[完結]召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います

真那月 凜

文字の大きさ
上 下
82 / 317
25.お駄賃の調達

1

しおりを挟む
開店して3日も経つと、慌ただしさにも体が慣れてきた
でも、予想以上のお客さんの数のおかげで、食材の調達が必要となってきた

ということで、カフェを閉めてから買い物に行くことにした
「ついでにお駄賃の調達しないとかな」
「あぁ、文字と数の練習帳だったか?」
「そうだよ。後はウーの本なんだけど…」
庭を見回すと小屋の側にいるウーを見つけた

「ウー!」
「何ー?」
「買い物行くけど一緒に行く?本、選びたいでしょう?」
「行く!」
ウーはジョンと少し言葉を交わしてからこっちに向かって走ってくる

「そんなに急がなくても大丈夫よ?」
「分かってるけど嬉しいからさ」
照れ臭そうに言うウーがかわいい

「ふふ…じゃぁ行こうか」
「相変わらずロキも一緒なんだ?」
「文句あるなら置いてくぞ」
「文句なんてないよ。相変わらず過保護だなって思っただけ」
ウーの言いたいこともよくわかる
でもロキが私の単独行動を良しとしないのはこの先も変わりそうにない

「オリビエ美人だし、カフェの事もあるからわからないでもないけどね」
「私が美人なら町は超美人で溢れ返ってるわよ。ねぇロキ」
「…」
同意を求めたはずなのに恨めしそうな顔をされた

「…苦労するねロキ」
「…ほっといてくれ」
ウーと2人ブツブツ言っているものの半分ほどしか聞こえてこない

「何か2人して酷くない?」
「そんなことないし。でもオリビエの自己評価がめちゃくちゃ低いことは分かった」
「え?」
「何でもない」
ウーは笑いながらそう言うと歩き出す

「何か私一人取り残された感じ?」
「んなことねぇよ。ほら行くぞ」
ロキに促され歩き出す

「そういえばオリビエって歌姫の事知ってるんだよね?」
「まぁ幼馴染だからね」
「歌姫ってどんな人?」
突然の問いかけにロキと顔を見合わせた

「どんなって?」
「ん~やっぱ歌上手いのかなって?」
「そうね。歌は上手いかな。子どもの頃からいろんな場所で歌ってたし、人から注目されるのを好んでたかな」
「注目?」
「そ。色んな人に見られるのも、話題の中心になるのも好きだったんじゃないかな。そういう時程生き生きしてたから」
ステージの上で満面の笑みを浮かべるイモーテルは、その辺の人とは何かが違っていた
性格的にはやや難ありな部分もあるものの、心底憎むとか嫌うなんてことはできなかったのも事実だ
何故か長い間、一方的に敵対心を持たれてはいたけれど

「僕も聞いてみたいなぁ」
「そうねぇ…いつか聞けるといいわね」
聞けると断言はできない
聞かせてあげると約束することも出来ない
ただその機会があればというだけの事

「オリビエは歌わないの?」
「私?」
「うん」
「そういや聞いたことないな。歌えんのか?」
「上手くはないけど多少は?」
カラオケくらいは行って点は出ていた
ちなみにカラオケは、地球という世界から召喚された人が広めた物らしい
私自身はカラオケに興味なかったし友達に誘われたときに行ったくらいで、イモーテルみたいに歌いたいと強く思うことも無かったんだけどね
「そのうち、機会があったらね」
「うん。それでもいいよ」
ウーは満足げに頷いた
はたしてその日が来るのかどうかは、私にもわからないけど…
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。

処理中です...