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15.迷宮2日目

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35階に踏み入れた途端とてつもない魔力を感じた
ロキの声に反射的に伏せると、飛んできた魔法攻撃をロキが消滅させていた
その直後水と雷を掛け合わせた魔法を放ち倒してしまう

「大丈夫か?」
「ロキのおかげで何とか。ありがと…」
「流石にビビったな…ここからは気を引き締めなきゃならなそうだ」
差し出された手を掴むと簡単に引き上げられる

「また来た。そっちお願い」
「りょーかい!」
同時に現れた二匹を引き離しながら倒しにかかる

「大きいくせに素早い」
元の世界にはいなかったタイプの魔物だ
それに対峙して沸き上がるのは恐怖ではなく好奇心
鑑定すれば弱点などすぐにわかる
でもそれは使わない
戦いながら見つけるのが楽しいのだ

「お前何楽しんでんだよ」
「え?」
「とっとと片付けろ。どうせまた次が来んだから」
見抜かれたことに驚きながらもロキならばと納得できるから仕方ない
風魔法で首を切り落として片付ける

「ドロップは…」
「その牙」
キョロキョロしていると私のそばにあった石のような塊を、ロキが拾ってほり投げてきた
どう見ても大きめの石ころにしか見えない
ロキと一緒じゃなかったら絶対見逃すレベルだわ

「これが牙?これ何になんの?」
「矢じり」
「弓の?」
「そ。加工しやすいくせに丈夫なんだよ。それに魔力も乗りやすい」
「なんて便利な…」
「それは高く売れるぞ?牙1本で3人の報酬3か月分くらい」
「そんなに?」
「ああ。その牙1本から少なくても10個作れるらしい。状態が良ければもっと値が上がる」
すでに相場云々の次元ではなくなってしまった
月に1回この迷宮を攻略するだけで蓄えながら余裕で生活できそうだ

「じゃぁ3人のお金に困ればここに来ればいいんだ」
そう零した私にロキは苦笑する

「そんな考え方すんのお前くらいだろうな」
「そうかなぁ?」
「そうだよ。まぁ別に構わないけど…来るときは絶対俺に声かけろよ」
「わかった。それは約束する」
実際このフロアに踏み入れた直後の事があるだけに一人で大丈夫だよとは言えない
そもそも何があるかわからないのが迷宮だ
その後何本か牙をゲットして進み、気づいたら最後のボスまで倒し終えていた

「初級とは言え移動込みの2日で攻略とはな」
「どれくらいで攻略すると思ってたの?」
「最短でも4日。見かけによらず体力があんだな」
「あぁ…でもここフロアの広さそれほど大きくないでしょ?」
「まぁ初級だからな」
「冒険者の経験なかったらもっと時間かかってたのは確かだけどね。次の階への階段を探すだけでもある意味一苦労だし」
「そういうこと。で、どうする?ここで休んで明日帰るか…」
「どうせならベッドで寝たいし帰ろう」
「了解。じゃぁ行くか」
ボス部屋を出ると魔法陣で1階に戻る
外に出るときれいな夕焼け空が広がっていた

「あいつらビックリするぞ」
「それも目的だったりする」
そう言ってニッと笑う

「お前らしいな」
ケラケラと笑いながらロキと並んで歩く
なかなか楽しい時間だったと思いながら
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