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118.新しい町
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そしてこの日、私とロキとシュロは新しい町を見学に来ていた
「本当に全く別物になったな」
「そうなのか?」
「ああ。金に物を言わせた物々しい建物が無くなったせいか空気まで旨い」
新しい町はドーナツ状に構成されていた
中心部には大きな森林公園を配置し、その中央にバイキング形式のフードコートが配置されている
「その場で食べてもいいし、公園で食べようが家に持ち帰ろうが自由らしい」
「そうなのね。天気のいい日は公園で食べるのも気持ちよさそう」
噴水や木陰のテーブルなんかもあってピクニック気分で楽しめそうだ
公園の周りを囲むように様々な店や病院、公共機関が並んでいた
そして大通りを挟んで家が立ち並ぶ
景観を大切にした緑豊かな町がそこには広がっていた
「素敵な町ね」
「一応住宅地に関してはエリア分けをするらしい」
「エリア分け?」
「ああ。男性しか愛せない人と女性しか愛せない人、心身の性の不一致の男性と女性、被害者の女性、そして未亡人」
「なるほどね。確かにその方がトラブルは少ないかな?」
「だろうな。それに安心感もあるだろうな」
被害者の女性と隣り合うのは女性しか愛せない人と未亡人ってところかしら
エリアが分かれていても住居以外は互いに関わり合うことになるから孤立感は少ないだろう
「結局ここはリハビリ施設的な位置づけにするらしい。少し離れた場所にもう一つ町を作って、そこはここを卒業した人たちが住む町になる」
「そこはここみたいなエリア分けは無いってことか?」
「ああ。そここそが本当の意味での新たな町になるだろう」
確かにいきなり普通に暮らすのは難しいのかもしれない
「…クロキュスか?」
ロキとシュロと共に町の中を見て回っていると、突然声を掛けられた
振り向くと薄汚い男が立っていた
「知り合い?」
「…シルバーの家の嫡男だった男だ」
「それだけの関係の男が呼び捨てか?」
シュロが疑わしそうに尋ねる
当然だ
ロキは元とは言えゴールドの称号を持つ家の人間だったし、ナルシスの側近でもあった
ただのシルバーの嫡男が呼び捨てて許されるはずがない
「学園の時の友人だった。もっとも俺が称号を売り払った後に態度を180度変えたけどな」
「あぁ、なるほど。一言で言えば屑ってことか」
こっちで小声で話している間にも彼は近づいて来る
「頼むから助けてくれないか?」
「は?」
「俺はこんなところで力仕事をするような人間じゃない。シルバーの称号を持つ家の跡取りだ!」
「…だからこそこそ逃げ回ってるって?称号なんて過去の栄光に縋って現状を受け容れることのできない屑が?」
「な…」
「お前が言ったんだろ?称号を持たない人間は屑同然だと。なら国が滅びて称号も無に帰した今のお前はただの屑ってことだ」
「その姿を見る限り与えられた仕事もしていないって感じだな」
ロキの言葉にかぶせる様に言いながら、シュロは少し離れたところから様子を見ていた騎士に合図を出した
「何を…!?」
突然背後から捉えられた男は必死でもがくも鍛えられた騎士にかなうことは無い
「脱走者だ。連れて行ってくれ」
「ちょっ…おい!クロキュス!見てないで助けろ!」
男が懇願するように訴えるもロキは蔑んだ目を向けるだけだった
「不敬罪も付け加えとけ。王族に命令する無法者だ」
「承知しました」
騎士は恭しく頭を下げるとそのまま喚き続ける男を引きずって行った
「中々の馬鹿さ加減だな?」
「あれは無いわ…」
シュロと私がそう発したのは同時だった
「あれでも学生の頃はまだマシだったんだ」
よくあんなのと友人になったなと、心のなかで呟いた声に答えるようにロキが言う
声にだしてないよね?
