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129.終息
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気付くと私はまた不思議な空間にいた
『気が付きましたか?』
聞き覚えのある声がする
「…あなたはあの時の神…さま?」
『そうです。オリビエ、あなたに感謝します』
「感謝…私はあの場所を守れたってことで…あってる?」
『ええ。次元ホールは塞がり、迷宮も数日で元の迷宮に戻るでしょう』
「でも神の力で別の場所にあんな迷宮を創られたら…」
『その心配はありません。迷宮を通して力を使っていたこの世界の神にはもうそれだけの力は残っていませんから』
「…それはそれで大丈夫なの?」
何かあった時にこの世界を守れないんじゃ…
『一定のレベルまで力を失った神は別の神と交代します。この世界にミルトゥとの間に自現ホールがあったこと自体知ることがないので、オリビエに干渉することはありません』
「そう…それなら安心ね」
『各世界の中に限定されますが迷宮核同士で情報を交換しています。今後オリビエの意思に反してスタンピードが起きることは無いでしょう』
それが本当なら素晴らしいことだと思う
『私があなたに干渉できるのもこれが最後でしょう。あなたを、あなたの一族をこのようなことに巻き込んでしまってごめんなさい。神に対抗できるだけの力を正しく使ってくれたことに感謝します』
「…そっか。それだけの力があるんだ…」
全く実感はないけれど
でも以前より魔力が多く、強くなってることは分かる
「この力を取り上げなくてもいいの?」
『ふふ…あなたが間違った方向につかうとは思いません。いざというときに正しく使ってくれると信じていますから』
「そんな時は来なくていいんだけど…」
とはいえ何が起こるかわからないのが人生でもある
『あなた達をミルトゥに戻すことは出来ませんが、どうか今の世界で幸せになってください』
「私もイモーテルも今の生活に不満はないから大丈夫」
『そうですか。そう言っていただけると私も気が楽になります。有難う。そして幸せに』
ミルトゥの神、ミルトレスのその言葉と共に世界が変わっていく
「…」
再び目を開くと見慣れた部屋にいた
「気が付いたか?」
ソージュを抱いたロキが心配そうに覗き込んでいた
「うん。みんなは?」
「皆無事だ。怪我した者も魔術師団が治療して回って既に元通りだしな」
「そう…よかった」
私はロキに支えてもらいながら体を起こすとソージュを抱き受ける
優しい温もりを感じながら発端になった彼女の事に思いをはせる
自分の愛する子の命が消えていくのを見ているしか出来ない悲しみが計り知れない
「今度は守れたのね…」
「え?」
「何でもない。ソージュとロキと…みんなとのこの生活を守れてよかった」
私は誤魔化す様にそう言った
いつか、自分の中でも整理が付いたらロキにはきちんと話そう
「下に行けるか?みんなも心配してる」
「うん。大丈夫」
微笑んで、支えられながら立ち上がる
身体が重く足元がふらつくことから察するに、魔力をかなり使ってしまったみたい
ロキが取り乱していなかったところを見れば間違いないだろう
「あ、オリビエだ!」
階段を降りたところで最初に気付いたのはコルザだった
「もう大丈夫?」
「ええ。大丈夫よ。ありがとう」
以前の様に抱き付いては来なくても心配してくれていたのだとわかる
コルザの頭をなでてそう言うと良かったと言ってサロンに走って行った
「おはようオリビエ」
「もう大丈夫か?」
「ほら、こっちに座って」
サロンに入ると皆が笑顔で迎えてくれた
皆の笑顔に包まれた温かいこの空間が私は好きだ
これからもこの場所を守りながら興味を持ったことを楽しみながら生きていきたい
心からそう思う…
Fin
『気が付きましたか?』
聞き覚えのある声がする
「…あなたはあの時の神…さま?」
『そうです。オリビエ、あなたに感謝します』
「感謝…私はあの場所を守れたってことで…あってる?」
『ええ。次元ホールは塞がり、迷宮も数日で元の迷宮に戻るでしょう』
「でも神の力で別の場所にあんな迷宮を創られたら…」
『その心配はありません。迷宮を通して力を使っていたこの世界の神にはもうそれだけの力は残っていませんから』
「…それはそれで大丈夫なの?」
何かあった時にこの世界を守れないんじゃ…
『一定のレベルまで力を失った神は別の神と交代します。この世界にミルトゥとの間に自現ホールがあったこと自体知ることがないので、オリビエに干渉することはありません』
「そう…それなら安心ね」
『各世界の中に限定されますが迷宮核同士で情報を交換しています。今後オリビエの意思に反してスタンピードが起きることは無いでしょう』
それが本当なら素晴らしいことだと思う
『私があなたに干渉できるのもこれが最後でしょう。あなたを、あなたの一族をこのようなことに巻き込んでしまってごめんなさい。神に対抗できるだけの力を正しく使ってくれたことに感謝します』
「…そっか。それだけの力があるんだ…」
全く実感はないけれど
でも以前より魔力が多く、強くなってることは分かる
「この力を取り上げなくてもいいの?」
『ふふ…あなたが間違った方向につかうとは思いません。いざというときに正しく使ってくれると信じていますから』
「そんな時は来なくていいんだけど…」
とはいえ何が起こるかわからないのが人生でもある
『あなた達をミルトゥに戻すことは出来ませんが、どうか今の世界で幸せになってください』
「私もイモーテルも今の生活に不満はないから大丈夫」
『そうですか。そう言っていただけると私も気が楽になります。有難う。そして幸せに』
ミルトゥの神、ミルトレスのその言葉と共に世界が変わっていく
「…」
再び目を開くと見慣れた部屋にいた
「気が付いたか?」
ソージュを抱いたロキが心配そうに覗き込んでいた
「うん。みんなは?」
「皆無事だ。怪我した者も魔術師団が治療して回って既に元通りだしな」
「そう…よかった」
私はロキに支えてもらいながら体を起こすとソージュを抱き受ける
優しい温もりを感じながら発端になった彼女の事に思いをはせる
自分の愛する子の命が消えていくのを見ているしか出来ない悲しみが計り知れない
「今度は守れたのね…」
「え?」
「何でもない。ソージュとロキと…みんなとのこの生活を守れてよかった」
私は誤魔化す様にそう言った
いつか、自分の中でも整理が付いたらロキにはきちんと話そう
「下に行けるか?みんなも心配してる」
「うん。大丈夫」
微笑んで、支えられながら立ち上がる
身体が重く足元がふらつくことから察するに、魔力をかなり使ってしまったみたい
ロキが取り乱していなかったところを見れば間違いないだろう
「あ、オリビエだ!」
階段を降りたところで最初に気付いたのはコルザだった
「もう大丈夫?」
「ええ。大丈夫よ。ありがとう」
以前の様に抱き付いては来なくても心配してくれていたのだとわかる
コルザの頭をなでてそう言うと良かったと言ってサロンに走って行った
「おはようオリビエ」
「もう大丈夫か?」
「ほら、こっちに座って」
サロンに入ると皆が笑顔で迎えてくれた
皆の笑顔に包まれた温かいこの空間が私は好きだ
これからもこの場所を守りながら興味を持ったことを楽しみながら生きていきたい
心からそう思う…
Fin
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