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ミッションを与える
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「お願い。サルバドールさんが今どこにいるか教えて!」
私は必死になって聞いた。
「ふふふ。そんなに焦らずに。
どうしてそんなにサルバドールにこだわるのですか?」
「それは、仲間だからです。
私がここから出るということに手伝ってくれた。自分にもリスクがあるのに手伝ってくれた。
私はここから出たい理由が単に苦しいからとかじゃなく、手伝ってくれたサルバドールさんが無駄にならないようにするために変わっている。
だから、教えて。サルバドールさんの居場所を!」
私は思いの丈を存分に打ち明ける。
まるで告白するようなテンションで。
言っていることは本心だった。
サルバドールさんを裏切りたくない。そう言う気持ちは私の中でどんどんと強くなっていた。
「わかりました。じゃあ、あなたがサルバドールと一緒にここから出ます。
その後に私と住む。これならいいでしょう。」
「そ、そうね。じゃあ受け入れるわ。
じゃあ早く、サルバドールさんをここに連れてきて!」
「はいはいわかりましたよ。」
そう言い、ミミックはここから出て行く。
急すぎる。やっとことが落ち着いて、またもう一度脱出に向けて、話し合おうと言う時に。
私は何もできないんだ。
ここから出ることもできず、頼ってばっかり。
そんな自分を恥じた。
でも、だからこそ今回の件で何かサルバドールさんに恩を返したい。
ガチャ
扉が開く。
奥からミミックが戻ってくる。
そこにはリードをつけられ、意識を失った状態で引きずられているサルバドールさんがいた。
「何、これ...?」
「おっとご安心を。サルバドールは死んではいません。今、こいつは意識を失っていて、48時間後には目を覚ますでしょう。」
「48時間...?」
「ええそうです。なのであなたにミッションを与えましょう。
この館の3階にある、マリアの部屋。
そこからマルクの写真を持ってきなさい。」
「マルク!?あなた、マルクを知っているの?」
「もちろん。だってこの国の王子なんだから知っていて当然でしょう。」
言われてみればそうだ。マルクは王子様なんだ。
それを言われ、一気に私の中の密かな願いが壊れた気がした。
所詮は一般人の私なんかマルクは...。
「それを持ってきたらいいのね。」
「ええ。もし、48時間以内に、持って来れなければこのサルバドールはもうあなたを見ることなくあの世に逝ってしまうと言うわけですね。」
「そんな...。」
「まあまあ。そんな焦らずに。単なるゲームですから。楽しみましょうよ。
あ、これマリアの部屋の鍵とこの牢獄の鍵です。
くれぐれも警備員に見つからないように。」
「マリアは部屋にいるの?」
「いや、マリアは今この館にはいません。」
「え!?」
「何か急用でしょう。一昨日くらいからいなくなりました。」
まただ。私の中でまた嫌な予感がした。
私は必死になって聞いた。
「ふふふ。そんなに焦らずに。
どうしてそんなにサルバドールにこだわるのですか?」
「それは、仲間だからです。
私がここから出るということに手伝ってくれた。自分にもリスクがあるのに手伝ってくれた。
私はここから出たい理由が単に苦しいからとかじゃなく、手伝ってくれたサルバドールさんが無駄にならないようにするために変わっている。
だから、教えて。サルバドールさんの居場所を!」
私は思いの丈を存分に打ち明ける。
まるで告白するようなテンションで。
言っていることは本心だった。
サルバドールさんを裏切りたくない。そう言う気持ちは私の中でどんどんと強くなっていた。
「わかりました。じゃあ、あなたがサルバドールと一緒にここから出ます。
その後に私と住む。これならいいでしょう。」
「そ、そうね。じゃあ受け入れるわ。
じゃあ早く、サルバドールさんをここに連れてきて!」
「はいはいわかりましたよ。」
そう言い、ミミックはここから出て行く。
急すぎる。やっとことが落ち着いて、またもう一度脱出に向けて、話し合おうと言う時に。
私は何もできないんだ。
ここから出ることもできず、頼ってばっかり。
そんな自分を恥じた。
でも、だからこそ今回の件で何かサルバドールさんに恩を返したい。
ガチャ
扉が開く。
奥からミミックが戻ってくる。
そこにはリードをつけられ、意識を失った状態で引きずられているサルバドールさんがいた。
「何、これ...?」
「おっとご安心を。サルバドールは死んではいません。今、こいつは意識を失っていて、48時間後には目を覚ますでしょう。」
「48時間...?」
「ええそうです。なのであなたにミッションを与えましょう。
この館の3階にある、マリアの部屋。
そこからマルクの写真を持ってきなさい。」
「マルク!?あなた、マルクを知っているの?」
「もちろん。だってこの国の王子なんだから知っていて当然でしょう。」
言われてみればそうだ。マルクは王子様なんだ。
それを言われ、一気に私の中の密かな願いが壊れた気がした。
所詮は一般人の私なんかマルクは...。
「それを持ってきたらいいのね。」
「ええ。もし、48時間以内に、持って来れなければこのサルバドールはもうあなたを見ることなくあの世に逝ってしまうと言うわけですね。」
「そんな...。」
「まあまあ。そんな焦らずに。単なるゲームですから。楽しみましょうよ。
あ、これマリアの部屋の鍵とこの牢獄の鍵です。
くれぐれも警備員に見つからないように。」
「マリアは部屋にいるの?」
「いや、マリアは今この館にはいません。」
「え!?」
「何か急用でしょう。一昨日くらいからいなくなりました。」
まただ。私の中でまた嫌な予感がした。
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