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87.不審点(side:カクテュス)
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「何かおわかりに?」
「おそらく契約だろう。魔封じのおかげで効力が切れた上に記憶があいまいということは主従契約か…」
「なるほど。王族なら魔力量的にも問題ありませんね。防御系の魔道具は数が少ない上に高価と考えればゴールドとシルバーが回避しやすかった理由にも説明がつきます」
スキットが納得したように頷いた
「さてどうしたものか」
「…主従契約であれば本人の意思は皆無ですね」
「そう言うことだ。操られて攻め入ったものをどう裁くべきか」
「意思がなかったとはいえ一般人を狙っています。おとがめなしとはいきません。それに彼らが攻めたのは自国ではない」
「操られていたシルバー3人とブロンズの当主を除いたこの17名の家には、1人当たり1000万シアを賠償として支払わせろ」
「承知しました」
「支払いが完了した家の者は一旦拘束を解いて構わん」
「一旦、ですか?」
「牢に入れている間の方がまともな食生活が出来てしまうからな。称号持ちとしての3国からの処罰は別途相談することになっている」
「なるほど。その間の世話をする謂れはないと」
スキットはおかしそうに笑いながら言った
「そういうことだ。回収した金はフジェに渡してやれ。ソンシティヴュから一番長い間被害を受けていた町だ。タマリなら悪用もしないだろう」
「早急に手配いたします。当の騎士達はいかがいたしますか?」
「…次の魔物狩りは2日後だったか?」
「左様でございます」
「ふむ。騎士団長を呼んでくれ」
側近に伝えるとすぐに騎士団長はやってきた
「鍛錬中にすまんな」
「とんでもありません」
騎士団長ソルトは首を横に振る
「今度の魔物狩りに今捉えている騎士の一部、20名を連れて行けるか?」
「…その意図をお聞かせ頂いても?」
王の指示だからと二つ返事に頷くことはしない
モーヴがソルトを団長にしたのはそれが一番大きな理由だった
この大きな事態でも揺るがないそれに、心の中で喜ばしいものだと思うも表には出さない
「主従契約で操られていたとみられる20名だ。一族の者には賠償金を支払わせるが、当人におとがめなしとはいかないだろう?」
「操られていた者に共通点のようなものは?」
相変わらずいい目の付け所だとモーヴは感心したようにつぶやいた
「状況から考えてオナグルは当主を操ろうとしたはずだ。実際ブロンズ30家のうち10家が当主もしくは当主相当の者が操られている」
「では当主ではなく騎士自身が操られたということは…」
ソルトは少し考え込むような素振りを見せた
「当主は防御の魔道具を持っていたが、魔物と対峙する息子には持たせなかったということだな」
「つまりあの国の風習を踏まえて考えれば、家の習わしや当主命令ではなく、自らの意思で騎士を志願した者の可能性が高いと?」
「亡命者の受け入れで騎士が不足していると言っていただろう?」
「それは…しかしだからと言って…!」
ソルトが反論しかけたのをモーヴは遮った
「何もすべて受け入れろと言っているわけではない。魔物狩りで見極めろと言っている」
「!」
「各グループに1人ずつ放り込んでその人となり、適性を見極めてみても損はないと思うが?」
モーヴはそう言いながらニヤリと笑う
「それに、もし魔物と対峙した場面で取り繕うような器用な芸当ができる者がいるなら、それこそ別の使い道もあろう?」
「元々否定感情を持った我々が認める者がいるかは定かではありませんが…」
「その中で認めれるなら即戦力だ。素人を一から育てるより有益だな。なに、認められなければ国に返すだけでこっちには何のデメリットもない」
「承知しました。皆にもそのように」
ソルトは頷いた
「おそらく契約だろう。魔封じのおかげで効力が切れた上に記憶があいまいということは主従契約か…」
「なるほど。王族なら魔力量的にも問題ありませんね。防御系の魔道具は数が少ない上に高価と考えればゴールドとシルバーが回避しやすかった理由にも説明がつきます」
スキットが納得したように頷いた
「さてどうしたものか」
「…主従契約であれば本人の意思は皆無ですね」
「そう言うことだ。操られて攻め入ったものをどう裁くべきか」
「意思がなかったとはいえ一般人を狙っています。おとがめなしとはいきません。それに彼らが攻めたのは自国ではない」
「操られていたシルバー3人とブロンズの当主を除いたこの17名の家には、1人当たり1000万シアを賠償として支払わせろ」
「承知しました」
「支払いが完了した家の者は一旦拘束を解いて構わん」
「一旦、ですか?」
「牢に入れている間の方がまともな食生活が出来てしまうからな。称号持ちとしての3国からの処罰は別途相談することになっている」
「なるほど。その間の世話をする謂れはないと」
スキットはおかしそうに笑いながら言った
「そういうことだ。回収した金はフジェに渡してやれ。ソンシティヴュから一番長い間被害を受けていた町だ。タマリなら悪用もしないだろう」
「早急に手配いたします。当の騎士達はいかがいたしますか?」
「…次の魔物狩りは2日後だったか?」
「左様でございます」
「ふむ。騎士団長を呼んでくれ」
側近に伝えるとすぐに騎士団長はやってきた
「鍛錬中にすまんな」
「とんでもありません」
騎士団長ソルトは首を横に振る
「今度の魔物狩りに今捉えている騎士の一部、20名を連れて行けるか?」
「…その意図をお聞かせ頂いても?」
王の指示だからと二つ返事に頷くことはしない
モーヴがソルトを団長にしたのはそれが一番大きな理由だった
この大きな事態でも揺るがないそれに、心の中で喜ばしいものだと思うも表には出さない
「主従契約で操られていたとみられる20名だ。一族の者には賠償金を支払わせるが、当人におとがめなしとはいかないだろう?」
「操られていた者に共通点のようなものは?」
相変わらずいい目の付け所だとモーヴは感心したようにつぶやいた
「状況から考えてオナグルは当主を操ろうとしたはずだ。実際ブロンズ30家のうち10家が当主もしくは当主相当の者が操られている」
「では当主ではなく騎士自身が操られたということは…」
ソルトは少し考え込むような素振りを見せた
「当主は防御の魔道具を持っていたが、魔物と対峙する息子には持たせなかったということだな」
「つまりあの国の風習を踏まえて考えれば、家の習わしや当主命令ではなく、自らの意思で騎士を志願した者の可能性が高いと?」
「亡命者の受け入れで騎士が不足していると言っていただろう?」
「それは…しかしだからと言って…!」
ソルトが反論しかけたのをモーヴは遮った
「何もすべて受け入れろと言っているわけではない。魔物狩りで見極めろと言っている」
「!」
「各グループに1人ずつ放り込んでその人となり、適性を見極めてみても損はないと思うが?」
モーヴはそう言いながらニヤリと笑う
「それに、もし魔物と対峙した場面で取り繕うような器用な芸当ができる者がいるなら、それこそ別の使い道もあろう?」
「元々否定感情を持った我々が認める者がいるかは定かではありませんが…」
「その中で認めれるなら即戦力だ。素人を一から育てるより有益だな。なに、認められなければ国に返すだけでこっちには何のデメリットもない」
「承知しました。皆にもそのように」
ソルトは頷いた
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