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47.新たな提案
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◇ ◇ ◇
メリッサの出産を終え落ち着いてきたため久々に4人そろって依頼を受けていた
メリッサの体調が芳しくなかったこともありアランは極力側についていたのだ
「悪いトータ1匹そっち行った」
「リョーカイ」
カルムさんの言葉に答えたトータはそのまま迫ってきた魔物を切り捨てた
「アラン大丈夫か?」
「久々なんだから無理すんなよ?」
「ああ。大丈夫だ」
アランは危なげなく魔物に対峙する
この日の依頼は魔物の間引きだ
このエリアに増えすぎた魔物を減らす為に、種類もランクも指定はなくこのエリアを適当にうろつきながら出会った魔物を倒していくというものだ
ギルドマスターからの指名依頼で定期的に受けているものでもあるがレイは初めての参加だ
「これは…アランこいつ首飛ばしてくれ」
レイはアランを呼んだ
現れたのは大人のビッグベア
子供ならせいぜい4~5mだが大人になると10m級も存在する
流石に飛んで首を切り落とすのは難しいし、皮の需要が高いため燃やしたくはないのだ
「確かにこいつは燃やせねぇな」
アランは笑いながら風魔法を放つ
「解体はギルド任せでいいんだろ?」
「ああ」
自分達でもできるが数があるだけに面倒だというのが本音だ
「量があるから解体費用は無しで話を付けてある」
弾丸は全員がマジックバッグを持ち、レイに至ってはインベントリがある為倒した魔物は全て持ち帰ることが出来る
間引かなければならない魔物は決して低ランクのモノではない
そのため解体費用を引いたとしてもギルドは損をしないということらしい
「こいつの肉は確保したいな」
「心配すんな。解体が済んだらリストを出してくれる」
「そのリスト見ながら居るものだけバックしてもらうんだ。残りは精算だな」
トータが得意げに言う
流石にその辺りの抜かりはないらしい
『レイこれも』
カーロがレイの側に魔物の死体を積んだ
「お前自分でしまえんだろ?」
『ギルドで僕が出してもいいの?』
「…それはやめた方がいいな」
『でしょ?』
カーロは得意げに言った
「なぁ、そろそろ休憩にしねぇ?」
トータがそ言ったのは昼の少し前だった
「まぁこの当りならいいか。ちょうどこの先にセーフティーゾーンがあったな」
セーフティーゾーンは魔物除けの結界が張られた小屋である
「じゃぁとりあえずそこまでだな」
目的が決まれば早い
これまでより歩くペースが速くなるトータに苦笑しながらみんなも後を追った
小屋に入るとレイがインベントリから食料を取り出した
「ナターシャと話してたんだけどな」
一通り食べた後カルムが切り出した
3人は食事を続けながらカルムを見る
「家の3階、完全に空いてるだろ?」
「ああ」
「いっそ皆で住んだらいいんじゃないかと思ってな」
「「「…」」」
3人は顔を見合わせた
「どうせ下にお前らの部屋あんだろ。今はメリッサの出産後ってこともあってずっと住んでるし、この先の事考えても引っ越しは必要なんだろ?」
「まぁ…そうなるだろうな」
アランの声が沈む
「そうでなくても実際しょっちゅう泊ってるから今とあんま変わんねぇか?」
レイが苦笑しながら言った
「お前らはそれでいいのか?あの家はお前らで金出して建てただろ」
「まぁそれが気になるなら今後の改装費用はお前らが持ってくれればいいさ」
「あぁ、それなら妥当か?」
カルムの言葉にレイも頷く
「俺らは正直助かるよ。これからまた家探して引っ越すにもヘンリーがいるしどうしようかと思ってたところだし」
「俺もバルドとリルのことがあるからあいつらが一緒のとこに住めるならその方がいい」
ずっと寄り添ってきた姉弟だ
いつでも会えると言ってもやはり寂しさはあるのだろう
「3階の2部屋ずつをお前らが使えばいいし改装するならそれも自由にすればいい」
「そうだな。チビがでかくなった時に部屋が足りなければ拡張するなりすればいいし俺はいいと思うぞ。チビも増えてきたし面倒見る人間が増えるなら安心も出来る。メリッサが仕事を続けたいならそれも叶えてやれるだろうしな」
「ナターシャとサラサはそれで納得するのか?」
メリッサが仕事に出るということはヘンリーを預けていくということだ
「あいつらがそれで文句言うと思うか?」
カルムが逆に尋ねた
「…言わねぇな」
トータがそう言って笑った
「リルは今のパーティーのメンバーとの兼ね合いもあるだろうからトータと相談して決めればいい。町の家そのままにしといて時々そっちで過ごすのも有だろうしな」
「それはアランにしても言えることだな。両家にチビを合わせる時だけそっちに戻るのも有じゃね?」
「あぁ、それはいいかもしれないな。普段住む場所には来られたくないし」
「バルドが納品行った時やメリッサが仕事中に体調崩した時にも使えるだろ」
近くに慣れ親しんだ休める場所があるのはやはり心強い
「メリッサにはナターシャから話してるから帰ってからまた話をすり合わせよう」
「じゃぁ俺は依頼の後リルを連れていくよ」
「了解。時間潰すついでに酒頼むな」
カルムが言うとトータは頷いた
