[完結]召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います

真那月 凜

文字の大きさ
上 下
45 / 317
15.迷宮2日目

1

しおりを挟む
「ん…あったか…い…?」
確か迷宮にいるはず
なのになぜこんなに暖かいのか?

意識が浮上する中目を開いて固まった

「あー起きたか?」
「お…はよ…私?」
「話してる途中でそのまま寝た。さすがにそのまま転がしとくわけにはいかないだろ」
そう説明しながら身体を起こすのを手伝ってくれる

まさかの膝枕
これ以上ないほど恥ずかしい

「…ロキ休めなかったよね…?」
「1週間くらい徹夜しても問題ないから気にすんな。お前がちゃんと休めたならそれでいい」
そう言って笑うロキにドキッとする

自慢じゃないけどこんな扱いには慣れてない
冒険者時代は性別など気にしてられなかったし、カフェを始めてからは政略的な縁談話はあったものの甘い話など皆無
まともな意味で女扱いされたことすら記憶にない
って自分で考えながらかなり凹む
そりゃぁ付き合ったことはあるけど、軽い付き合いで気づいたら消滅してるようなそんな付き合いだけ
まともなデートさえしてこなかったし、手を繋いだことすら数えるほどで、キスは勿論イモーテルのように体の関係などありえなかった
相手よりも冒険を、もしくはカフェを優先してたから自業自得ではあるのだけど

そんな私が膝枕…しかも一晩中
それでもここが迷宮だと思い出し浮ついた気持ちを何とか抑え込む

「お詫びに朝ごはんはロキの希望を聞くけど?」
「…ならサンドイッチかな」
「わかった。すぐ作るね」
料理するところをロキがじっと見てるのはいつもの事
そのはずなのに意識してしまう

「…何か嫌な夢でも見たのか?特にうなされた様子はなかったけど…」
「え?」
「ちょっと様子が変」
「!」
言い切られると誤魔化しきる自信がない

「…膝枕されたの何て初めてだからちょっと…」
「へぇ…意識してくれてるわけだ?」
ロキは少し嬉しそうに笑う

「それは…」
「もっと意識してくれていいぞ」
「え?」
「無理矢理囲い込む気はないけど、狙ってないわけじゃないからな」
「!」
サラッと告げられた言葉に耳を疑った

「お前が別の男好きになって、そいつと幸せになるならそれを応援するけど…出来るなら俺がとは思ってるし」
「ロキ…」
「まぁこの世界に来てまだ日も浅いし?これからいろんな出会いもあるだろうし?今は側にいるだけでいいけどな」
ロキなりの思いやりなのだろうか
今の段階で身動き取れない状態にしたくはないという

「とりあえず今はここの攻略だな」
「…だね」
朝食を終えてそう言ったロキの目を見て気持ちを切り替える

ここは迷宮
人の理とは関係のない場所
ちょっとした気のゆるみが大惨事になることもある
そんなことに自分はともかくロキを巻き込むわけにはいかない

「行こう」
私は立ち上がりボスの間の扉を開けると、正面の階段を上り次の階に足を進める

初級迷宮は40層
今から最後の10層になる

「少しずつ手ごわくなってくるね」
「当然だろ。最後の10層まで散歩ペースで進めたら攻略する価値がなくなる」
「確かに」
ごもっともな意見に苦笑する

出てくる魔物のランクは上がり単独より群れが目立つ中、ロキと手分けしながら倒してアイテムを回収していく
初めて一緒に戦ってるのに安心して背中を預けられる
その理由を深く考えることなく当然のように受け入れていた
この時の私はその理由に気付きもしなかった
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

処理中です...