[完結]悲しみを想い出に変えて

真那月 凜

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「志帆!」
駅前の喫茶店に5人がやってきた
「もう大丈夫なのか?」
仁の言葉に微笑む
「心配かけてごめんね」
「そんなこといいんだって。それより・・・」
「落ち着けよ亜紀。先に注文」
浩太に言われて亜紀は、はやる気持ちを抑えるように深呼吸する
みんなドリンクを注文すると一瞬沈黙が訪れた

「・・・で?」
健司が志帆の目を見る

「・・・付き合うと思う」
「どういう意味?」
「彼、琉稀さんは愁の従兄弟なんだって」
「へ?」
皆が唖然とする
「だから愁との事も知った上で、愁ごと受け止めてくれるって・・・」
「すげぇ・・・」
仁がボソッと言う

「だからって愁のことずっと想って・・・ってわけじゃないよ?でも琉稀さんが居てくれたら愁の死を受け入れられるような気がするの」
「・・・」
「彼は何て?」
「・・・『そろそろ休ませてやってくれ』って・・・琉稀さんは愁を弟みたいに思ってたから『そろそろ思い出の中で笑わせてやってくれ』って」
「・・・そっかぁ・・・」
美穂は嬉しそうに言う

「そう言われた時に心が軽くなった気がしたの。愁の事を消し去る必要はないんだって思えた。愁が居なくなって、1人になった自分を認めたくなくてずっと愁にしがみついてたけど、愁は私の記憶の中にちゃんと居るんだって・・・」

「確かに私たち『忘れろ』って言うばっかりで志帆の気持ちなんて考えてなかった気がする」
「そうだね。忘れて前に進むことが志帆のためだってそう思ってたから・・・でも違うよね。愁は私達の思い出の中にもちゃんと居るんだから・・・」
亜紀と美穂の言葉に志帆は微笑んだ

「なぁ」
「ん?」
「さっき『付き合うと思う』って言ったよな?」
「うん」
「何でそんなあいまいなんだ?昨日の様子から見ても向こうはその気なんだろ?」
健史は不思議そうに尋ねる

「琉稀さんはそう思ってくれてる。今朝も電話で『あせらなくていいから私が前に進む気になったら言ってくれ』って言われた」
「だったら・・・」
「すぐには無理だよ・・・せめて愁の死を受け入れられてからじゃないと・・・」
「けど・・・」
「私器用じゃないから・・・愁の事、自分の中でけじめつけてからでないと、その事で琉稀さんを傷つけても気付けないと思うから」
「志帆・・・」
5人は顔を見合わせる

「昨日ね」
「ん?」
「初めて愁のために泣いたの。琉稀さんのおかげだと思ってる。だからよけいなんだ」
そう言った志帆の表情は明るかった

「愁の事自分の中でけじめ付けれたら琉稀さんに告白するつもり」
「志帆・・・」
美穂が泣き出した
志帆が止まっていた歯車を再び動かそうと思い始めたことが何よりも嬉しかった
そしてその歯車が元のように回り始める時はもう目の前なのだと5人は確信した
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