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執事と囚人と侵入者

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「ちょ、ちょっと待ってよ!」

私が問いかけても彼の動きは止まらなかった。アロクスとの関係を断つと言い切った彼だが、牢の扉への足取りは重い。

まだ、何かあるはず。2人の関係を戻すための情報が。

赤の他人ながら自分の中で渋々決断したであろう彼のことを思う。

そして彼が牢の扉に手をかけた瞬間。

ガチャ

向こうのほうから扉が開く。

そこにいたのはサルバドールだった。

「!?」

彼はサルバドールの姿を見てギョッとした。そりゃそうだ。だってあの人は侵入者なのだから。

そしてサルバドールは無理やり逃げようとする彼を捕まえてこう言った。

「大丈夫ですよ。私はここの執事ですけどあなたに何かするつもりはありません。安心してください。」

「え!?」

彼は安心したようにその場に座り込む。

「あの、サルバドールさん。どうしたんですか?」

「いや、ちょっと。その。」

サルバドールは見知らぬ顔の侵入者がいるから話しづらそうだった。

「あ、その人は大丈夫ですよ。話を続けてください。」

「あ、それじゃあ...」

「ちょっと待って。2人はどういう関係なのですか?」

その男が質問をした。よく考えれば当然だろう。檻の中にいる私と、ここの館の執事がこんなにもフレンドリーにしていたら。

「そうねぇ。誰にも言わない?」

「はい、もちろんです。」

「実は、私とサルバドールさんはここから脱出するために組んでいるのよ。」

「組んでいるんですか?執事なのに。」

「はい。別に私はここで執事をしたくてしているわけでもないですから。」

「へぇー。それで脱出までどのくらい進んでいるのですか?」

「まだ全然よ。そうだっ!あなたも手伝ってよ。」

「手伝ってと言われましても。」

「人手が増えるのは確かにいいことですね。まあ判断は委ねます。

それよりアノンさん。地下の警備隊長のことなのですが...」

「!?。警備隊長を知っているのですか?」

「ええ、まあはい。」

「あ、そうだったわ。サルバドールさんこの人は警備隊長に会いに来たのよ。」

「そうなんですよ。アロクスに、警備隊長に合わせてくれませんか?」

「ちなみに、どうして会いたいのですか?」

「それは...」

その男は会いに来た理由を話し出す。

「なるほど。そんなことが...」

「そうなんです。だから会わせてください。」

「あの、もしかしたらですけど。
大きな誤解をしているかもしれませんよ。」
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