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86.薄情な家族(side:ソンシティヴュ)
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フジェに攻め込んだ騎士は、カクテュスに着くなり即席で用意された牢から城の地下牢に移された
魔術師たちは全ての騎士に自害防止の魔術を施すと同時に、簡単な聞き取りを進める
その日のうちに個人が特定され、その情報をもとにソンシティヴュに入った魔術師と騎士達に捕らわれた者の家族が拘束された
数が多いため、比較的大きな屋敷をいくつか選び、その地下牢に入れることになったのだが…
***side 地下牢に入れられた家族***
「攻め入った息子とはすでに縁を切っているんだぞ!我が家とは関係ないはずだ!」
「うちだってそうよ。あんな野蛮な男は息子でも何でもありません!だから早くここから出しなさい!」
「そうよ!私はこんなところに入る様な人間じゃないのよ?早く出しなさいよ!ここから出たらあなた達なんてすぐに片付けてやるからね!」
ヒステリックに騒ぐ家族たちを冷めた目で一瞥する
「縁を切ろうが我々には関係ない。むしろ窮地に陥って家族を投げ出す者を我々は信用しない。それ以前に都合が悪くなったからと息子を切り捨てる等親として、人としてどうかと思うがな」
「!!」
その言葉に騒いでいたモノが一瞬で口を閉じた
まずいと思っても、吐き出した言葉を回収することは不可能だ
「連帯責任、運命共同体その辺の言葉の意味くらい知ってるだろ?」
「それが何だというのだ?」
「ソンシティヴュの称号持ちも王族も、わが身の事しか考えないことは有名だ。民を奴隷としか見ていないその考え方は、他の3国ではまず受け入れられない」
「だから何なのよ?私たちはその分王族にお金も納めてるのよ?その分贅沢をして何が悪いというのよ?」
「そうよ!贅沢するのは私たちの権利だわ」
「お金を納められない平民を奴隷として扱って何が悪いのよ?嫌なら何としてでもお金を作ればいいだけじゃない」
贅を尽くしたドレスを着た婦人の言葉にため息だけが返される
「今のうちに好きなだけ喚けばいい。だが、この先はあんたたちがしてきたことをやり返される番だと覚悟だけはしとくんだな」
「何だと?」
「どういう意味よ!?」
「あんた達だけで一体何ができる?塀で囲まれた今、食料の入手すら満足にできないくせに偉そうな口きくんじゃねぇよ」
「何ですって?」
「どれだけ金があっても売ってくれる商人がいなけりゃ何も手に入らない」
「自分の力だけでは身なりを保つことさえままならない」
その言葉に牢の中が一瞬静まった
贅を尽くしたドレスもよく見れば皺やシミが目立つ
髪はかろうじてとかしているという状態でしかない
男たちはひげを伸ばしたままか、髭剃りを失敗して傷を作っているかのどちらかしかいない
冷静になればなるほど、人前に出れるような身なりでないことを思い出すのだろう
女性は真っ赤になった顔を手で覆い、男性は顎元に手をやる
「それにしても滑稽だな。誰一人として使用人が残ってないとは…あんたたちがどんな接し方をしてきたのかよくわかる」
「少しでも心の通った接し方をしてれば残る者もいただろうにな」
それが一人もいないということはそれなりの接し方をしてきたということだ
情で残る者もいないのだから
家族たちが牢の中で責任の擦り付け合いを始めるのはこのすぐ後の事だった
***
魔術師たちは全ての騎士に自害防止の魔術を施すと同時に、簡単な聞き取りを進める
その日のうちに個人が特定され、その情報をもとにソンシティヴュに入った魔術師と騎士達に捕らわれた者の家族が拘束された
数が多いため、比較的大きな屋敷をいくつか選び、その地下牢に入れることになったのだが…
***side 地下牢に入れられた家族***
「攻め入った息子とはすでに縁を切っているんだぞ!我が家とは関係ないはずだ!」
「うちだってそうよ。あんな野蛮な男は息子でも何でもありません!だから早くここから出しなさい!」
「そうよ!私はこんなところに入る様な人間じゃないのよ?早く出しなさいよ!ここから出たらあなた達なんてすぐに片付けてやるからね!」
ヒステリックに騒ぐ家族たちを冷めた目で一瞥する
「縁を切ろうが我々には関係ない。むしろ窮地に陥って家族を投げ出す者を我々は信用しない。それ以前に都合が悪くなったからと息子を切り捨てる等親として、人としてどうかと思うがな」
「!!」
その言葉に騒いでいたモノが一瞬で口を閉じた
まずいと思っても、吐き出した言葉を回収することは不可能だ
「連帯責任、運命共同体その辺の言葉の意味くらい知ってるだろ?」
「それが何だというのだ?」
「ソンシティヴュの称号持ちも王族も、わが身の事しか考えないことは有名だ。民を奴隷としか見ていないその考え方は、他の3国ではまず受け入れられない」
「だから何なのよ?私たちはその分王族にお金も納めてるのよ?その分贅沢をして何が悪いというのよ?」
「そうよ!贅沢するのは私たちの権利だわ」
「お金を納められない平民を奴隷として扱って何が悪いのよ?嫌なら何としてでもお金を作ればいいだけじゃない」
贅を尽くしたドレスを着た婦人の言葉にため息だけが返される
「今のうちに好きなだけ喚けばいい。だが、この先はあんたたちがしてきたことをやり返される番だと覚悟だけはしとくんだな」
「何だと?」
「どういう意味よ!?」
「あんた達だけで一体何ができる?塀で囲まれた今、食料の入手すら満足にできないくせに偉そうな口きくんじゃねぇよ」
「何ですって?」
「どれだけ金があっても売ってくれる商人がいなけりゃ何も手に入らない」
「自分の力だけでは身なりを保つことさえままならない」
その言葉に牢の中が一瞬静まった
贅を尽くしたドレスもよく見れば皺やシミが目立つ
髪はかろうじてとかしているという状態でしかない
男たちはひげを伸ばしたままか、髭剃りを失敗して傷を作っているかのどちらかしかいない
冷静になればなるほど、人前に出れるような身なりでないことを思い出すのだろう
女性は真っ赤になった顔を手で覆い、男性は顎元に手をやる
「それにしても滑稽だな。誰一人として使用人が残ってないとは…あんたたちがどんな接し方をしてきたのかよくわかる」
「少しでも心の通った接し方をしてれば残る者もいただろうにな」
それが一人もいないということはそれなりの接し方をしてきたということだ
情で残る者もいないのだから
家族たちが牢の中で責任の擦り付け合いを始めるのはこのすぐ後の事だった
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