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本編

18.返り討ち①

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不穏なものを感じ取ったのかヨハンは少したじろいだ
「な、何だよ?」
無言のまま私達に見られヨハンは1歩下がった
本当に情けない男だと思う

「ヨハン様婚約させられてからの長い期間、私が努力し続けていたことが一つだけあるんですよ」
「何だ?飛び級しただけに勉強か?そんなもの何の役にも立たんぞ」
何という暴言…
この人が家を継ぐと思うと呆れるしか出来ない

「ヨハン様に、ですね」
「は?」
「あんた本当に気が狂ったの?その顔で気に入るはずがないんだからそんな努力必要ないでしょ」
ヨハンの呆けた顔とシャロンの異常なものでも見るかのような目に吹き出しそうになった

「ヨハン様が私の卒業前に、おそらく大勢の前で手ひどく婚約破棄することは分かってたんですよ?」
「な…何を証拠に…」
「ヨハン様の学園入学前にシャロンとお邪魔して、レオンを呼び出した日を覚えておられますか?」
「…そんなこともあったかしら?」
シャロンが記憶をたどりながら首を傾げた

「あの時にヨハン様の企みを知りました。私たちが火傷の手当てをしている間に気が緩んだんでしょうね?」
「…」
そこまで言うとようやく思い出したようだった

「まさかお前らあんな昔から…」
「ええ。ずっと連絡を取り合ってこの日の為に準備を進めてきたんです。だってこれ以上両家の方たちの駒として自分の人生を無駄にするなんて耐えられませんから」
ねぇ、とレオンに向けて言うと、そういうことだと頷いた

「ずっと?ならお前たちはずっと不貞を働いていたということだな?慰謝料を請求するぞ!」
どの口が言うのだろうか?

「あら、政略的な婚約者にないがしろにされているのに、心の中で救いを求めることすら許されないと?」
「…」
「抱きしめられたのなんて今が初めてですのにそれが不貞だと?」
「そんな証明は出来ないだろうが」
「この国で不貞行為はそれをしたという証拠がなければ成立しません。してないという証拠は必要ないんですよ。もっとも私たちはそんな関係でないので論外ですけど」
「そもそも俺に監視を付けていた方が何をおっしゃるのやら」
レオンは呆れたように返す

「もっとも、監視してるとすぐにばれるような監視が役に立つかははなはだ疑問ですけどね。俺が卒業してたことすらご存じなかったようですし」
まぁそれはレオンが買収したせいだろうけど…

「不貞とおっしゃるならご自分の方が酷いじゃありませんか」
「それこそ何の証拠もないだろう?寝言は寝てから言うんだな」
何故か勝ち誇ったように言うヨハンはある意味大物なのだろうか?
だって…

「証拠ならここに沢山ありますよ」
私はそう言いながら大量の写真をテーブルの上に叩きつけた
その拍子に見事に散らばった写真に私とレオン以外のみんなが息を飲むのが分かった
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