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27.定休日

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「あ、あれだ」
視線の先に3種類のゼリーを出している屋台があった
今はお客さんが並んでいないのでチャンスだとばかりに足を速めた

「すみませーん」
「はい」
声をかけると店員の20代半ばの女性が愛想のいい笑みを返してくれる
最初はしばらく雑談をして、その中から彼女の現状を聞き出していくのを、ロキは少し離れたところで見ていた

「実は…」
さっきロキに話したような情報を、大まかに彼女に説明すると興味を持ったのが分かった

「もし興味があったら一度カフェの方に来てください。閉店後の16時以降ならいつでも時間が取れますから」
「分かりました。明日にでも伺わせてもらいます!あの、他の子たちにも声をかけてもいいですか?」
「ほかの子って別の日に屋台をしている?」
「はい。みんな幼馴染なんです」
彼女はそう言って優しい眼差しを見せた

「私の方は構わないけど明日店をする子は大丈夫?」
「明日は私の妹なの。妹は私のマネが大好きな子だから大丈夫」
キッパリ言い切る様子からも仲の良さが伺える
ひとりっ子だった私としては、そういう関係もあるのだとちょっとうらやましく思う

「そういうことね。じゃぁ明日お待ちしてるわ」
屋台の周りにちらほらと人がいるのを見て話を切り上げた
決して営業妨害したいわけじゃないという意思表示だ

「感触は良さげだな」
「うん。スイーツの屋台してるのは皆幼馴染なんだって。その子達にも声をかけて明日の夕方来てくれるみたい」
「相変わらず仕事が早い」
「ふふ…おほめ頂き光栄です」
「ばーか」
コツンとおでこを小突かれる
痛みは全くないのだけど

「やっぱり売れ残った分はほとんど捨ててたみたいなんだよね。スイーツはケーキなら2~3日、今の子のようにゼリーなら4~5日は持つから勿体ないと思わない?」
「かといって自分たちでひたすら食べるわけにもいかないか…」
「流石にね」
想像して苦笑する
残りを全部食べていたらそれこそ気分も悪くなるだろう
かといって作る数を減らして品切れというのもいただけない

「屋台の翌朝カフェに持ってきてもらうって言うのも有かもね。少なくともロスは減るはずだから」
「で、お前はほとんど何もせずに、その売り上げの一部を手に入れるってわけだ」
「人聞きの悪いこと言わないでよね。普通なら家賃と光熱費で20%弱、人件費が30%くらいはかかるんだから一部を受け取るのは妥当でしょう?」
「まぁ、マージン無と言われるよりは信用できるな」
ロキは笑いながらそう言った
どこの世界でもただほど怖いものはないのだ

その後は野菜を調達して屋敷に戻る
本を追加したことはあえて言わなかったけど、子供たちがすぐに気づいて皆が大喜びしていた
そのはしゃぎようにジョンとカメリアも本が増えていることに気付いて、すぐに没頭していたのは言うまでもない

「俺らだけじゃないみたいだな。本好きは」
「確かに」
なぜか全員がサロンで思い思いので本を読んでいる
好きなことを皆で共有できるのはとても嬉しいことなのだと、この時私は初めて知ったのだ
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