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サルバドールとミミック
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「どういう...こと...?」
隠しプログラムでいっぱいだった私の頭が一瞬で打ち砕かれ、混乱の一途を辿った。
今、何が起きているのか分からない。
ただまじまじとモニターに映し出されたミミックと呼ばれたサルバドールさんを見つめていた。
するとまた、モニターから声が聞こえてくる。
「ミミック、お前はなぜここにいるんだ?」
ビリオンは内に秘めた怒りを必死に隠そうとするが、それは顕著に出ていた。
「い、いや、その...」
サルバドールさんは焦っていた。何かあたふたした様子は伝わるが、なぜそんなに困っているのかは私には分からない。
サルバドールさんはサルバドールさんなんだから。ミミックじゃない。
それを分かってはいるのだが、私の中で変な予感が湧いてきた。
ミミックの方を見ると、酷く冷静で落ち着いていた。
なぜ何も反応しないんだ?
自分の名前が呼ばれているのに。
私はいよいよ混乱してきた。
訳が分からない怒りの矛先をミミックと言いながらサルバドールさんに向けるビリオンとなぜか焦った様子のサルバドールさん。
そして、自分の名前が呼ばれているにもかかわらず、ノータッチなミミック。
「ねえ、これどういうことなんですか?」
「何がだ?親が息子に説教しているだけだろ」
私がお爺さんに問うても特に反応が無い。
そりゃそうか。この人はミミックと呼ばれた人がサルバドールさんとは知らないからだ。
心の中で不可解な納得をする。
とにかく私は居ても立っても居られなくなり、この部屋を飛び出した。
「おい、どこに行くんだ?」
「大事な人が困っているんです。尽くせる手は全て尽くします」
「アンタの日記はどうするんだ?」
「それは...私が出して欲しい時に合図しますから、その時に出してください!」
軽く口で伝えて、私は全速力で城を駆け回った。
会場に着いた頃にはヘトヘトだった。
私は新郎新婦のマルクとマリアが入ってきた大扉から勢いよく中へ入った。
「サルバドールさん!なにしてるの!?」
人々の注目は一気に私の方に向かった。
その中にはもちろんマルク、そしてマリアも入っている。
マルクは唖然と、マリアは強ばった顔をしていた。
きっとなぜ私がここにいるか不思議でしょうがないだろう。
でも、今はそんなことよりもサルバドールさんだ。私は2人の仲裁に入った。
「ちょっと、何言ってんのよ!この人はサルバドールさんですよ!」
私が大声で言うと、ビリオンはキョトンとした顔をしていた。
「何言ってんだ。サルバドールはここにいるだろ」
そう言いながらビリオンはミミックの方を指した。
「どう言うこと?」
「それにお前は誰なんだ?俺の大事な娘の結婚式を邪魔してんじゃねえぞ」
邪魔してるのはアンタだろと言いたったが、今喧嘩してもしょうがない。
ここは落ち着いて状況を整理した。
「待ってください。あの人はミミックじゃないんですか?」
私はミミックを指しながら言う。
「はぁ?お前なんなんだ?俺のサルバドールをミミック扱いしてんじゃねえぞ」
「どう言うことですか?ミミックはあなたの息子なんですか?」
「ちげえに決まってん...」
「そうだよ」
ビリオンの言葉を遮るようにサルバドールさんが言った。
「サルバドールもミミックもお前の息子だよ!!子供を十何年も間違えてんじゃねえよ!!!」
勢いよく飛び出したその言葉には積年の恨みがあった。
隠しプログラムでいっぱいだった私の頭が一瞬で打ち砕かれ、混乱の一途を辿った。
今、何が起きているのか分からない。
ただまじまじとモニターに映し出されたミミックと呼ばれたサルバドールさんを見つめていた。
するとまた、モニターから声が聞こえてくる。
「ミミック、お前はなぜここにいるんだ?」
ビリオンは内に秘めた怒りを必死に隠そうとするが、それは顕著に出ていた。
「い、いや、その...」
サルバドールさんは焦っていた。何かあたふたした様子は伝わるが、なぜそんなに困っているのかは私には分からない。
サルバドールさんはサルバドールさんなんだから。ミミックじゃない。
それを分かってはいるのだが、私の中で変な予感が湧いてきた。
ミミックの方を見ると、酷く冷静で落ち着いていた。
なぜ何も反応しないんだ?
自分の名前が呼ばれているのに。
私はいよいよ混乱してきた。
訳が分からない怒りの矛先をミミックと言いながらサルバドールさんに向けるビリオンとなぜか焦った様子のサルバドールさん。
そして、自分の名前が呼ばれているにもかかわらず、ノータッチなミミック。
「ねえ、これどういうことなんですか?」
「何がだ?親が息子に説教しているだけだろ」
私がお爺さんに問うても特に反応が無い。
そりゃそうか。この人はミミックと呼ばれた人がサルバドールさんとは知らないからだ。
心の中で不可解な納得をする。
とにかく私は居ても立っても居られなくなり、この部屋を飛び出した。
「おい、どこに行くんだ?」
「大事な人が困っているんです。尽くせる手は全て尽くします」
「アンタの日記はどうするんだ?」
「それは...私が出して欲しい時に合図しますから、その時に出してください!」
軽く口で伝えて、私は全速力で城を駆け回った。
会場に着いた頃にはヘトヘトだった。
私は新郎新婦のマルクとマリアが入ってきた大扉から勢いよく中へ入った。
「サルバドールさん!なにしてるの!?」
人々の注目は一気に私の方に向かった。
その中にはもちろんマルク、そしてマリアも入っている。
マルクは唖然と、マリアは強ばった顔をしていた。
きっとなぜ私がここにいるか不思議でしょうがないだろう。
でも、今はそんなことよりもサルバドールさんだ。私は2人の仲裁に入った。
「ちょっと、何言ってんのよ!この人はサルバドールさんですよ!」
私が大声で言うと、ビリオンはキョトンとした顔をしていた。
「何言ってんだ。サルバドールはここにいるだろ」
そう言いながらビリオンはミミックの方を指した。
「どう言うこと?」
「それにお前は誰なんだ?俺の大事な娘の結婚式を邪魔してんじゃねえぞ」
邪魔してるのはアンタだろと言いたったが、今喧嘩してもしょうがない。
ここは落ち着いて状況を整理した。
「待ってください。あの人はミミックじゃないんですか?」
私はミミックを指しながら言う。
「はぁ?お前なんなんだ?俺のサルバドールをミミック扱いしてんじゃねえぞ」
「どう言うことですか?ミミックはあなたの息子なんですか?」
「ちげえに決まってん...」
「そうだよ」
ビリオンの言葉を遮るようにサルバドールさんが言った。
「サルバドールもミミックもお前の息子だよ!!子供を十何年も間違えてんじゃねえよ!!!」
勢いよく飛び出したその言葉には積年の恨みがあった。
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