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124.超級迷宮の調査

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迷宮の調査は順調に進んでいた
調査チームは冒険者と騎士団それぞれ3パーティーの6つ
拠点をフジェのギルドに置き冒険者が階層を進め、騎士団は進んだ階層を把握するために調査することになった
迷宮に入るのはそれぞれ2パーティーずつ、残ったパーティーは休息を兼ねて情報をまとめ、集められた情報を把握する役割を担う

「オリビエの空間把握がなかったらどれだけ大変だったか…」
私が地図に起こしてるのをのぞき込みながらダビアが言う

「地図は出来てもトラップまでは分からないよ。魔物の鑑定も実際目にしないとできないし…」
「それでも階段までの最短距離が分かるのは有り難いな」
通常ならさ迷いながら階段を探す
その過程で地図を描くのだ
途中で魔物と遭遇して方角がおかしくなることも珍しいことではない
そういう意味では元の土台となる大まかな地図があるというのは調査の上では有利に働くのかな
まぁ、迷宮を純粋に攻略する際はこの力を使う気はないけど…

私が起こした地図を元に騎士達はトラップや魔物の情報を書き込んでいくのだ
それぞれの階の魔物のランクは階段までの道のりで遭遇した魔物を基準にしている
迷宮が発見されてから1週間で私たちは10階層まで進んでいた
ここまでに出会った魔物はBランクの群れか単体のAランクのみだった
「最初の5階層まではCランク、10階層まではBランクでも対処できるだろう」
「パーティーの選別はギルドに任せるのでいいか?」
「ああそれでいい。冒険者の人柄は受付の者が一番よく知ってるからな」
どれだけ力があっても和を乱すものを含めれば命取りになる

「念のため2つのパーティーで行動させた方がいいだろう。それを納得できないなら入れない方がいい」
フロックスが言う

「それはなぜ?」
「未知の迷宮だ。それも超級の」
「…」
「魔物のレベルだけで判断していいものか正直分からない」
フロックスがそう言った理由は明確だった
この世界で発見されている迷宮は初級、中級、上級、特級までだからだ
特級では最初の方の階層から数階層先に送られるトラップがあったりもすると言われているため、超級でそれがないとは言い切れない

「…確かにそうだな。何が起こるかわからない前提で進めるべきだろう」
「幸い上級以上の迷宮には各フロアに転移陣がある。何かあった際はそのフロアから脱出し報告に走ることも出来るだろう」
「それなら入り口にいる者には非常用の魔道具を持たせた方がいいな」
非常用の魔道具は発動すると特殊な音と共に赤い光を上空高く迄発生させるものだ
遠方からでも見える上に近寄りたくない嫌の音を半径数キロにいる人の脳に直接響かせる

「待機してる者はそれを合図に集まればいいってことだな」
「そう言うことだ。集めた冒険者にはその辺りの事もきちんと周知しておく。お前らもくれぐれも無理だけはしないでくれ」
ギルマスの言葉に皆が頷く

誰も命を無駄に投げ出したいとは思っていない
でも、未知の迷宮の前ではおそらく人の命はとても軽い
その事を肝に銘じれない冒険者は今回の調査には関わらせることは出来ないということだ
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