97 / 317
28.交渉
1
しおりを挟む
翌日の16時過ぎに彼女たちは約束通りやってきた
「ごめんなさい。最後のお客さん残ってるからテラス席で待っててもらえる?」
「わかりました」
5人は2つのテーブルに分かれて座った
***
「こんなお店持てたら最高だよね」
「言えてる。評判もすごくいいみたい。だからこの話は凄くビックリ」
「本当だよね。お客さん全部持って行かれて屋台終わりかなーってちょっと思ってたもん」
口々に言いながら辺りを見渡す
風が吹くとテラス席の前にある花畑からいい香りが漂ってきた
「花の香りに包まれて食事するってすごくセレブ感あるよね」
「確かに。私、中よりもこっちの方がいいな。すごく気持ちいい」
そんな話をしていると小さな男の子がやってくる
「どうしたの、ボク?」
「これ、お姉ちゃんたちに待ってる間に読んでもらってってオリビエが」
店を振り返るとさっきの女性が微笑みながら頷いた
「ありがとう。えっと…」
「ロベリ」
「ありがとう。ロベリ君」
「どういたしまして!」
ロベリはそう言って店内に駆けこんでいった
中でオリビエに頭をなでられて嬉しそうに笑っているのが見える
「これ、ここのチラシ?」
受け取ったのは同じ紙が6枚
それを1枚ずつ手に取って読み始める
「ランチって日替わりのみだったんだ?」
「逆にすごいよね。毎日考えなきゃだよ?」
自分たちも作り手だからだろうか
食べる方よりも作る方の視点に立ってしまうようだ
「あ、スイーツって値段3種類なんだ」
「本当だ。400シア~600シアだったらお手頃感あるよね。もっと高いと思ってた」
そんなことを話していると人の声が近づいてくる
「おいしかったね~」
「本当に。ついつい旦那にお土産まで買っちゃったわ。私だけ食べるのが申し訳なくなっちゃって」
「良く言うわ。ちゃっかり自分の分も選んでたでしょうに」
2人の年配の女性は満足気な笑みを浮かべてそんな話をしながら帰っていった
***
「お待たせしました、中へどうぞ」
私はテーブル席を繋げてから彼女たちを中に案内した
「この中から1つずつ選んでくれる?タグの色と番号で言ってくれたらいいから」
ショーケースを指して言うと彼女たちは食いつくようにショーケースをのぞき込む
「すごい…綺麗。私はこの黄色の12番が…」
「私は青の3番」
私は彼女たちの言った番号のスイーツを皿に乗せて渡していく
「飲み物はコーヒーでも大丈夫かしら?」
「あ、はい」
皆が頷いた
「ロキも飲む?」
「ああ」
カウンター裏に座るロキも頷いた
彼女たちからは死角だったようで、突然声が聞こえてきて驚いていた
ちょっと申し訳ない
「そちらのテーブル席にどうぞ」
言われるまま動く彼女たちがちょっとかわいく見える
おそらくみんな年上のはずだけど
そんなことを想いながらロキの前に1つコーヒーを置き、残りの6つをテーブル席に運んだ
「ごめんなさい。最後のお客さん残ってるからテラス席で待っててもらえる?」
「わかりました」
5人は2つのテーブルに分かれて座った
***
「こんなお店持てたら最高だよね」
「言えてる。評判もすごくいいみたい。だからこの話は凄くビックリ」
「本当だよね。お客さん全部持って行かれて屋台終わりかなーってちょっと思ってたもん」
口々に言いながら辺りを見渡す
風が吹くとテラス席の前にある花畑からいい香りが漂ってきた
「花の香りに包まれて食事するってすごくセレブ感あるよね」
「確かに。私、中よりもこっちの方がいいな。すごく気持ちいい」
そんな話をしていると小さな男の子がやってくる
「どうしたの、ボク?」
「これ、お姉ちゃんたちに待ってる間に読んでもらってってオリビエが」
店を振り返るとさっきの女性が微笑みながら頷いた
「ありがとう。えっと…」
「ロベリ」
「ありがとう。ロベリ君」
「どういたしまして!」
ロベリはそう言って店内に駆けこんでいった
中でオリビエに頭をなでられて嬉しそうに笑っているのが見える
「これ、ここのチラシ?」
受け取ったのは同じ紙が6枚
それを1枚ずつ手に取って読み始める
「ランチって日替わりのみだったんだ?」
「逆にすごいよね。毎日考えなきゃだよ?」
自分たちも作り手だからだろうか
食べる方よりも作る方の視点に立ってしまうようだ
「あ、スイーツって値段3種類なんだ」
