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鳥籠

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「え、何これ...。」

私は絶句した。マリアがマルクのことを想っていたのはなんとなく察していたが、それ以上に量が多い。

目でざっと数えてみても、軽く千枚はありそうだ。

私はそのたくさんの写真たちの中に手を突っ込み、写真を見る。

「え...。」

すると、目を疑うものがあった。

「子供の頃の、私...?」

そこには、小さい時にマルクと一緒に遊んでいた時の写真もあった。

それも何枚も。

一体どうやって撮ったのか、そもそもそんなに前から写真を撮っていたなんて。

私は今までの一生をずっとマリアに監視されているようで吐き気を催す。

ずっとマリアの掌の上で踊っている様。
まるでマリアの部屋の一つの景色でしかない鳥籠の中の鳥の様。

「こ、この中の一枚だけでいいんだよね...?」

焦りながら、さっきの写真を見なかったことにして、とっとと部屋から出よう。

そう思い、足取り重く扉の前まで歩く。

すると、

プルルルル プルルルル

突然、けたたましく電話の着信音が閑静な広い部屋に鳴り響く。

突然の出来事に顔が強張る。

音が聞こえてきた方に目を向けると、そこにはいかにも高価そうな壁掛け式の真っ黒な電話がありありと存在感を放っていた。

私は、ついつい手を伸ばしそうになったが、自分の立場を考え、瞬時に手を払った。

なんの電話だろう。私には無関係な電話だろうが、興味を持ってしまう。

ミミックの話によれば、マリアは今、この館にはいないらしい。

現に私はすんなりとマリアの部屋に入ることができている。

なのにも関わらず、早く取れと言わんばかりに高価そうな電話が喚き散らしている。

私は、気になりすぎて何か安全に電話に出る方法はないのかと考え始める。

そして、一つの答えを導き出した。

それは、電話を手に取って、そのまま一言も喋らず、相手の言葉を待つことだった。

好奇心には勝てず、一つの案を思いついたらすぐさま決行した。

私は、私との約束通り電話を手に取る。

着信音が止まり、お互いに相手の返事を求めているのか、暫くの沈黙があった。

そして、それを打ち破ったのはもちろん相手の方だった。

「もしもし?マリアかい?」

「!?」

私はドキッとした。

相手は大金持ちの御令嬢であるマリアだと言うのにその名を軽々しく呼んだその相手は...。



マルクだった......。
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