「…顔に出てんだよ」
呆れたように言われて苦笑する
「もういいだろ。見学は終わりだろ?」
「そうだな。一応一通り見終えた感じだ」
私たちはこの新しい町がどうなっていくのか色々話し合いながら帰路についた
「本当に全く別物になったな」
「そうなのか?」
「ああ。金に物を言わせた物々しい建物が無くなったせいか空気まで旨い」
新しい町はドーナツ状に構成されていた
中心部には大きな森林公園を配置し、その中央にバイキング形式のフードコートが配置されている
「その場で食べてもいいし、公園で食べようが家に持ち帰ろうが自由らしい」
「そうなのね。天気のいい日は公園で食べるのも気持ちよさそう」
噴水や木陰のテーブルなんかもあってピクニック気分で楽しめそうだ
公園の周りを囲むように様々な店や病院、公共機関が並んでいた
そして大通りを挟んで家が立ち並ぶ
景観を大切にした緑豊かな町がそこには広がっていた
「素敵な町ね」
「一応住宅地に関してはエリア分けをするらしい」
「エリア分け?」
「ああ。男性しか愛せない人と女性しか愛せない人、心身の性の不一致の男性と女性、被害者の女性、そして未亡人」
「なるほどね。確かにその方がトラブルは少ないかな?」
「だろうな。それに安心感もあるだろうな」
被害者の女性と隣り合うのは女性しか愛せない人と未亡人ってところかしら
エリアが分かれていても住居以外は互いに関わり合うことになるから孤立感は少ないだろう
「結局ここはリハビリ施設的な位置づけにするらしい。少し離れた場所にもう一つ町を作って、そこはここを卒業した人たちが住む町になる」
「そこはここみたいなエリア分けは無いってことか?」
「ああ。そここそが本当の意味での新たな町になるだろう」
確かにいきなり普通に暮らすのは難しいのかもしれない
「…クロキュスか?」
ロキとシュロと共に町の中を見て回っていると、突然声を掛けられた
振り向くと薄汚い男が立っていた
「知り合い?」
「…シルバーの家の嫡男だった男だ」
「それだけの関係の男が呼び捨てか?」
シュロが疑わしそうに尋ねる
当然だ
ロキは元とは言えゴールドの称号を持つ家の人間だったし、ナルシスの側近でもあった
ただのシルバーの嫡男が呼び捨てて許されるはずがない
「学園の時の友人だった。もっとも俺が称号を売り払った後に態度を180度変えたけどな」
「あぁ、なるほど。一言で言えば屑ってことか」
こっちで小声で話している間にも彼は近づいて来る
「頼むから助けてくれないか?」
「は?」
「俺はこんなところで力仕事をするような人間じゃない。シルバーの称号を持つ家の跡取りだ!」
「…だからこそこそ逃げ回ってるって?称号なんて過去の栄光に縋って現状を受け容れることのできない屑が?」
「な…」
「お前が言ったんだろ?称号を持たない人間は屑同然だと。なら国が滅びて称号も無に帰した今のお前はただの屑ってことだ」
「その姿を見る限り与えられた仕事もしていないって感じだな」
ロキの言葉にかぶせる様に言いながら、シュロは少し離れたところから様子を見ていた騎士に合図を出した
「何を…!?」
突然背後から捉えられた男は必死でもがくも鍛えられた騎士にかなうことは無い
「脱走者だ。連れて行ってくれ」
「ちょっ…おい!クロキュス!見てないで助けろ!」
男が懇願するように訴えるもロキは蔑んだ目を向けるだけだった
「不敬罪も付け加えとけ。王族に命令する無法者だ」
「承知しました」
騎士は恭しく頭を下げるとそのまま喚き続ける男を引きずって行った
「中々の馬鹿さ加減だな?」
「あれは無いわ…」
シュロと私がそう発したのは同時だった
「あれでも学生の頃はまだマシだったんだ」
よくあんなのと友人になったなと、心のなかで呟いた声に答えるようにロキが言う
声にだしてないよね?
「…顔に出てんだよ」
呆れたように言われて苦笑する
「もういいだろ。見学は終わりだろ?」
「そうだな。一応一通り見終えた感じだ」
私たちはこの新しい町がどうなっていくのか色々話し合いながら帰路についた
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