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83.目覚め
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「…」
外から聞こえてくる音に意識が浮上する
自分の名前が何度も出て来る会話にロキの声だと、徐々に理解した
「私…」
「…大丈夫か?」
飛び込んできたのは心配を含んだロキの声
そして不安そうな顔
いつか約束した時よりもはるかに辛そうな顔だった
「2時間くらい前に一度目覚めた。でも錯乱してたからフロックスに…」
「錯乱…?」
全く心当たりがない
「知るはずのない争いの光景を知ってると…」
様子を伺いながらロキは話してくれた
このままでは心が壊れそうだと判断するほど異常な震えだったと、そう告げた声は少し震えていた
どれだけ心配をかけてしまったんだろうか…?
「…全然覚えてない…」
「そうか…」
それがいいのか悪いのか考えあぐねているような表情だ
当の私も記憶がないだけに判断できずにいた
「…あの子は無事?みんなも…」
「大丈夫だ」
「そう…良かった」
心からそう思う
「けが人は出たけどこっちに死者はいない。けが人もモーヴが寄越してくれた魔術師に治療されてもう元の生活に戻ってる」
「…魔術士ってすごいのね…」
「俺も今回ばかりはそう思ったよ」
その声には安堵が見て取れる
「お前は3日間眠り続けてたんだ。フロックスにも魔術師にもどうすることも出来なかった」
「3日も?」
驚いてロキを見ると目の下に酷いクマが出来ていた
「ずっと…ついててくれたの?」
「当たり前だ。もしこのまま目を覚まさなかったら…そう思うと…」
私を抱きしめる手が震えていた
あの時遠ざかる意識の中でロキの声を聞いた
試練の迷宮の時と違い、ロキの目の前で私は倒れたのだろう
誰よりも優しいロキがどれだけ自分を責めたのだろうか…
「ごめんね…ありがとう…」
それしか言えない
その気持ちを伝えるために抱きしめ返すことしか出来ない
抱きしめ合い、ただ互いの温もりを感じていた
「入るぞ」
どれくらい時間が経ったのか、フロックスが入ってきた
「お、目覚めたか?なら皆呼ぶぞ?心配してたから」
ホッとしたようにそう言いながらすぐに出て行った
少しするとたくさんの足音が近づいてきた
「オリビエ!」
最初に飛び込んできたのはコルザだった
ロキにもたれかかるように座り直していた私を見てその目から涙が溢れ出す
「コルザ?」
急に立ち止まったコルザに首をかしげる
「…側に、行ってもいい?」
「勿論」
コルザの方に手を伸ばすと抱き付いてきた
「よかっ…た…」
「うん…」
しがみ付いて泣くコルザに私の目からも涙が零れる
「本当に良かった…」
「皆…」
この時の、涙を流しながら微笑む優しい皆の顔を私は一生忘れられないと思う
「オリビエとまた遊べる?」
リラに尋ねられたカメリアがクシャクシャの顔で頷いていた
ようやくこの屋敷にも日常が戻ってきたと呟くようなジョンの言葉が胸に響く
それは簡単なようで難しいことなのだと
誰か一人でもかけてはいけないのだと
そんなことを思いながらみんなから掛けられる言葉を聞いていた
外から聞こえてくる音に意識が浮上する
自分の名前が何度も出て来る会話にロキの声だと、徐々に理解した
「私…」
「…大丈夫か?」
飛び込んできたのは心配を含んだロキの声
そして不安そうな顔
いつか約束した時よりもはるかに辛そうな顔だった
「2時間くらい前に一度目覚めた。でも錯乱してたからフロックスに…」
「錯乱…?」
全く心当たりがない
「知るはずのない争いの光景を知ってると…」
様子を伺いながらロキは話してくれた
このままでは心が壊れそうだと判断するほど異常な震えだったと、そう告げた声は少し震えていた
どれだけ心配をかけてしまったんだろうか…?
「…全然覚えてない…」
「そうか…」
それがいいのか悪いのか考えあぐねているような表情だ
当の私も記憶がないだけに判断できずにいた
「…あの子は無事?みんなも…」
「大丈夫だ」
「そう…良かった」
心からそう思う
「けが人は出たけどこっちに死者はいない。けが人もモーヴが寄越してくれた魔術師に治療されてもう元の生活に戻ってる」
「…魔術士ってすごいのね…」
「俺も今回ばかりはそう思ったよ」
その声には安堵が見て取れる
「お前は3日間眠り続けてたんだ。フロックスにも魔術師にもどうすることも出来なかった」
「3日も?」
驚いてロキを見ると目の下に酷いクマが出来ていた
「ずっと…ついててくれたの?」
「当たり前だ。もしこのまま目を覚まさなかったら…そう思うと…」
私を抱きしめる手が震えていた
あの時遠ざかる意識の中でロキの声を聞いた
試練の迷宮の時と違い、ロキの目の前で私は倒れたのだろう
誰よりも優しいロキがどれだけ自分を責めたのだろうか…
「ごめんね…ありがとう…」
それしか言えない
その気持ちを伝えるために抱きしめ返すことしか出来ない
抱きしめ合い、ただ互いの温もりを感じていた
「入るぞ」
どれくらい時間が経ったのか、フロックスが入ってきた
「お、目覚めたか?なら皆呼ぶぞ?心配してたから」
ホッとしたようにそう言いながらすぐに出て行った
少しするとたくさんの足音が近づいてきた
「オリビエ!」
最初に飛び込んできたのはコルザだった
ロキにもたれかかるように座り直していた私を見てその目から涙が溢れ出す
「コルザ?」
急に立ち止まったコルザに首をかしげる
「…側に、行ってもいい?」
「勿論」
コルザの方に手を伸ばすと抱き付いてきた
「よかっ…た…」
「うん…」
しがみ付いて泣くコルザに私の目からも涙が零れる
「本当に良かった…」
「皆…」
この時の、涙を流しながら微笑む優しい皆の顔を私は一生忘れられないと思う
「オリビエとまた遊べる?」
リラに尋ねられたカメリアがクシャクシャの顔で頷いていた
ようやくこの屋敷にも日常が戻ってきたと呟くようなジョンの言葉が胸に響く
それは簡単なようで難しいことなのだと
誰か一人でもかけてはいけないのだと
そんなことを思いながらみんなから掛けられる言葉を聞いていた
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