「じゃぁもうひと踏ん張りするか」
その言葉に皆立ち上がり再び動き始めた
◇ ◇ ◇
メリッサの出産を終え落ち着いてきたため久々に4人そろって依頼を受けていた
メリッサの体調が芳しくなかったこともありアランは極力側についていたのだ
「悪いトータ1匹そっち行った」
「リョーカイ」
カルムさんの言葉に答えたトータはそのまま迫ってきた魔物を切り捨てた
「アラン大丈夫か?」
「久々なんだから無理すんなよ?」
「ああ。大丈夫だ」
アランは危なげなく魔物に対峙する
この日の依頼は魔物の間引きだ
このエリアに増えすぎた魔物を減らす為に、種類もランクも指定はなくこのエリアを適当にうろつきながら出会った魔物を倒していくというものだ
ギルドマスターからの指名依頼で定期的に受けているものでもあるがレイは初めての参加だ
「これは…アランこいつ首飛ばしてくれ」
レイはアランを呼んだ
現れたのは大人のビッグベア
子供ならせいぜい4~5mだが大人になると10m級も存在する
流石に飛んで首を切り落とすのは難しいし、皮の需要が高いため燃やしたくはないのだ
「確かにこいつは燃やせねぇな」
アランは笑いながら風魔法を放つ
「解体はギルド任せでいいんだろ?」
「ああ」
自分達でもできるが数があるだけに面倒だというのが本音だ
「量があるから解体費用は無しで話を付けてある」
弾丸は全員がマジックバッグを持ち、レイに至ってはインベントリがある為倒した魔物は全て持ち帰ることが出来る
間引かなければならない魔物は決して低ランクのモノではない
そのため解体費用を引いたとしてもギルドは損をしないということらしい
「こいつの肉は確保したいな」
「心配すんな。解体が済んだらリストを出してくれる」
「そのリスト見ながら居るものだけバックしてもらうんだ。残りは精算だな」
トータが得意げに言う
流石にその辺りの抜かりはないらしい
『レイこれも』
カーロがレイの側に魔物の死体を積んだ
「お前自分でしまえんだろ?」
『ギルドで僕が出してもいいの?』
「…それはやめた方がいいな」
『でしょ?』
カーロは得意げに言った
「なぁ、そろそろ休憩にしねぇ?」
トータがそ言ったのは昼の少し前だった
「まぁこの当りならいいか。ちょうどこの先にセーフティーゾーンがあったな」
セーフティーゾーンは魔物除けの結界が張られた小屋である
「じゃぁとりあえずそこまでだな」
目的が決まれば早い
これまでより歩くペースが速くなるトータに苦笑しながらみんなも後を追った
小屋に入るとレイがインベントリから食料を取り出した
「ナターシャと話してたんだけどな」
一通り食べた後カルムが切り出した
3人は食事を続けながらカルムを見る
「家の3階、完全に空いてるだろ?」
「ああ」
「いっそ皆で住んだらいいんじゃないかと思ってな」
「「「…」」」
3人は顔を見合わせた
「どうせ下にお前らの部屋あんだろ。今はメリッサの出産後ってこともあってずっと住んでるし、この先の事考えても引っ越しは必要なんだろ?」
「まぁ…そうなるだろうな」
アランの声が沈む
「そうでなくても実際しょっちゅう泊ってるから今とあんま変わんねぇか?」
レイが苦笑しながら言った
「お前らはそれでいいのか?あの家はお前らで金出して建てただろ」
「まぁそれが気になるなら今後の改装費用はお前らが持ってくれればいいさ」
「あぁ、それなら妥当か?」
カルムの言葉にレイも頷く
「俺らは正直助かるよ。これからまた家探して引っ越すにもヘンリーがいるしどうしようかと思ってたところだし」
「俺もバルドとリルのことがあるからあいつらが一緒のとこに住めるならその方がいい」
ずっと寄り添ってきた姉弟だ
いつでも会えると言ってもやはり寂しさはあるのだろう
「3階の2部屋ずつをお前らが使えばいいし改装するならそれも自由にすればいい」
「そうだな。チビがでかくなった時に部屋が足りなければ拡張するなりすればいいし俺はいいと思うぞ。チビも増えてきたし面倒見る人間が増えるなら安心も出来る。メリッサが仕事を続けたいならそれも叶えてやれるだろうしな」
「ナターシャとサラサはそれで納得するのか?」
メリッサが仕事に出るということはヘンリーを預けていくということだ
「あいつらがそれで文句言うと思うか?」
カルムが逆に尋ねた
「…言わねぇな」
トータがそう言って笑った
「リルは今のパーティーのメンバーとの兼ね合いもあるだろうからトータと相談して決めればいい。町の家そのままにしといて時々そっちで過ごすのも有だろうしな」
「それはアランにしても言えることだな。両家にチビを合わせる時だけそっちに戻るのも有じゃね?」
「あぁ、それはいいかもしれないな。普段住む場所には来られたくないし」
「バルドが納品行った時やメリッサが仕事中に体調崩した時にも使えるだろ」
近くに慣れ親しんだ休める場所があるのはやはり心強い
「メリッサにはナターシャから話してるから帰ってからまた話をすり合わせよう」
「じゃぁ俺は依頼の後リルを連れていくよ」
「了解。時間潰すついでに酒頼むな」
カルムが言うとトータは頷いた
「じゃぁもうひと踏ん張りするか」
その言葉に皆立ち上がり再び動き始めた
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