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40.気持ち

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「昨日の朝ローズに言われたの。ロキはモテるしロキ目当てのお客さんだって多いのに取られてもいいのかって」
「…」
「ローズの言葉でロキが他の人に寄り添うこと考えたら苦しくなった。嫌だって思ったの」
ロキが私の頬に手を添える

「元の世界からいきなり召喚されていっぱい後悔した。人生いつ何が起こるか分からないのに何もしないまま失うなんて嫌だって思ったの。気持ちを伝えないまま失いたくないってだからちゃんと伝えようって…」
「…俺がお前以外に惹かれるわけないのに…でもありがとな」
零れ落ちる涙を拭いながらロキはそう言った

「教会行くか?」
「行く」
即答するとロキが照れ臭そうに笑った
私を膝から降ろして立ち上がると肩を抱き寄せ歩き出す

「ロキ?」
「何だよ?」
「えと…肩…」
「お前の気持ちも聞いたから気持ちを抑えるつもりはない」
「!」
そう言いながら後頭部にキスを落とされる
甘すぎるロキの行動にどうしていいかわからずただされるがままになっていた

「お、ロキやっと堕とせたのか?」
町中で親しくなった人にそんなからかいを受けるのがくすぐったい

「ようやく落ち着いたか?見てるこっちもスッキリするわ」
「本当だな。まったくじれったい以外の何物でもなかったからな」
「うるせぇよ」
軽口で返しながらもどこか嬉しそうなロキに苦笑する

「みんな驚いたりはしないんだねー?」
「俺の気持ちがあからさまだったからな。随分けしかけられた」
「そうなの?」
「そうなんだよ」
少し不貞腐れたように言うロキに思わず笑ってしまった

「あ、店長さんやっとOKしたの?」
「え?」
かけられた声に振り向くと見覚えのある女性たちが立っていた

「あ…」
そこにいたのは先日カフェでロキをカッコいいと言っていた女性たちだ

「これって作戦成功ってこと?」
「作戦?」
「店長さんを焦らそう作戦。ロキを押しても進展しないからってダビアとマロニエが考えたのよ」
「「え…?」」
私たちは顔を見合わせる

「ローズが不安をあおったところに私たちも追い打ちを…ってね」
彼女たちの一人が茶目っ気たっぷりに言う

「ねって…」
「今そうやって寄り添ってるってことは、成功!ってことよね?」
「~~~~~!」
声にならない何かが漏れる

「まさかあいつらが今朝早くから出かけたのも…?」
「あたりー!もう町のみんながじれったいって思ってたのよねー」
「そうそう。どう見てもお互いしか目に入ってないのに付き合ってないとかありえないって」
口々に明かされる言葉に穴があったら入りたい心境になってきた

「ロキをカッコいいって…」
「ん~確かに顔はいいんだけどね、明らかに店長さんしか眼中にないから狙う以前の問題よね。目の保養にはなるけど」
「目の保養…」
「店長さんの側にいるロキを見てロキに恋する子なんていないと思うわよ?はなから叶わないの分かってるからね」
「…」
どうやら私は完全にしかけられた罠に堕ちたらしい
でも不思議と悪い気はしない
そう思うともう笑いしか出てこなかった

「て、店長さん?」
「どうした?」
「あはは…なんかもう笑うしかないじゃない…でもみんなに感謝だね」
「…まぁそうだな」
ロキもため息交じりに言いながら頷いた

「お前らついでに広めといてくれよ」
「何を?」
「今から俺らが行くの、教会だから」
「「「!」」」
彼女たちが一瞬固まり歓喜の悲鳴をあげた

「すぐ広める!任せといて」
「二人ともおめでとう!」
「お幸せに!」
3人は口々に言いながら走って行った

「あんなこと言ってよかったの?」
「変に広まるよりいいだろ。どうせ帰ってあいつらに言ったら勝手に広まるだろうけど」
「確かに」
その後も町の人に冷やかされながらも教会で申請書を提出した
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