[完結]召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います

真那月 凜

文字の大きさ
上 下
17 / 317
7.別荘

2

しおりを挟む
「報酬はどうなる」
ジョンは少し考えてからそう言った

「今までの報酬をお聞きしても?」
「…この小屋に住まわせてもらう代わりに月10万シア」
かなり不満そうな表情だ
これだけの仕事をする職人の報酬としては実際かなり安いと思う

「それはお一人当たり、ですよね?」
「いいや」
ジョンは首を横に振った
2人で10万シア
住む場所があるとはいえ、これはどう見ても倉庫の役割を果たすのが精一杯の小屋である

「他の物件が同様になってないか確認するように連絡しとくよ」
ロキはため息交じりに言った

「ジョンは月10万シア、ウーは月5万シアで働いていただくことは可能ですか?」
「10万…2人で15万…」
ジョンが呟いている
提示した金額が低いことは私も承知してるけど、代わりにもう一つの条件も提示することにした

「住む場所は屋敷に用意させていただきます。もちろん食事も。報酬に関しては働きを見て増やすことも検討します」
「「え?」」
2人は顔を見合わせる

「住む場所ってこの小屋じゃなく?」
「食事までか?」
これまで小屋の片隅が与えられた住居だったことを考えればこれは大きいはず
でも家はほったらかしにしても傷むだけだしね

「この屋敷、馬鹿みたいに部屋があるのに私達2人だけしか住人がいないんです」
私は苦笑しながらそう言った

「できればこのあたりの事も教えていただきたいし…何より有事の際にこの庭を守れるのはお二人だけですから」
そう言うとジョンの目から涙が零れ落ちる

「親父泣くなって…」
ウーがジョンの背をさする
「俺にとってこの庭は子供のようなものだ…ここにいれるだけじゃなく仕事を認めてもらえるなんて思ってもみなかった…」
住居込みとは言え2人で10万、それが彼らの価値としてつけられた値段だったのだ

私としては有り得ない
ジョンの腕はかなり高い
今提示した10万シアなど破格だとわかっているものの、これまでの報酬を考えればこれ以上の金額設定は逆に不信に繋がるだろう
そう考えてひとまずこれまで通りの報酬にウーの分を上乗せして提示したまでの事
2人がここにいてくれるのであれば報酬を上乗せしていくのは簡単なことだ

「俺らの部屋って…」
「どこがいいかしら?ほとんど空いてるんだけど」
「一番狭い部屋を2人で使わせてもらえたらそれで充分だ」
「え?」
「今までこの小屋に2人でおった。それが突然1人になると逆に不便だからな」
なるほど。そういう考え方もあるのか

「俺はできれば3階がいい。足腰鍛えるのもあるけど高いところからの方が庭全体を見渡せるから」
ウーが少しワクワクしたように言う

「なら3階で好きな部屋選べばいいんじゃないか?ベッドが1つしか入ってないから別の部屋のを運べばいい」
「そうね。じゃぁロキ、ウーと一緒に行ってくれる?」
「了解」
ロキは頷きウーを促して先に入っていった
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

懐古主義オッサンと中二病JKは、無双しない

椎名 富比路
ファンタジー
「サイバーパンクの世界がよかったね」 「だな!」  不慮の事故で死んだお詫びとしてファンタジー世界に呼ばれた、懐古主義おっさんとJKは、さっそく不満を漏らす。  女神困惑!  それなりに危険はあるが、魔王はいない。  そんな世界で、おっさんパラディンとJK魔術師は冒険と生産を繰り返す。  ただ、ふたりは無双しない。  チートなんていらない。そんなものなくたって楽しめる。  凸凹な二人は、異世界を「攻略」や「効率化」ではなく、「満喫」する方へ舵を切る。  セルフレイティングは保険。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?

伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します 小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。 そして、田舎の町から王都へ向かいます 登場人物の名前と色 グラン デディーリエ(義母の名字) 8才 若草色の髪 ブルーグリーンの目 アルフ 実父 アダマス 母 エンジュ ミライト 13才 グランの義理姉 桃色の髪 ブルーの瞳 ユーディア ミライト 17才 グランの義理姉 濃い赤紫の髪 ブルーの瞳 コンティ ミライト 7才 グランの義理の弟 フォンシル コンドーラル ベージュ 11才皇太子 ピーター サイマルト 近衛兵 皇太子付き アダマゼイン 魔王 目が透明 ガーゼル 魔王の側近 女の子 ジャスパー フロー  食堂宿の人 宝石の名前関係をもじってます。 色とかもあわせて。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...