの2人しかいなかった。
急にミミックから「部屋を交換してみようよ」と言われた。
当時の俺は楽しそうと思い、すんなり受け入れた。
時間は19時頃だったと思う。もうすぐで母さんが帰ってくる。そう思いながら、俺はミミックの部屋で勉強をしていた。そんな時だった。
急に視界が赤色に染まった。
何かと思い、必死に当たりを見渡すとそこら中で炎がわんさか燃え盛っていた。
俺は訳が分からなかったがとりあえず、部屋から出ようとした。
しかし、何かが引っかかっているのか、扉は開かなかった。
俺はなぜ開かないのか分からなくて必死に叫んだ。炎はもうすぐそこまで来ている。「ミミック!」と叫んだ所で俺は意識がなくなった。
そして次に目が覚めたとき、そこは外だった。そして目の前にはビリオンがいた。
「ミミック、お前はどこまで迷惑かけるんだ。もうお前はいらない。じゃあな」
そう言いながら俺を置いてそのまま帰った」
「どういうこと...?どうしてサルバドールさんはミミックと思われたの?」
「それは、俺は実は真っ黒に焦げて誰か判別できないような状態だったらしい。しかし、ミミックは避難しサルバドールに化けていた。
避難しているサルバドールの見た目をした子供、そして真っ黒焦げで誰かわからない子供。
その2人を見たら自然とどっちがサルバドールでどっちがミミックかわかるだろう。
入れ替わったんだよ。その瞬間に」
その言葉を最後にサルバドールさんの話は幕を閉じた。
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