「本当だ。400シア~600シアだったらお手頃感あるよね。もっと高いと思ってた」
そんなことを話していると人の声が近づいてくる
「おいしかったね~」
「本当に。ついつい旦那にお土産まで買っちゃったわ。私だけ食べるのが申し訳なくなっちゃって」
「良く言うわ。ちゃっかり自分の分も選んでたでしょうに」
2人の年配の女性は満足気な笑みを浮かべてそんな話をしながら帰っていった
***
「お待たせしました、中へどうぞ」
私はテーブル席を繋げてから彼女たちを中に案内した
「この中から1つずつ選んでくれる?タグの色と番号で言ってくれたらいいから」
ショーケースを指して言うと彼女たちは食いつくようにショーケースをのぞき込む
「すごい…綺麗。私はこの黄色の12番が…」
「私は青の3番」
私は彼女たちの言った番号のスイーツを皿に乗せて渡していく
「飲み物はコーヒーでも大丈夫かしら?」
「あ、はい」
皆が頷いた
「ロキも飲む?」
「ああ」
カウンター裏に座るロキも頷いた
彼女たちからは死角だったようで、突然声が聞こえてきて驚いていた
ちょっと申し訳ない
「そちらのテーブル席にどうぞ」
言われるまま動く彼女たちがちょっとかわいく見える
おそらくみんな年上のはずだけど
そんなことを想いながらロキの前に1つコーヒーを置き、残りの6つをテーブル席に運んだ
32
お気に入りに追加
595
あなたにおすすめの小説
捨てた騎士と拾った魔術師
吉野屋
恋愛
貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
暁にもう一度
伊簑木サイ
ファンタジー
成り上がり貧乏辺境領主の後継者ソランは、金策のため、「第二王子を王太子になるよう説得できた者に望みの褒美をとらす」という王の頼みごとを引き受けた。
ところが、王子は女嫌いということで、女とばれないよう、性別を隠して仕えることになる。
ソランと、国のために死に場所を探している王子の、「死なせない」と「巻き込みたくない」から始まった主従愛は、いつしか絶対に失いたくない相手へと変わっていく。
けれど、絆を深めるほどに、古に世界に掛けられた呪いに、前世の二人が関わっていたと判明していき……。
『暁に、もう一度、あなたと』。数千年を越えて果たされる、愛と祈りの物語。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
アリスと魔法の薬箱~何もかも奪われ国を追われた薬師の令嬢ですが、ここからが始まりです!~
有沢真尋
ファンタジー
アリスは、代々癒やしの魔法を持つ子爵家の令嬢。しかし、父と兄の不慮の死により、家名や財産を叔父一家に奪われ、平民となる。
それでもアリスは、一族の中で唯一となった高度な魔法の使い手。家名を冠した魔法薬草の販売事業になくなてはならぬ存在であり、叔父一家が実権を握る事業に協力を続けていた。
ある時、叔父が不正をしていることに気づく。「信頼を損ない、家名にも傷がつく」と反発するが、逆に身辺を脅かされてしまう。
そんなアリスに手を貸してくれたのは、訳ありの騎士。アリスの癒やし手としての腕に惚れ込み、隣国までの護衛を申し出てくれた。
行き場のないアリスは、彼の誘いにのって、旅に出ることに。
※「その婚約破棄、巻き込まないでください」と同一世界観です。
※表紙はかんたん表紙メーカーさま・他サイトにも公開あり
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています
如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」
何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。
しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。
様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。
この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが……
男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる