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111.ゴールドの裁き(side:3国会議)
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「正妃はゴールドと同様に扱ってよかろう?」
「正妃としての実績は皆無だからな」
むしろマイナスの実績しかないし、婚姻を執り行った日がこの崩壊の最初の日だ
「正妃含めゴールドの女どもは修道院のようなぬるい場所では許されんな」
3国の貴族と呼ばれる女性は、何か罪を犯した際、厳しい自然環境の中に立つ修道院へ送られることが多い
これまできらびやかな生活をしてきた女性たちにとって、質素倹約がモットーの修道院はこれ以上ない苦痛の場となるからだ
でもソンシティヴュの称号持ちの女性には、それすら贅沢だと吐き捨てる
「幽閉も無しだ。ただ衣食住を確保され続ける等許しがたい。身の程をわからせてやらねば」
「イヤに根に持つな?」
ポンセがレンヌを見て笑いながら言う
「いやいや、我ら3国の王が“何の確証もなく発言する”等とよく言えたものだと思ってな?」
「そのようなことを?!」
怒りをあらわにしたのはレンヌの側近だった
「まぁ落ち着け」
「…失礼しました」
自らの主に窘められ素直に頭を下げる
「まぁ確かに自分には何の実績もないのに、家の称号を笠に着ての振る舞いは質が悪い。それを正妃になる者がとなると救いようがないか…」
「あれを見る限り、ゴールドすべてが同じだと判断してもあながち間違いでは無かろう」
モーヴはため息交じりに言う
「身分ではなく実力だけがものを言う世界に入れるのが一番よさそうだが…」
その言葉にしばしの沈黙が続いた
「…介護、などはいかがでしょう」
「介護?」
「どの国にも魔物の被害を受けた者の施設がございましょう?」
「確かにあるが?」
「そこの底辺から従事させるのはどうです?」
「底辺というと?」
「介護や医療の底辺と言えば下の世話、シーツ交換、食事の介助、魔物が絡めばウジを取ったりという作業もございますね」
そう言いながらニヤリと笑う
「傷は酷いものが多い。おまけに魔力にやられた者は狂暴化していることも多い。体位を変えるだけでも痛みが走り、怒鳴り声が飛ぶのも日常茶飯事。下手すれば殴られることもあるとか。肉体的にも精神的にもきつい仕事です」
「資格がなければそれ以上の仕事はさせてもらえませんからね。その資格もしかるべき学院で学びその後の試験に合格せねばなりません」
特殊技能の教育を行う学院は医療や司法など多岐にわたる
その学院の入学試験は勿論卒業試験も簡単に合格できる水準ではない
入学した者の半数以上が卒業するまでに挫折するというのも有名な話である
「亡命を受け入れられない彼女達には、その学院の入学試験を受ける事すら不可能。ずっと底辺でこき使われるというのもいいのでは?」
「それぞれの施設で一番狂暴化している者達を担当させればいい」
「それなら今居る職員の負担も少しは減るだろうし、精神的にも落ち着きましょう」
「底辺のまま後から入った者からも命令されて、患者に尽くす日々は彼女達にとっては穏やかではないでしょう」
「これまで身の回りのことを全てしてもらっていた立場だからな。それをする立場になるだけでも屈辱だろうが…」
その相手が狂暴化した者達となればなおさらである
「医療現場の女性は強い。しっかり鍛えてくれるだろう」
「当然、彼女たちが逆らえばしつけを行ってもよいと許可も出してやらんとな」
「しつけの内容は人によって違うのでは?」
「問題なかろう?彼女たち自身、自分本位のしつけをしてきただろうからな」
あくまで“自分たちのしてきたことがそのまま返ってくるのだ”と言わんばかりの姿勢を崩さなかった
「正妃としての実績は皆無だからな」
むしろマイナスの実績しかないし、婚姻を執り行った日がこの崩壊の最初の日だ
「正妃含めゴールドの女どもは修道院のようなぬるい場所では許されんな」
3国の貴族と呼ばれる女性は、何か罪を犯した際、厳しい自然環境の中に立つ修道院へ送られることが多い
これまできらびやかな生活をしてきた女性たちにとって、質素倹約がモットーの修道院はこれ以上ない苦痛の場となるからだ
でもソンシティヴュの称号持ちの女性には、それすら贅沢だと吐き捨てる
「幽閉も無しだ。ただ衣食住を確保され続ける等許しがたい。身の程をわからせてやらねば」
「イヤに根に持つな?」
ポンセがレンヌを見て笑いながら言う
「いやいや、我ら3国の王が“何の確証もなく発言する”等とよく言えたものだと思ってな?」
「そのようなことを?!」
怒りをあらわにしたのはレンヌの側近だった
「まぁ落ち着け」
「…失礼しました」
自らの主に窘められ素直に頭を下げる
「まぁ確かに自分には何の実績もないのに、家の称号を笠に着ての振る舞いは質が悪い。それを正妃になる者がとなると救いようがないか…」
「あれを見る限り、ゴールドすべてが同じだと判断してもあながち間違いでは無かろう」
モーヴはため息交じりに言う
「身分ではなく実力だけがものを言う世界に入れるのが一番よさそうだが…」
その言葉にしばしの沈黙が続いた
「…介護、などはいかがでしょう」
「介護?」
「どの国にも魔物の被害を受けた者の施設がございましょう?」
「確かにあるが?」
「そこの底辺から従事させるのはどうです?」
「底辺というと?」
「介護や医療の底辺と言えば下の世話、シーツ交換、食事の介助、魔物が絡めばウジを取ったりという作業もございますね」
そう言いながらニヤリと笑う
「傷は酷いものが多い。おまけに魔力にやられた者は狂暴化していることも多い。体位を変えるだけでも痛みが走り、怒鳴り声が飛ぶのも日常茶飯事。下手すれば殴られることもあるとか。肉体的にも精神的にもきつい仕事です」
「資格がなければそれ以上の仕事はさせてもらえませんからね。その資格もしかるべき学院で学びその後の試験に合格せねばなりません」
特殊技能の教育を行う学院は医療や司法など多岐にわたる
その学院の入学試験は勿論卒業試験も簡単に合格できる水準ではない
入学した者の半数以上が卒業するまでに挫折するというのも有名な話である
「亡命を受け入れられない彼女達には、その学院の入学試験を受ける事すら不可能。ずっと底辺でこき使われるというのもいいのでは?」
「それぞれの施設で一番狂暴化している者達を担当させればいい」
「それなら今居る職員の負担も少しは減るだろうし、精神的にも落ち着きましょう」
「底辺のまま後から入った者からも命令されて、患者に尽くす日々は彼女達にとっては穏やかではないでしょう」
「これまで身の回りのことを全てしてもらっていた立場だからな。それをする立場になるだけでも屈辱だろうが…」
その相手が狂暴化した者達となればなおさらである
「医療現場の女性は強い。しっかり鍛えてくれるだろう」
「当然、彼女たちが逆らえばしつけを行ってもよいと許可も出してやらんとな」
「しつけの内容は人によって違うのでは?」
「問題なかろう?彼女たち自身、自分本位のしつけをしてきただろうからな」
あくまで“自分たちのしてきたことがそのまま返ってくるのだ”と言わんばかりの姿勢を崩さなかった
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