6 / 317
3.提案
1
しおりを挟む
「率直にお答えいただき感謝します」
あくまで答えてもらったことに対するお礼だけどね
流石に召喚に巻き込まれたことも、そもそもの召喚の対象やそれを求めた理由も、”はい、そうですか”なんて簡単に飲み込めるものじゃない
でも、ここはとりあえず敵意だけは向けないようにしようと軽く頭を下げる
「他に聞きたいことはおありかな?」
「そうですね。この世界に冒険者という仕組みはありますか?」
冒険者やギルドがあれば当面の生活は何とかなるはず
ただ問題はこの世界が一律で低ランクからスタートするのか、元の世界のように実力相当からスタートするのかってあたりかな
できれば後者であって欲しい
ま、そうでなくても素材を売るのは自由だろうしお金の面では多分大丈夫
「ああ。依頼を受けたり迷宮の攻略で生活をしている者はいる。冒険者ギルドで登録するだけでなれるから冒険者人口はかなり多いはずだ」
「そうですか…それは私のような者でも登録は可能でしょうか?」
「問題ないはずだが…登録する気かね?」
「一応、元の世界ではそれで生活してた時期もありますので」
もちろんそれ以上のことを伝える気はないけど…
「あと、聞きたいことと言うより2つほどお願いがあるのですが」
「願い?」
「はい。自分のこの先について、です」
私はそう言ってにっこりと微笑んで見せる
「…一つの案として聞いてみようか」
側近たちと少し言葉を交わしてから王はそう言った
「ではまず、この世界で3か月ほど生活できるだけの準備をしていただけますか?」
「3か月?たったそれだけか?」
「ええ。その間に自分で仕事を見つけます。衣食住が確保できれば何とかなるでしょうから」
私にはそう出来る自信もある
「あと、この世界や国の事が書かれた本などがあればお借りしたいのですが」
何をするにも最低限の知識は必要だ
ここに置いてもらえない以上、この人たちから教えてもらうのはきっと無理だろう
尤も、置いてもらえると言われても出来れば遠慮したい
そうなると知り合いがいない私は書物からでも知識を得る必要がある
王は側近たちと相談を始めた
5分ほどしてこちらに向き直る
「承知した。その願いはいずれも聞き入れよう」
「ありがとうございます」
意外とあっさり受け入れられた
「王都から少し離れた場所になるが辺境の町に私が個人的に持つ別荘がある。その別荘をあなたに譲ろう」
「流石にそれは…」
「手に入れてから一度も使っていないものだから構わん。書籍は…生活に困らない知識が得られるものをいくつか見繕ってお渡しを」
「承知しました」
側近の1人が頷き部屋を出て行った
「あとは1年生活できるだけの資金を」
「承知しました」
もう一人の側近もすぐに出て行った
「随分優遇していただけるのですね?」
提示したのは3か月
意図的に少なめに提示したものの伸びても半年だろうと思っていた
それから考えれば1年は破格と言える
そこに裏の意図が無いと信じるのはかなりリスキーだけど…
あくまで答えてもらったことに対するお礼だけどね
流石に召喚に巻き込まれたことも、そもそもの召喚の対象やそれを求めた理由も、”はい、そうですか”なんて簡単に飲み込めるものじゃない
でも、ここはとりあえず敵意だけは向けないようにしようと軽く頭を下げる
「他に聞きたいことはおありかな?」
「そうですね。この世界に冒険者という仕組みはありますか?」
冒険者やギルドがあれば当面の生活は何とかなるはず
ただ問題はこの世界が一律で低ランクからスタートするのか、元の世界のように実力相当からスタートするのかってあたりかな
できれば後者であって欲しい
ま、そうでなくても素材を売るのは自由だろうしお金の面では多分大丈夫
「ああ。依頼を受けたり迷宮の攻略で生活をしている者はいる。冒険者ギルドで登録するだけでなれるから冒険者人口はかなり多いはずだ」
「そうですか…それは私のような者でも登録は可能でしょうか?」
「問題ないはずだが…登録する気かね?」
「一応、元の世界ではそれで生活してた時期もありますので」
もちろんそれ以上のことを伝える気はないけど…
「あと、聞きたいことと言うより2つほどお願いがあるのですが」
「願い?」
「はい。自分のこの先について、です」
私はそう言ってにっこりと微笑んで見せる
「…一つの案として聞いてみようか」
側近たちと少し言葉を交わしてから王はそう言った
「ではまず、この世界で3か月ほど生活できるだけの準備をしていただけますか?」
「3か月?たったそれだけか?」
「ええ。その間に自分で仕事を見つけます。衣食住が確保できれば何とかなるでしょうから」
私にはそう出来る自信もある
「あと、この世界や国の事が書かれた本などがあればお借りしたいのですが」
何をするにも最低限の知識は必要だ
ここに置いてもらえない以上、この人たちから教えてもらうのはきっと無理だろう
尤も、置いてもらえると言われても出来れば遠慮したい
そうなると知り合いがいない私は書物からでも知識を得る必要がある
王は側近たちと相談を始めた
5分ほどしてこちらに向き直る
「承知した。その願いはいずれも聞き入れよう」
「ありがとうございます」
意外とあっさり受け入れられた
「王都から少し離れた場所になるが辺境の町に私が個人的に持つ別荘がある。その別荘をあなたに譲ろう」
「流石にそれは…」
「手に入れてから一度も使っていないものだから構わん。書籍は…生活に困らない知識が得られるものをいくつか見繕ってお渡しを」
「承知しました」
側近の1人が頷き部屋を出て行った
「あとは1年生活できるだけの資金を」
「承知しました」
もう一人の側近もすぐに出て行った
「随分優遇していただけるのですね?」
提示したのは3か月
意図的に少なめに提示したものの伸びても半年だろうと思っていた
それから考えれば1年は破格と言える
そこに裏の意図が無いと信じるのはかなりリスキーだけど…
33
お気に入りに追加
595
あなたにおすすめの小説
捨てた騎士と拾った魔術師
吉野屋
恋愛
貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

無能だとクビになったメイドですが、今は王宮で筆頭メイドをしています
如月ぐるぐる
恋愛
「お前の様な役立たずは首だ! さっさと出て行け!」
何年も仕えていた男爵家を追い出され、途方に暮れるシルヴィア。
しかし街の人々はシルビアを優しく受け入れ、宿屋で住み込みで働く事になる。
様々な理由により職を転々とするが、ある日、男爵家は爵位剥奪となり、近隣の子爵家の代理人が統治する事になる。
この地域に詳しく、元男爵家に仕えていた事もあり、代理人がシルヴィアに協力を求めて来たのだが……
男爵メイドから王宮筆頭メイドになるシルビアの物語が、今始まった。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?
八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ
『壽命 懸(じゅみょう かける)』
しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。
だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。
異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

【完結】契約結婚は円満に終了しました ~勘違い令嬢はお花屋さんを始めたい~
九條葉月
ファンタジー
【ファンタジー1位獲得!】
【HOTランキング1位獲得!】
とある公爵との契約結婚を無事に終えたシャーロットは、夢だったお花屋さんを始めるための準備に取りかかる。
花を包むビニールがなければ似たような素材を求めてダンジョンに潜り、吸水スポンジ代わりにスライムを捕まえたり……。そうして準備を進めているのに、なぜか店の実態はお花屋さんからかけ離れていって――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる