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執事ではない男

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「話し合い?」

「ええ。」

執事は軽く返事をすると檻を叩くのに使っていたとがった石をその場に捨てる。

「まず、申しますと私はこの館の執事ではございません。

そしてあなたの敵ではないと言うことも言っておきましょう。」

「そうなの?よかった~。」

私は執事ではない小柄の男性の言葉に安堵した。

「しかし、私はあなたの敵ではないというだけであなたの味方だということでもありません。もし、やむを得ない状況があれば、あなたを切り捨てる所存でございます。」

「なるほど。あの、あなたの目的はなんなのですか?」

「そうですね。あなた、アロクスという男は知っていますか?」

「アロクス?知らないです。」

「そうですか、では地下の警備隊長といえば分かりますか?」

「地下の警備隊長?はい一応知ってはいますけど。」

「そう。なら良かった。では、彼に会わせてくれませんか?」

「でも存在を知っているだけで実際に見たことはないですよ。」

「そうなんですか、それは残念。」

「あの、ここまで来る時、廊下に地下の警備隊長の部屋がありませんでしたか?」

「ありました。あの部屋はアロクスの部屋なんですね。」

「そうですよ。知らなかったのですか?」

「そうですね。あいにく、さっき忍び込んだばかりだったので。」

「そうなんですね。おそらくそこにいると思いますけど。」

「では、見に行ってみます。」


10分後


ゆっくりと扉が開く。
さっきの男性が帰ってきた。

「いましたか?」

「いいえ。いませんでした。」

「そうですか、それは残念。ところでどうして警備隊長に会いたいのですか?」

「そうですね。あなたは彼の過去を知っていますか?」

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