58 / 60
入れ替わり
しおりを挟む
「アノンさん、全て話すよ」
すっと落ち着き、サルバドールさんは私の方を見て話し出す。
「俺はサルバドールだ。それは紛れもない真実だ...」
サルバドールさんが話し出した。とても真剣な表情で、私、そしてこの場にいる人全員に話す。
その時私は、彼がいつもの口調から変わっていたことに気づいた。
「ミミックがマリアの兄だと言うことは知っているよね、アノンさん」
「は、はい。それはミミックから聞きました...」
「何言ってやがる。ミミックは俺の息子じゃ...」
「うるさい」
「う...てめぇ...」
「実は、俺とミミックは双子の兄弟だ」
「え、じゃあ...何が.......どう言うことなの?」
私は混乱せずにはいられなかった。
「一から話すよ。俺とミミックが生まれた時、それはビリオンにとって初めて子供を授かった時だ。
でも、流石あの村を支配していた男。その時ですら、子供相手にすら容赦なかったよ。
俺とミミック、生まれるのは俺の方が少し早かった。
俺は、生まれる時すんなり生まれ、母さんに抱っこされてよく泣いたそうだ。
その時はまだよかった。おそらく流石の親父も笑顔を保っていただろう。
だが、この後だった。ビリオンの逆鱗に触れるのは。
数分後、ミミックが生まれた。
しかし、そこにはとんでもない事実があった。
ミミックには、障害があったんだ。
それが発覚した時点で、ビリオンは少し迷惑していた様子らしい。
そこで、うちの名付け方法について知っているか?」
「ええ、知っています。男の子が生まれた時、願掛けとしてこんな子になって欲しいと言う願いを込めて意味のある言葉をつけるんですよね」
急に振られて多少の動揺はあったが、お爺さんとの会話を思い出し、なるべく話の邪魔にならないよう、私はすぐさま答えた。
「そうだ。俺の名前はサルバドール。確か、「救世主」って意味があるらしい。
そしてミミック。
親父は、重症を患い生まれてきたミミックを忌み嫌っていたので、所詮サルバドールの見た目をした出来損ないということで「真似る」という意味がある「ミミック」という名前をつけた。
初めて聞いた時はとても驚いた。自分の息子にそんなことをするなんて、と。
その事実を聞いた時、それはまだ俺がサルバドールだった時のことだ」
「どう言うことですか?」
「ちゃんと説明するよ。
ミミックは障害を患っていたので、成長していく過程で、俺との差がどんどんと広がっていってしまった。
勉強や運動。さらに親父からは嫌われ、いじめ抜かれ、閉鎖的な人間になってしまっていた。
その時の俺はそんなことに気づくこともなくアホな顔して暮らしていたよ。
ただ、ミミック。その名は本物だった。彼は彼自身、しっかり考えていたのだ。
自分がサルバドールになる方法を」
「え、本当に真似ようとしたの...?」
「ああ、そうだ。それは、ビリオンがまだ村を支配していた時の話。
村の少し離れたところに、家があった。
その時、家には俺とミミックの2人しかいなかった。
急にミミックから「部屋を交換してみようよ」と言われた。
当時の俺は楽しそうと思い、すんなり受け入れた。
時間は19時頃だったと思う。もうすぐで母さんが帰ってくる。そう思いながら、俺はミミックの部屋で勉強をしていた。そんな時だった。
急に視界が赤色に染まった。
何かと思い、必死に当たりを見渡すとそこら中で炎がわんさか燃え盛っていた。
俺は訳が分からなかったがとりあえず、部屋から出ようとした。
しかし、何かが引っかかっているのか、扉は開かなかった。
俺はなぜ開かないのか分からなくて必死に叫んだ。炎はもうすぐそこまで来ている。「ミミック!」と叫んだ所で俺は意識がなくなった。
そして次に目が覚めたとき、そこは外だった。そして目の前にはビリオンがいた。
「ミミック、お前はどこまで迷惑かけるんだ。もうお前はいらない。じゃあな」
そう言いながら俺を置いてそのまま帰った」
「どういうこと...?どうしてサルバドールさんはミミックと思われたの?」
「それは、俺は実は真っ黒に焦げて誰か判別できないような状態だったらしい。しかし、ミミックは避難しサルバドールに化けていた。
避難しているサルバドールの見た目をした子供、そして真っ黒焦げで誰かわからない子供。
その2人を見たら自然とどっちがサルバドールでどっちがミミックかわかるだろう。
入れ替わったんだよ。その瞬間に」
その言葉を最後にサルバドールさんの話は幕を閉じた。
すっと落ち着き、サルバドールさんは私の方を見て話し出す。
「俺はサルバドールだ。それは紛れもない真実だ...」
サルバドールさんが話し出した。とても真剣な表情で、私、そしてこの場にいる人全員に話す。
その時私は、彼がいつもの口調から変わっていたことに気づいた。
「ミミックがマリアの兄だと言うことは知っているよね、アノンさん」
「は、はい。それはミミックから聞きました...」
「何言ってやがる。ミミックは俺の息子じゃ...」
「うるさい」
「う...てめぇ...」
「実は、俺とミミックは双子の兄弟だ」
「え、じゃあ...何が.......どう言うことなの?」
私は混乱せずにはいられなかった。
