[完結]召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います

真那月 凜

文字の大きさ
上 下
118 / 317
36.インベントリの整理

3

しおりを挟む
並べられていたものはほぼ引き取られていき、残ったものの中でも家具やラックだけは倉庫代わりの部屋に入れておき、好きに持ち出していいということにした
話し合った結果、暮らしている中で物の量も変わるから、皆で使いまわすのもありだろうということになったのだ

「ところであの本棚は?」
マロニエが気になっていたのだと尋ねて来た

「あれは元の世界の本なのよね。別に読んでくれてもいいんだけど文字がね…」
「あぁ、読めないってことか」
納得いったように頷いた

「ロキが読みたいって言うから、文字の変換表は作るんだけどね」
「それ僕も欲しい」
ウーが言う

「…ここの本読む以外に使い道ないわよ?」
「うん。でもこんなに沢山あるんだよ?」
文字が分かれば読めるならその方がいいという

「俺も欲しいな。知らない世界の事を知るのは面白そうだ」
「そうだな。俺は図鑑系だけでも読んでみたい」
マロニエとダビアが続く

「私も料理の本を読んでみたいわ。オリビエの料理は初めて見るものばかりだもの」
「ぼくもー」
「えほんがいっぱいあるもん」
コルザとロベリまで乗ってくる

「絵本にはこっちの言葉を書き込んでいこうと思ってるの。コルザたちは先にこっちの文字をちゃんと読み書きできるようになった方がいいんじゃない?」
「んーじゃぁその絵本で両方勉強する」
あら、絵本で2つの言語を同時に習得する気かしら?

「なら俺も絵本に書き込んでいくかな。使ってるうちに覚えれそうだ」
「それいいな。俺もやってみよ」
ロキとマロニエはかなり乗り気だ

「と、とりあえず変換表は皆の分用意した方がよさそうね」
「時間がある時でいいから本棚の中を区分けしてもらえないか?」
「区分け?」
「絵本と図鑑がこの辺に固まってるのは分かったが他はさっぱりだ」
「小説とか料理の本とか…そういう区分け?」
「あぁ。すぐでなくてもいいんだが」
ナハマは申し訳なさそうに言う

「それくらいならお安い御用よ。ついでに子供用は下の方に固めた方がよさそうだし早めにやっておくわね」
「みんなが見るならこの本棚はサロンに置いた方がいいんじゃないか?」
「それもそうね。それはすぐに出来るからやっちゃおうか」
全てを一旦インベントリにしまうと皆でサロンに移動した

「こんな感じ?」
壁際に壁面収納のごとく本棚を並べた
その前にカーペットを敷き、大きなクッションを3つ程適当に並べる

「こいつは贅沢だ」
クッションに身を預けながらそう言ったジョンの顔はにやけている
子供達は寝転がって絵本に手を伸ばしていた
気に入ってくれたなら何よりだ

「このカーペットとクッションも向こうの?」
「そういやこんな模様は見たことが無いな…模様というより織物か?」
「そう。織物の裏にクッション素材をあしらったカーペット。クッションは向こうで一時期かなり流行ったものなのよね。人間をダメにするクッション」
「人間をダメにする?」
ロキが首を傾げる

「ロキ、使って見りゃその意味が分かる」
ジョンが私の代わりに答えた

「?ああ」
ロキは首を傾げながらクッションに身を預けた

「…これは…」
「確かにダメになるな」
残っていた1つに身を預けたダビアが続けた

「でしょう?人気が出すぎて犯罪が多発したせいで生産がストップされたの。だから私が入手できたのはその3つだけ。オークションでは今でもすっごい高額で取引されてるみたいだけどね」
「犯罪?」
「店だけじゃなく工場が襲撃されたみたい」
その言葉に皆が顔を見合わせた

「とにかく、変換表を作るのは最優先事項にするとして…先に夕飯にしましょうか」
「そうだな。腹減ったし」
「本は逃げないからな」
ナハマの言葉に皆が笑いながら食堂に向かった
夕食後すぐに変換表を作ったのは言うまでもない
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

処理中です...