308 / 317
124.超級迷宮の調査
1
しおりを挟む
迷宮の調査は順調に進んでいた
調査チームは冒険者と騎士団それぞれ3パーティーの6つ
拠点をフジェのギルドに置き冒険者が階層を進め、騎士団は進んだ階層を把握するために調査することになった
迷宮に入るのはそれぞれ2パーティーずつ、残ったパーティーは休息を兼ねて情報をまとめ、集められた情報を把握する役割を担う
「オリビエの空間把握がなかったらどれだけ大変だったか…」
私が地図に起こしてるのをのぞき込みながらダビアが言う
「地図は出来てもトラップまでは分からないよ。魔物の鑑定も実際目にしないとできないし…」
「それでも階段までの最短距離が分かるのは有り難いな」
通常ならさ迷いながら階段を探す
その過程で地図を描くのだ
途中で魔物と遭遇して方角がおかしくなることも珍しいことではない
そういう意味では元の土台となる大まかな地図があるというのは調査の上では有利に働くのかな
まぁ、迷宮を純粋に攻略する際はこの力を使う気はないけど…
私が起こした地図を元に騎士達はトラップや魔物の情報を書き込んでいくのだ
それぞれの階の魔物のランクは階段までの道のりで遭遇した魔物を基準にしている
迷宮が発見されてから1週間で私たちは10階層まで進んでいた
ここまでに出会った魔物はBランクの群れか単体のAランクのみだった
「最初の5階層まではCランク、10階層まではBランクでも対処できるだろう」
「パーティーの選別はギルドに任せるのでいいか?」
「ああそれでいい。冒険者の人柄は受付の者が一番よく知ってるからな」
どれだけ力があっても和を乱すものを含めれば命取りになる
「念のため2つのパーティーで行動させた方がいいだろう。それを納得できないなら入れない方がいい」
フロックスが言う
「それはなぜ?」
「未知の迷宮だ。それも超級の」
「…」
「魔物のレベルだけで判断していいものか正直分からない」
フロックスがそう言った理由は明確だった
この世界で発見されている迷宮は初級、中級、上級、特級までだからだ
特級では最初の方の階層から数階層先に送られるトラップがあったりもすると言われているため、超級でそれがないとは言い切れない
「…確かにそうだな。何が起こるかわからない前提で進めるべきだろう」
「幸い上級以上の迷宮には各フロアに転移陣がある。何かあった際はそのフロアから脱出し報告に走ることも出来るだろう」
「それなら入り口にいる者には非常用の魔道具を持たせた方がいいな」
非常用の魔道具は発動すると特殊な音と共に赤い光を上空高く迄発生させるものだ
遠方からでも見える上に近寄りたくない嫌な音を半径数キロにいる人の脳に直接響かせる
「待機してる者はそれを合図に集まればいいってことだな」
「そう言うことだ。集めた冒険者にはその辺りの事もきちんと周知しておく。お前らもくれぐれも無理だけはしないでくれ」
ギルマスの言葉に皆が頷く
誰も命を無駄に投げ出したいとは思っていない
でも、未知の迷宮の前ではおそらく人の命はとても軽い
その事を肝に銘じれない冒険者は今回の調査には関わらせることは出来ないということだ
調査チームは冒険者と騎士団それぞれ3パーティーの6つ
拠点をフジェのギルドに置き冒険者が階層を進め、騎士団は進んだ階層を把握するために調査することになった
迷宮に入るのはそれぞれ2パーティーずつ、残ったパーティーは休息を兼ねて情報をまとめ、集められた情報を把握する役割を担う
「オリビエの空間把握がなかったらどれだけ大変だったか…」
私が地図に起こしてるのをのぞき込みながらダビアが言う
「地図は出来てもトラップまでは分からないよ。魔物の鑑定も実際目にしないとできないし…」
「それでも階段までの最短距離が分かるのは有り難いな」
通常ならさ迷いながら階段を探す
その過程で地図を描くのだ
途中で魔物と遭遇して方角がおかしくなることも珍しいことではない
そういう意味では元の土台となる大まかな地図があるというのは調査の上では有利に働くのかな
まぁ、迷宮を純粋に攻略する際はこの力を使う気はないけど…
私が起こした地図を元に騎士達はトラップや魔物の情報を書き込んでいくのだ
それぞれの階の魔物のランクは階段までの道のりで遭遇した魔物を基準にしている
迷宮が発見されてから1週間で私たちは10階層まで進んでいた
ここまでに出会った魔物はBランクの群れか単体のAランクのみだった
「最初の5階層まではCランク、10階層まではBランクでも対処できるだろう」
「パーティーの選別はギルドに任せるのでいいか?」
「ああそれでいい。冒険者の人柄は受付の者が一番よく知ってるからな」
どれだけ力があっても和を乱すものを含めれば命取りになる
「念のため2つのパーティーで行動させた方がいいだろう。それを納得できないなら入れない方がいい」
フロックスが言う
「それはなぜ?」
「未知の迷宮だ。それも超級の」
「…」
「魔物のレベルだけで判断していいものか正直分からない」
フロックスがそう言った理由は明確だった
この世界で発見されている迷宮は初級、中級、上級、特級までだからだ
特級では最初の方の階層から数階層先に送られるトラップがあったりもすると言われているため、超級でそれがないとは言い切れない
「…確かにそうだな。何が起こるかわからない前提で進めるべきだろう」
「幸い上級以上の迷宮には各フロアに転移陣がある。何かあった際はそのフロアから脱出し報告に走ることも出来るだろう」
「それなら入り口にいる者には非常用の魔道具を持たせた方がいいな」
非常用の魔道具は発動すると特殊な音と共に赤い光を上空高く迄発生させるものだ
遠方からでも見える上に近寄りたくない嫌な音を半径数キロにいる人の脳に直接響かせる
「待機してる者はそれを合図に集まればいいってことだな」
「そう言うことだ。集めた冒険者にはその辺りの事もきちんと周知しておく。お前らもくれぐれも無理だけはしないでくれ」
ギルマスの言葉に皆が頷く
誰も命を無駄に投げ出したいとは思っていない
でも、未知の迷宮の前ではおそらく人の命はとても軽い
その事を肝に銘じれない冒険者は今回の調査には関わらせることは出来ないということだ
36
お気に入りに追加
600
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる