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50.事件
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---side:カルム---
「ギルマスを呼んでくれ」
受付嬢に有無を言わせぬ気迫を込めてそう告げる
下手な説明をしてる時間はない
「その必要はない。さっきのとんでもない殺気といい、今の気迫と言い…」
ギルマスはそう言いながら上を指さした
個室で、という意味だろう
素直に従い通された部屋に入る
「何があった?」
「読めばわかる。さっきレイが受け取った」
それだけ言ってレイにあずかったメモを渡す
「…Aランクパーティーが犯罪に手を染めた…か」
大きく息を吐きながらギルマスが言う
そこまで考えてなかったが確かにその通りだ
「ギルドとしてすぐに緊急依頼を出す。こっちはどこまですればいい?下手に手を出せばお前らの邪魔になるだろ?」
流石によくわかってるらしい
「居場所を突き止めてくれ。その後は俺らだけで充分だ」
「分かった。これを持って行け」
「これは?」
「通信機だ。赤いボタンを押したまま話せばこっちに声が入る」
同じものを見せながらギルマスは言う
「このイヤホンを付けとけ。通信機から直接音が漏れたら相手に気付かれる可能性もあるからな」
「分かった。後は頼む」
俺はそれだけ言ってギルドを出た
レイ達は既に探しに出たらしい
あいつらの行動を考えれば自然と自分の行くべき方向が分かる
俺は一旦家に寄ってナターシャに説明してから探しに出ることにした
------
---side:トータ---
俺は後ろ盾になってくれてる貴族の元に向かった
馬で早駆けして1時間、こんなに馬が遅く感じたのは初めてだ
「何か問題が起きたとか?」
事情を説明して中に入れてもらった俺の前に現れた男に頭を下げる
「緊急事態に細かい礼儀は不要だ。説明してくれ」
「レイの嫁と子供が攫われました。犯人はAランクパーティーの“孤高の集団”、要求してきたのはあなたに“孤高の集団”の後ろ盾をさせることです」
「…あいつらか」
苦虫をかみつぶしたような顔をした
「ご存知で?」
「何度も打診に来ている。却下し続けていたがそのせいで強硬手段に出たか…私の責任だな」
「え…?」
流石にそう来るとは思わなかった
「レイの嫁…サラサの事だな?」
「ご存知だったんですか?」
「一応後ろ盾になる以上調査はしている。と言ってもここ数年の素行調査程度だがな」
あぁ、直近で問題を起こしてる身内がいたら貴族としては大問題か
妙に納得してしまった
「我々にできることならなんでも言ってくれ。サラサは貴重な人材だからな」
「よろしいのですか?」
「勿論だ。この国だけでなくこの世界の発展に貢献する人物だ」
「!」
徐々に広まっているサラサの作品やアイデアは今では数えきれないほどある
この人が知っているならサラサにとって望まない事態になる可能性があるということだ
俺は嫌な汗が流れ出すのが分かった。でも…
「安心したまえ。全て私のところで情報は遮断している。レイとカルム同様、上と関わりたくないことも承知してるからな」
「そう…ですか…」
「とにかく我々は協力を惜しまない。おい、通信機を」
控えていた執事にそう告げると執事がすぐに何かを持ってきた
「魔道具の通信機だ。国内ならこれで連絡が取れる」
「そんなものが…?」
「まだ一部の人間しか知らないがな。この赤いボタンを押している間はこっちに声が聞こえる」
そう言いながら実際にやって見せてくれた
すげぇ…
驚く俺の前に別の物体を差し出された
「これを耳に。そうすればこっちからの音声が君にだけ聞こえるようになる」
そうか、静寂の中でいきなり音声が漏れればこっちの状況が筒抜けだ
「我々が力になれるのは権力か兵隊くらいだろうが…」
「いえ、それだけで十分助かります」
俺は頭を下げて屋敷を後にした
カルムがずっと断わっていた貴族の後ろ盾を受けた時は驚いた
でもあの人だったから受けたのだと今なら理解できる
そう思いながら再び馬を走らせた
------
「ギルマスを呼んでくれ」
受付嬢に有無を言わせぬ気迫を込めてそう告げる
下手な説明をしてる時間はない
「その必要はない。さっきのとんでもない殺気といい、今の気迫と言い…」
ギルマスはそう言いながら上を指さした
個室で、という意味だろう
素直に従い通された部屋に入る
「何があった?」
「読めばわかる。さっきレイが受け取った」
それだけ言ってレイにあずかったメモを渡す
「…Aランクパーティーが犯罪に手を染めた…か」
大きく息を吐きながらギルマスが言う
そこまで考えてなかったが確かにその通りだ
「ギルドとしてすぐに緊急依頼を出す。こっちはどこまですればいい?下手に手を出せばお前らの邪魔になるだろ?」
流石によくわかってるらしい
「居場所を突き止めてくれ。その後は俺らだけで充分だ」
「分かった。これを持って行け」
「これは?」
「通信機だ。赤いボタンを押したまま話せばこっちに声が入る」
同じものを見せながらギルマスは言う
「このイヤホンを付けとけ。通信機から直接音が漏れたら相手に気付かれる可能性もあるからな」
「分かった。後は頼む」
俺はそれだけ言ってギルドを出た
レイ達は既に探しに出たらしい
あいつらの行動を考えれば自然と自分の行くべき方向が分かる
俺は一旦家に寄ってナターシャに説明してから探しに出ることにした
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---side:トータ---
俺は後ろ盾になってくれてる貴族の元に向かった
馬で早駆けして1時間、こんなに馬が遅く感じたのは初めてだ
「何か問題が起きたとか?」
事情を説明して中に入れてもらった俺の前に現れた男に頭を下げる
「緊急事態に細かい礼儀は不要だ。説明してくれ」
「レイの嫁と子供が攫われました。犯人はAランクパーティーの“孤高の集団”、要求してきたのはあなたに“孤高の集団”の後ろ盾をさせることです」
「…あいつらか」
苦虫をかみつぶしたような顔をした
「ご存知で?」
「何度も打診に来ている。却下し続けていたがそのせいで強硬手段に出たか…私の責任だな」
「え…?」
流石にそう来るとは思わなかった
「レイの嫁…サラサの事だな?」
「ご存知だったんですか?」
「一応後ろ盾になる以上調査はしている。と言ってもここ数年の素行調査程度だがな」
あぁ、直近で問題を起こしてる身内がいたら貴族としては大問題か
妙に納得してしまった
「我々にできることならなんでも言ってくれ。サラサは貴重な人材だからな」
「よろしいのですか?」
「勿論だ。この国だけでなくこの世界の発展に貢献する人物だ」
「!」
徐々に広まっているサラサの作品やアイデアは今では数えきれないほどある
この人が知っているならサラサにとって望まない事態になる可能性があるということだ
俺は嫌な汗が流れ出すのが分かった。でも…
「安心したまえ。全て私のところで情報は遮断している。レイとカルム同様、上と関わりたくないことも承知してるからな」
「そう…ですか…」
「とにかく我々は協力を惜しまない。おい、通信機を」
控えていた執事にそう告げると執事がすぐに何かを持ってきた
「魔道具の通信機だ。国内ならこれで連絡が取れる」
「そんなものが…?」
「まだ一部の人間しか知らないがな。この赤いボタンを押している間はこっちに声が聞こえる」
そう言いながら実際にやって見せてくれた
すげぇ…
驚く俺の前に別の物体を差し出された
「これを耳に。そうすればこっちからの音声が君にだけ聞こえるようになる」
そうか、静寂の中でいきなり音声が漏れればこっちの状況が筒抜けだ
「我々が力になれるのは権力か兵隊くらいだろうが…」
「いえ、それだけで十分助かります」
俺は頭を下げて屋敷を後にした
カルムがずっと断わっていた貴族の後ろ盾を受けた時は驚いた
でもあの人だったから受けたのだと今なら理解できる
そう思いながら再び馬を走らせた
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