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8.晩餐

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「足りないものはおいおい準備すればいいし…とりあえず今は食事の支度が最優先事項って感じかな?」
「そうだな。つっても俺は見てるだけだけどな」
手伝うのはいいが何も作れないからなと念押しされた

「ふふ…じゃぁ味見くらいは手伝ってもらおうかな」
私は笑いながらそう言い、ロキと一緒にキッチンに向かった

「その親子にはいくら払うんだ?」
「これまでと同額の7万シアの予定よ」
「7万ね…」
「ジョンの10万にしても7万にしても低すぎるのは分かってる」
「だったら…」
ロキはもっといい値を付ければいいだろうという顔をした

「増やすのは簡単だけど多分不信感しか持たないと思うの。それに同じ7万でもそこから家賃で4万消えてたみたいだからその分余分に手元に残るでしょう?」
「…」
だからその額で充分だなんて思わないけど

「ジョンと話してる時に、ジョンは少なくとも10万は自分一人の額だと主張したそうだったから一旦そこに設定しただけ。ウーはまだ10歳だからこれから考えるわ」
「一旦?」
「これから少しずつ上乗せするのは簡単なことでしょう?まずはここに留まってもらうことの方が重要かなって」
留まりさえしてもらえれば、これからのかかわり方次第で何とでもなるはずだから

「確かにいい人材は簡単に出会えるものじゃないな」
「そういうこと。それにこれまでに見た事の無い額を手にして壊れていく人をたくさん見てきたから」
それが自分の身うちだと目も当てられない
その先に待っているのは崩壊という言葉のみなのだから

「オリビエ?」
少し感傷に浸ってしまっていたらしい

「何でもないよ。ロキこれ味見て」
小皿に少し入れてロキに渡す

「これは?」
「クリームシチュー」
「うん。初めて聞くけど美味いな。ミルクスープに似てるけどもっと濃厚」
ロキはそう言って小皿を返してくれる

「外は結構冷えるみたいだからね。あとはほうれん草のソテーと根菜のフリッター、肉団子とパンくらいかな。みんなが何をどれくらい食べるかわからないから大皿に盛って出そうと思うんだけど…?」
ポカンとこっちを見ているのに気づき首を傾げる

「どうかした?」
少しの不安を含んだ問いかけにロキは苦笑した

「初めて聞くもんばっかで味の想像がつかない。わかるのはパンくらい?」
そういえばここは自分のいた世界と違うんだったと今さらながら実感する

「…一通り全部味見て」
私はフリッターを小さく切り分けてからほうれん草のソテーと肉団子と一緒に皿にのせ小さなフォークと一緒に渡す
食器やカトラリーはかなり豊富に揃えられていた

「ほうれん草のソテーはバターで炒めたもの。フリッターは卵の中に刻んだ根菜が入ってるの。肉団子は…オークをひき肉にして玉ねぎなんかと一緒に味付けして丸めたもの…かな」
簡単に説明するとロキは口に運んでいく

私はロキが1口ずつ味わいながら食べるのを緊張しながら見ていた
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