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狂った一家

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マックさんの顔の皮膚を剥がし中から出てきたのは全く違う顔の男性だった。

「あの、どういう...こと...ですか.....?」

私は怯えきっていた。

だって仲間だと思っていた人が急に豹変して私に迫ってきているのだから。

「どうもこうもありませんよ。私はマックではなかった。それだけです。」

全く理解ができないが、とにかく私は自分を取り戻し、あらゆる疑問をぶつける。

「なんで変装なんかしたんですか?」

「まあ、どうせ会うなら私の得意な変装で会おうかなって。

そこでここの地下隊長の昔話を知り、ちょっと感動させようかなって思いまして。」

何かが怖い
簡単に発せられたが、せっかくの再会で偽物と会ったと言うことだ。

そんな簡単に人の過去を踏みにじって。

「あなたは誰なんですか?」

「私は、この館の長男ミミックです。この顔であなたとお会いするのは実は二回目ですよ?」

「二回目!?」

私は驚いた。そしてミミックの顔を見つめなんとか思い出そうとする。

「ふふふ。アノンちゃんが私を見ている。もっと見て。もっと見てくださいよ。」

ミミックがニヤニヤと喜びながら私を舐めるように見る。

「本当に会ったことがありますか?」

「あるわけないでしょうが。そう言うことでアノンちゃんが私をもっと注目してみてくれるかなと思って。」

気持ちが悪い。

この男の外見や口調からは感じ取れない気持ち悪さ。

それが私のどこかから込み上げてくる。

「そんな。何が目的なの?」

「決まっています。あなたと同じ空間にいたいんです。

初め見た時、それはマリアが連れてきた時でした。

その時は、なんて美しい女性なのだろうと思いまして、そしてまじまじと観察するために本来なかった監視カメラをこの牢獄につけて、24時間ずっとあなたを見ていました。」

そう言い、ミミックは斜め上を見る。

そこにはとてつもなく小さい監視カメラが設置されていました。

私はゾッとした。

今までの全ての私が見られていたことに。

「ああ、マリアはなんて素晴らしい女性を連れてきたのでしょう。監禁したい気持ちもよくわかりますよ。」

やっぱりこの一家は狂っている。

父、兄、妹、全員だ。

何か人間として大事なものが欠落している。

そんな一家だ。

私は明らかに嫌悪感を示す。

「まあまあ、そんなに怖がらなくてもいいでしょ?とりあえずどうします?私と一緒に住みませんか?

この鍵は私の部屋の鍵です。

広いですよ。ここなんかよりもずっと広く、安心感もあって、食べ物、飲み物、娯楽、一生困らなくて住みますよ。

さあ、私と一緒に住みましょう。」

「嫌です!」

私はキッパリと断った。

「あらあら。まあそんなこと言っても無理矢理連れて行くんですけどね。

言っときますけど、もう誰も助けにはきませんよ。

肝心のサルバドール?はどこかで苦しんでいるでしょうし。」

「!?。サルバドールさんはどこにいるの!?」

「まあまあ、そんなに焦らず。

きっとあなたのすぐ近くにいることでしょう。」
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