252 / 317
93.モーヴの訪問
1
しおりを挟む
復興支援金の配布以降カフェのお客さんが増えた
余裕が出来たからと足を運んでくれた人、その分回数を増やした人など様々だけど、賑わっているのは有り難いことだと思う
お客さんが残り1組となりそろそろ片付けようかと思った時、大きな魔力を感じた
ロキも同様で読んでいた本から目を離す
私たちの見る先、店の入り口付近にモーヴが姿を現した
「珍しいお客様ですね?」
扉を開けて迎え入れるとカウンターに座る
王族がカウンターに…と思ったものの、自ら座ったのだからとそのことには触れないことにした
「可愛い甥に会いたかったのと、オリビエに聞きたいことがあってな」
「可愛いは余計だろ?」
「いやいや。妹の面影を持つお前は可愛いさ」
ロキは嫌そうな顔をしつつも遠ざけようとはしない
モーヴが妹であるロキの母を大切にしていたことは言葉の端々から伝わってくる
妹の代わりにロキを大切にしたいのだろう気持ちも理解しているからだ
「何か召し上がります?」
「そうだな…新しい果物の…」
悩んでいるようなので3種類をトレイに載せて見せる
「黄色のタグのものを頂こう」
「ありがとうございます。すぐに準備しますね。ロキはどうする?」
「コーヒーのケーキ」
ボソッと呟くような答えに頷いて2人分のスイーツをコーヒーと共に準備する
目の前に並べるとモーヴは顔をほころばせた
「優しい味がするな。甘すぎない所もいい」
満足げにかなりのスピードで口の中に入っていくケーキを見れば、その言葉がお世辞でないことはよくわかる
「…で、オリビエに聞きたいことって?」
最後のお客さんが帰ったタイミングでロキは話を振った
「あぁ、実はな…」
モーヴはオナグルに手籠めにされたメイドに関することを説明してくれた
「そこで聞きたい。オリビエの元の世界ではどうだったのだろうかと」
「どうだった、とは婚前行為について、ということです?」
「ああ」
モーヴは頷いた
「そうですね…色んな世界の人がいたせいもあるんでしょうけど、重要視はされてませんでしたね。早い子なら成人する前に処女でなくなってる子もいましたし」
「そんなに早くからか?」
「ええ。それこそ興味本位でとか気持ちが高ぶってとか、雰囲気に流されてとか…理由は様々でしたけど」
「それでも結婚相手は何も言わないのか?」
「中にはこだわる人もいますけど、そこにこだわりを持たない人の方が多かったと思いますよ?手を繋いで口づけをして、その流れで性行為をしているだけって感じ」
「「…」」
モーヴもロキも考え込んでしまった
「…では離縁した者や未亡人は…?」
「愛した人を想い続ける方もおられましたけど、普通に再婚されてる方も多かったです。子供と一緒に嫁ぐ方もいましたし、男性側に、もしくは両方に子供がいるケースもありました」
実際私も母の連れ子で父とは血が繋がっていなかったと説明するとさらに驚かれた
「男性的には自分が初めてだと嬉しいとは思うけど、違ったところでそれを理由に拒否するほどのことでもないとか」
「…それは誰の…?」
突っ込んできたのはロキだった
その目が少し鋭くて怖い
「えっと…パーティー組んでた仲間とかだけど…?」
どうしたのかと首を傾げているとモーヴが笑い出す
「オリビエ、今のはクロキュスの嫉妬だ」
「え?」
ロキを見ると不貞腐れたように顔を反らした
一体どこに嫉妬するような要素があったのか?
どことなく不穏な空気を感じながらそれに気づかないふりをした
余裕が出来たからと足を運んでくれた人、その分回数を増やした人など様々だけど、賑わっているのは有り難いことだと思う
お客さんが残り1組となりそろそろ片付けようかと思った時、大きな魔力を感じた
ロキも同様で読んでいた本から目を離す
私たちの見る先、店の入り口付近にモーヴが姿を現した
「珍しいお客様ですね?」
扉を開けて迎え入れるとカウンターに座る
王族がカウンターに…と思ったものの、自ら座ったのだからとそのことには触れないことにした
「可愛い甥に会いたかったのと、オリビエに聞きたいことがあってな」
「可愛いは余計だろ?」
「いやいや。妹の面影を持つお前は可愛いさ」
ロキは嫌そうな顔をしつつも遠ざけようとはしない
モーヴが妹であるロキの母を大切にしていたことは言葉の端々から伝わってくる
妹の代わりにロキを大切にしたいのだろう気持ちも理解しているからだ
「何か召し上がります?」
「そうだな…新しい果物の…」
悩んでいるようなので3種類をトレイに載せて見せる
「黄色のタグのものを頂こう」
「ありがとうございます。すぐに準備しますね。ロキはどうする?」
「コーヒーのケーキ」
ボソッと呟くような答えに頷いて2人分のスイーツをコーヒーと共に準備する
目の前に並べるとモーヴは顔をほころばせた
「優しい味がするな。甘すぎない所もいい」
満足げにかなりのスピードで口の中に入っていくケーキを見れば、その言葉がお世辞でないことはよくわかる
「…で、オリビエに聞きたいことって?」
最後のお客さんが帰ったタイミングでロキは話を振った
「あぁ、実はな…」
モーヴはオナグルに手籠めにされたメイドに関することを説明してくれた
「そこで聞きたい。オリビエの元の世界ではどうだったのだろうかと」
「どうだった、とは婚前行為について、ということです?」
「ああ」
モーヴは頷いた
「そうですね…色んな世界の人がいたせいもあるんでしょうけど、重要視はされてませんでしたね。早い子なら成人する前に処女でなくなってる子もいましたし」
「そんなに早くからか?」
「ええ。それこそ興味本位でとか気持ちが高ぶってとか、雰囲気に流されてとか…理由は様々でしたけど」
「それでも結婚相手は何も言わないのか?」
「中にはこだわる人もいますけど、そこにこだわりを持たない人の方が多かったと思いますよ?手を繋いで口づけをして、その流れで性行為をしているだけって感じ」
「「…」」
モーヴもロキも考え込んでしまった
「…では離縁した者や未亡人は…?」
「愛した人を想い続ける方もおられましたけど、普通に再婚されてる方も多かったです。子供と一緒に嫁ぐ方もいましたし、男性側に、もしくは両方に子供がいるケースもありました」
実際私も母の連れ子で父とは血が繋がっていなかったと説明するとさらに驚かれた
「男性的には自分が初めてだと嬉しいとは思うけど、違ったところでそれを理由に拒否するほどのことでもないとか」
「…それは誰の…?」
突っ込んできたのはロキだった
その目が少し鋭くて怖い
「えっと…パーティー組んでた仲間とかだけど…?」
どうしたのかと首を傾げているとモーヴが笑い出す
「オリビエ、今のはクロキュスの嫉妬だ」
「え?」
ロキを見ると不貞腐れたように顔を反らした
一体どこに嫉妬するような要素があったのか?
どことなく不穏な空気を感じながらそれに気づかないふりをした
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
573
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる