[完結]ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました

真那月 凜

文字の大きさ
187 / 199
50.事件

2

しおりを挟む
---side:カルム---
「ギルマスを呼んでくれ」
受付嬢に有無を言わせぬ気迫を込めてそう告げる
下手な説明をしてる時間はない

「その必要はない。さっきのとんでもない殺気といい、今の気迫と言い…」
ギルマスはそう言いながら上を指さした
個室で、という意味だろう
素直に従い通された部屋に入る

「何があった?」
「読めばわかる。さっきレイが受け取った」
それだけ言ってレイにあずかったメモを渡す

「…Aランクパーティーが犯罪に手を染めた…か」
大きく息を吐きながらギルマスが言う
そこまで考えてなかったが確かにその通りだ

「ギルドとしてすぐに緊急依頼を出す。こっちはどこまですればいい?下手に手を出せばお前らの邪魔になるだろ?」
流石によくわかってるらしい

「居場所を突き止めてくれ。その後は俺らだけで充分だ」
「分かった。これを持って行け」
「これは?」
「通信機だ。赤いボタンを押したまま話せばこっちに声が入る」
同じものを見せながらギルマスは言う

「このイヤホンを付けとけ。通信機から直接音が漏れたら相手に気付かれる可能性もあるからな」
「分かった。後は頼む」
俺はそれだけ言ってギルドを出た
レイ達は既に探しに出たらしい
あいつらの行動を考えれば自然と自分の行くべき方向が分かる
俺は一旦家に寄ってナターシャに説明してから探しに出ることにした
------

---side:トータ---
俺は後ろ盾になってくれてる貴族の元に向かった
馬で早駆けして1時間、こんなに馬が遅く感じたのは初めてだ

「何か問題が起きたとか?」
事情を説明して中に入れてもらった俺の前に現れた男に頭を下げる

「緊急事態に細かい礼儀は不要だ。説明してくれ」
「レイの嫁と子供が攫われました。犯人はAランクパーティーの“孤高の集団”、要求してきたのはあなたに“孤高の集団”の後ろ盾をさせることです」
「…あいつらか」
苦虫をかみつぶしたような顔をした

「ご存知で?」
「何度も打診に来ている。却下し続けていたがそのせいで強硬手段に出たか…私の責任だな」
「え…?」
流石にそう来るとは思わなかった

「レイの嫁…サラサの事だな?」
「ご存知だったんですか?」
「一応後ろ盾になる以上調査はしている。と言ってもここ数年の素行調査程度だがな」
あぁ、直近で問題を起こしてる身内がいたら貴族としては大問題か
妙に納得してしまった

「我々にできることならなんでも言ってくれ。サラサは貴重な人材だからな」
「よろしいのですか?」
「勿論だ。この国だけでなくこの世界の発展に貢献する人物だ」
「!」
徐々に広まっているサラサの作品やアイデアは今では数えきれないほどある
この人が知っているならサラサにとって望まない事態になる可能性があるということだ
俺は嫌な汗が流れ出すのが分かった。でも…

「安心したまえ。全て私のところで情報は遮断している。レイとカルム同様、上と関わりたくないことも承知してるからな」
「そう…ですか…」
「とにかく我々は協力を惜しまない。おい、通信機を」
控えていた執事にそう告げると執事がすぐに何かを持ってきた

「魔道具の通信機だ。国内ならこれで連絡が取れる」
「そんなものが…?」
「まだ一部の人間しか知らないがな。この赤いボタンを押している間はこっちに声が聞こえる」
そう言いながら実際にやって見せてくれた
すげぇ…
驚く俺の前に別の物体を差し出された

「これを耳に。そうすればこっちからの音声が君にだけ聞こえるようになる」
そうか、静寂の中でいきなり音声が漏れればこっちの状況が筒抜けだ

「我々が力になれるのは権力か兵隊くらいだろうが…」
「いえ、それだけで十分助かります」
俺は頭を下げて屋敷を後にした
カルムがずっと断わっていた貴族の後ろ盾を受けた時は驚いた
でもあの人だったから受けたのだと今なら理解できる
そう思いながら再び馬を走らせた
------

しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

処理中です...