「一から話すよ。俺とミミックが生まれた時、それはビリオンにとって初めて子供を授かった時だ。
でも、流石あの村を支配していた男。その時ですら、子供相手にすら容赦なかったよ。
俺とミミック、生まれるのは俺の方が少し早かった。
俺は、生まれる時すんなり生まれ、母さんに抱っこされてよく泣いたそうだ。
その時はまだよかった。おそらく流石の親父も笑顔を保っていただろう。
だが、この後だった。ビリオンの逆鱗に触れるのは。
数分後、ミミックが生まれた。
しかし、そこにはとんでもない事実があった。
ミミックには、障害があったんだ。
それが発覚した時点で、ビリオンは少し迷惑していた様子らしい。
そこで、うちの名付け方法について知っているか?」
「ええ、知っています。男の子が生まれた時、願掛けとしてこんな子になって欲しいと言う願いを込めて意味のある言葉をつけるんですよね」
急に振られて多少の動揺はあったが、お爺さんとの会話を思い出し、なるべく話の邪魔にならないよう、私はすぐさま答えた。
「そうだ。俺の名前はサルバドール。確か、「救世主」って意味があるらしい。
そしてミミック。
親父は、重症を患い生まれてきたミミックを忌み嫌っていたので、所詮サルバドールの見た目をした出来損ないということで「真似る」という意味がある「ミミック」という名前をつけた。
初めて聞いた時はとても驚いた。自分の息子にそんなことをするなんて、と。
その事実を聞いた時、それはまだ俺がサルバドールだった時のことだ」
「どう言うことですか?」
「ちゃんと説明するよ。
ミミックは障害を患っていたので、成長していく過程で、俺との差がどんどんと広がっていってしまった。
勉強や運動。さらに親父からは嫌われ、いじめ抜かれ、閉鎖的な人間になってしまっていた。
その時の俺はそんなことに気づくこともなくアホな顔して暮らしていたよ。
ただ、ミミック。その名は本物だった。彼は彼自身、しっかり考えていたのだ。
自分がサルバドールになる方法を」
「え、本当に真似ようとしたの...?」
「ああ、そうだ。それは、ビリオンがまだ村を支配していた時の話。
村の少し離れたところに、家があった。
その時、家には俺とミミックの2人しかいなかった。
急にミミックから「部屋を交換してみようよ」と言われた。
当時の俺は楽しそうと思い、すんなり受け入れた。
時間は19時頃だったと思う。もうすぐで母さんが帰ってくる。そう思いながら、俺はミミックの部屋で勉強をしていた。そんな時だった。
急に視界が赤色に染まった。
何かと思い、必死に当たりを見渡すとそこら中で炎がわんさか燃え盛っていた。
俺は訳が分からなかったがとりあえず、部屋から出ようとした。
しかし、何かが引っかかっているのか、扉は開かなかった。
俺はなぜ開かないのか分からなくて必死に叫んだ。炎はもうすぐそこまで来ている。「ミミック!」と叫んだ所で俺は意識がなくなった。
そして次に目が覚めたとき、そこは外だった。そして目の前にはビリオンがいた。
「ミミック、お前はどこまで迷惑かけるんだ。もうお前はいらない。じゃあな」
そう言いながら俺を置いてそのまま帰った」
「どういうこと...?どうしてサルバドールさんはミミックと思われたの?」
「それは、俺は実は真っ黒に焦げて誰か判別できないような状態だったらしい。しかし、ミミックは避難しサルバドールに化けていた。
避難しているサルバドールの見た目をした子供、そして真っ黒焦げで誰かわからない子供。
その2人を見たら自然とどっちがサルバドールでどっちがミミックかわかるだろう。
入れ替わったんだよ。その瞬間に」
その言葉を最後にサルバドールさんの話は幕を閉じた。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。


悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。

えっ、これってバッドエンドですか!?
黄昏くれの
恋愛
ここはプラッツェン王立学園。
卒業パーティというめでたい日に突然王子による婚約破棄が宣言される。
あれ、なんだかこれ見覚えがあるような。もしかしてオレ、乙女ゲームの攻略対象の一人になってる!?
しかし悪役令嬢も後ろで庇われている少女もなんだが様子がおかしくて・・・?
よくある転生、婚約破棄モノ、単発です。
グランディア様、読まないでくださいっ!〜仮死状態となった令嬢、婚約者の王子にすぐ隣で声に出して日記を読まれる〜
月
恋愛
第三王子、グランディアの婚約者であるティナ。
婚約式が終わってから、殿下との溝は深まるばかり。
そんな時、突然聖女が宮殿に住み始める。
不安になったティナは王妃様に相談するも、「私に任せなさい」とだけ言われなぜかお茶をすすめられる。
お茶を飲んだその日の夜、意識が戻ると仮死状態!?
死んだと思われたティナの日記を、横で読み始めたグランディア。
しかもわざわざ声に出して。
恥ずかしさのあまり、本当に死にそうなティナ。
けれど、グランディアの気持ちが少しずつ分かり……?
※この小説は他サイトでも公開しております。

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる