147 / 317
47.隣国との交渉
2
しおりを挟む
「ん…」
いつもと違う何かに目を覚ます
「ロキ?」
いつもなら自分が抱きしめられているはず
でも今、ロキの頭が私の胸元にある
腰に回された手には寝返りを打つことも出来ないほど強く抱きしめられている
幼馴染のダビアさんでさえきっかけがないと思い出せない事実は、一体どれだけ長い間自分の中だけに秘めてきたのだろうか
シャドウとの仲をみればカクテュスを拒否してるようには見えない
ひょっとしたら王宮に勤めていたのも何か理由があったのかもしれない
いつもと違い甘えるように求められたのを思い出す
自然とロキの頭を包み込むように抱きしめていた
「ロキが何者だろうと、何を考えていようと変わらないよ?」
そうささやいたときロキの体が一瞬強張った
「起こしちゃった?」
「いや…」
離れようとしたらさらに強くしがみ付かれる
「…かっこわりぃ」
「かっこいいロキもかっこ悪いロキも、優しいロキも、情けないロキも…どんなロキでも私の気持ちは変わらないよ?」
「…」
「私だってロキを支えたいし助けたい。ロキが気を許せる場所でありたい。無理にとは言わないけど…」
いつもロキがしてくれるようにロキの頭頂部に口づける
するといきなり布団の中に引きずり込まれた
「ロキ?」
さっきまでと逆にロキの腕の中に抱きこまれていた
「絶対離さない」
「うん。離さないで」
「返品はきかないから」
「ふふ…返品する気もないけどね」
2人でしばらくじゃれ合っているうちに外が明るくなってきた
「そろそろ起きるか」
「うん。ご飯作らなきゃね」
簡単に身支度してキッチンに向かう
「そういえばシャドウは食事ってどうしてるの?」
「さぁ、聞いたことねぇけど交代で取ってんじゃねぇの?」
「そっか…シャドウ!」
呼ぶと1人が現れる
「お呼びで?」
「うん。これ、食べないかと思って」
スイーツを3つシャドウに見せる
「まぁ!」
シャドウの顔に笑みが浮かんだ
「…その顔はあいつらが羨ましかったって辺りか?」
「おっしゃる通りです。非常においしいといつも自慢されておりますので」
「そんなにあげてたの?」
どちらかというとそっちの方が驚きだ
「ちょっと無理言うときは大抵…?」
「知ってたらちゃんと用意したのに。でも喜んでくれてるならよかった。希望があれば教えてくれると嬉しいんだけど…」
「贅沢を言えばカフェのケースを端から順に堪能したいと」
「え?」
「どれも目移りするほどおいしそうですので」
「ふふ…ありがとう。じゃぁこれから色々試してね」
そう言いながら先ほど見せたスイーツを3つ手渡す
「ありがとうございます。では」
シャドウが消えた直後足音が近づいてきた
「何だお前ら早いな」
「今降りてきたところだ。ダビア、ついでにそこの窓開けてくれ」
「んー」
ダビアが言われた通り窓を開けると鷹が飛び込んできた
鷹はロキの周りを2周してから何かの封筒を差し出した
「ご苦労さん」
魔力を与えてやると飛んでいった
「今の鷹は?」
「郵便物を運ぶ鷹だ。これは王からだ」
「王がなんだって?」
ダビアが身を乗り出してくる
「…歌姫が脱走したらしい」
最後まで目を通したロキはつぶやくように言う
「脱走?イモーテルが?」
「いや、契約とかどうなってんだよ…」
「3種類とも無効になってたらしい。おそらく召喚された影響か何かじゃないかって。もし見かけたら連絡が欲しいとさ」
「脱走ってよくできたな?」
「イモーテルなら楽勝かも。元々変装はあの子にとって日常だしね。あの子のことだからメイドにでも化けて王宮から出たんじゃないかな?その後は普通の服に着替えて…あの髪さえ目立たなくできれば人ごみに紛れて既に王都を離れてるでしょ」
「まじか…言われてみりゃメイドの顔全部覚えてる騎士なんていないな」
「王族に取ったら爆弾だな。歌姫まで隠したとか独占したとなると…」
「脱走したなんて通用しないものね」
呆れた笑いしか出てこなかった
いつもと違う何かに目を覚ます
「ロキ?」
いつもなら自分が抱きしめられているはず
でも今、ロキの頭が私の胸元にある
腰に回された手には寝返りを打つことも出来ないほど強く抱きしめられている
幼馴染のダビアさんでさえきっかけがないと思い出せない事実は、一体どれだけ長い間自分の中だけに秘めてきたのだろうか
シャドウとの仲をみればカクテュスを拒否してるようには見えない
ひょっとしたら王宮に勤めていたのも何か理由があったのかもしれない
いつもと違い甘えるように求められたのを思い出す
自然とロキの頭を包み込むように抱きしめていた
「ロキが何者だろうと、何を考えていようと変わらないよ?」
そうささやいたときロキの体が一瞬強張った
「起こしちゃった?」
「いや…」
離れようとしたらさらに強くしがみ付かれる
「…かっこわりぃ」
「かっこいいロキもかっこ悪いロキも、優しいロキも、情けないロキも…どんなロキでも私の気持ちは変わらないよ?」
「…」
「私だってロキを支えたいし助けたい。ロキが気を許せる場所でありたい。無理にとは言わないけど…」
いつもロキがしてくれるようにロキの頭頂部に口づける
するといきなり布団の中に引きずり込まれた
「ロキ?」
さっきまでと逆にロキの腕の中に抱きこまれていた
「絶対離さない」
「うん。離さないで」
「返品はきかないから」
「ふふ…返品する気もないけどね」
2人でしばらくじゃれ合っているうちに外が明るくなってきた
「そろそろ起きるか」
「うん。ご飯作らなきゃね」
簡単に身支度してキッチンに向かう
「そういえばシャドウは食事ってどうしてるの?」
「さぁ、聞いたことねぇけど交代で取ってんじゃねぇの?」
「そっか…シャドウ!」
呼ぶと1人が現れる
「お呼びで?」
「うん。これ、食べないかと思って」
スイーツを3つシャドウに見せる
「まぁ!」
シャドウの顔に笑みが浮かんだ
「…その顔はあいつらが羨ましかったって辺りか?」
「おっしゃる通りです。非常においしいといつも自慢されておりますので」
「そんなにあげてたの?」
どちらかというとそっちの方が驚きだ
「ちょっと無理言うときは大抵…?」
「知ってたらちゃんと用意したのに。でも喜んでくれてるならよかった。希望があれば教えてくれると嬉しいんだけど…」
「贅沢を言えばカフェのケースを端から順に堪能したいと」
「え?」
「どれも目移りするほどおいしそうですので」
「ふふ…ありがとう。じゃぁこれから色々試してね」
そう言いながら先ほど見せたスイーツを3つ手渡す
「ありがとうございます。では」
シャドウが消えた直後足音が近づいてきた
「何だお前ら早いな」
「今降りてきたところだ。ダビア、ついでにそこの窓開けてくれ」
「んー」
ダビアが言われた通り窓を開けると鷹が飛び込んできた
鷹はロキの周りを2周してから何かの封筒を差し出した
「ご苦労さん」
魔力を与えてやると飛んでいった
「今の鷹は?」
「郵便物を運ぶ鷹だ。これは王からだ」
「王がなんだって?」
ダビアが身を乗り出してくる
「…歌姫が脱走したらしい」
最後まで目を通したロキはつぶやくように言う
「脱走?イモーテルが?」
「いや、契約とかどうなってんだよ…」
「3種類とも無効になってたらしい。おそらく召喚された影響か何かじゃないかって。もし見かけたら連絡が欲しいとさ」
「脱走ってよくできたな?」
「イモーテルなら楽勝かも。元々変装はあの子にとって日常だしね。あの子のことだからメイドにでも化けて王宮から出たんじゃないかな?その後は普通の服に着替えて…あの髪さえ目立たなくできれば人ごみに紛れて既に王都を離れてるでしょ」
「まじか…言われてみりゃメイドの顔全部覚えてる騎士なんていないな」
「王族に取ったら爆弾だな。歌姫まで隠したとか独占したとなると…」
「脱走したなんて通用しないものね」
呆れた笑いしか出てこなかった
29
お気に入りに追加
600
あなたにおすすめの小説
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる