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サルバドールと名乗る男

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私はふと声が出てしまった。

この状況下に置かれたら誰もが出たいと思うだろう。

ただ、この質問はそんな単純なものじゃないと私は思った。

「どういうことですか?」

私はまるでここから出たくないかのような言い方で問いかける。

「先に言います。私はあなたの味方です。あなたがサラダをこぼされた時、私は確信しました。あなたが“本気"でここから出たいと思い始めたと。」

「なぜ、わかるんですか?」

「もちろん、こんなところで毎日ひどい目に遭い続けていたら、誰もが出たいと思うでしょう。

ただ、あなたは初日から何もしなかった。驚くぐらい刃向かわなかったからです。その優しい性格に私の心も限界が来たのでしょう。」

その執事は以外にもあっさりとこちらの味方になってくれた。

驚いた。正直その場で急に言ってしまったからその先のことは何も考えていなかった。

「とりあえず、ここから出るための作戦会議でもしましょうか。今、マリアお嬢様はピアノの稽古に行かれました。時間はたっぷりあります。」

「そ、その前になんで私に協力してくれるのですか?」

「だから言ったじゃないですか。あなたの姿を見て、限界が来てしまったと。私も普通の人間です。そこまで丈夫な精神は持ち合わせていませんよ。」

「そ、そうですか。ありがとうございます。その、あなたの名前は?」

「私は、サルバドールとでも呼んでください。」

「は、はいサルバドールさん」

「とりあえず脱出するための経路を明確にしましょう。」

「はい、わかりました。」

私はサルバドールと名乗った男と脱出の計画を立てることにした。



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