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43.新しい作品
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この日私は朝食を終えるなりテーブルに竹細工の材料を広げていた
新しい作品は頭の中では既にイメージ出来ていたりする
「サラサちゃん何を始める気?」
ナターシャさんが側にやってくるとマリクとリアム、シアも同時に覗き込んでくる
「新しい作品をね、作ろうと思って」
「それは楽しみね。マリクたちは邪魔しないようにね」
「邪魔なんてしないもん」
「しないよ」
マリクとリアムが同時に答えた
「流石私の子供達ね。とってもいい子」
2人の頭をなでながら言う
「バルドはどうしたの?」
「バルドお兄ちゃんは薬草にお水あげてる」
マリクの言う水やりは気づいたらバルドの仕事になっていた
「じゃぁあなたたちはシアの面倒見てくれる?」
「いいよ」
「うん」
「あうー」
三者三様の返事が返ってくる
シアはマリクとリアムに手をつないでもらい3人で玩具部屋へ向かって言った
「で、何ができるの?」
「籠をね編もうと思って」
「籠?」
「そ。木の蔓で作ったのと似た感じかな?」
「なるほど…あれ、便利そうだけど高いのよね」
ナターシャさんは言う
「まぁ私達にすれば軽く買えるものではあるんだけどね、あれにあの値段って思うとちょっとね…」
ナターシャさんの言わんとすることは分かる
費用対効果
極端に言えば砂漠で缶ジュース1本に1万円出す人はいても町中で出す人はいない
便利そうではあるものの支払うのがばかばかしくなるような値がついているということだ
「採取の時とかよさそうなんだけどね。ギルドもそれで使ってるんだろうし」
確かに採取依頼の時の受け取りは籠を用意されている
でも市場にはあまり出回っていない
「この国の物じゃないから高いのよねぇ…」
そう
蔓で作られた籠はいわゆる輸入品のようなものなのだ
なのでかなり高い
ギルドが大量に入手できるのはギルドは国ではなく世界の施設とみなされるかららしい
スタンピードなどで国の指揮下にあると確実に対応が遅れるためギルドのみ協力体制が取られていて、各国の王族も貴族もギルドに対しては口を出せないようになっている
「とりあえず3種類くらいを考えてるの」
「そんなに?」
「あ、うん。採取用に直径40cmくらいのもの、料理する時の水きりようで20cmくらいのもの、あとは小物入れ感覚で使える10cmくらいのもの」
「なるほどねぇ。大きさが3種類ってことなのね?確かにそれは便利そう」
ナターシャさんの反応を見る限りこの世界でも受け入れられそうだ
それに今使ってるのはランディさんが捨てていた材料なので工賃にちょっと乗せた程度で販売できるはず
「元々捨ててた材料で作るからランディさんも値段設定は安めにするんじゃないかな?」
「あぁ…あの人、異常なくらいロスを嫌うからね」
「だね。だからこそバルドのことも良心的に値段付けてくれてるんだろうし」
普通に考えればド素人の子供の作品に付ける値段ではない
たとえ私に対する信用料がついたとしてもだ
「確かにそうね。新しいデザイン考えたら1000シアだっけ?」
「私も聞いたときは驚いた。でもそれだけあれを破棄するのが悔やまれてたんだろうなとも思うけど」
「バルドが選んだのが竹細工で良かったのかもね」
ナターシャさんはそう言いながら他の作品たちを見る
「あの中から選んだんだもんねぇ…」
数ある中からとった一つ
それが竹細工だったのは本当に幸運だったのかもしれない
「とりあえずこんな感じかな」
私は一番小さなものを完成させた
「あら可愛い」
ナターシャさんは手に取ってまじまじと眺めている
「これ、子供達も喜びそうじゃない?」
「そう?」
「賭けてもいいわよ?」
こういった時のナターシャさんの予想が外れたことはない
「じゃぁ…あと3つ作らないとね」
「ふふ…よろしく~」
私もナターシャさんも子供達には平等に与えてやりたいと思っている
同じように与えて手に取るかは別の問題
もちろん競うことも大事なんだろうけど…
「サラサ姉ちゃん何やってんの?」
バルドが水やりを終えて入ってきた
「新しい竹細工よ」
ナターシャさんが出来た籠をバルドに手渡した
「すごい…同じ材料からこんなものも作れるんだ…」
どうやらバルドの視点はナターシャさんとは少し違うらしい
これは期待できそうだと私は一人心の中で喜んでいた
新しい作品は頭の中では既にイメージ出来ていたりする
「サラサちゃん何を始める気?」
ナターシャさんが側にやってくるとマリクとリアム、シアも同時に覗き込んでくる
「新しい作品をね、作ろうと思って」
「それは楽しみね。マリクたちは邪魔しないようにね」
「邪魔なんてしないもん」
「しないよ」
マリクとリアムが同時に答えた
「流石私の子供達ね。とってもいい子」
2人の頭をなでながら言う
「バルドはどうしたの?」
「バルドお兄ちゃんは薬草にお水あげてる」
マリクの言う水やりは気づいたらバルドの仕事になっていた
「じゃぁあなたたちはシアの面倒見てくれる?」
「いいよ」
「うん」
「あうー」
三者三様の返事が返ってくる
シアはマリクとリアムに手をつないでもらい3人で玩具部屋へ向かって言った
「で、何ができるの?」
「籠をね編もうと思って」
「籠?」
「そ。木の蔓で作ったのと似た感じかな?」
「なるほど…あれ、便利そうだけど高いのよね」
ナターシャさんは言う
「まぁ私達にすれば軽く買えるものではあるんだけどね、あれにあの値段って思うとちょっとね…」
ナターシャさんの言わんとすることは分かる
費用対効果
極端に言えば砂漠で缶ジュース1本に1万円出す人はいても町中で出す人はいない
便利そうではあるものの支払うのがばかばかしくなるような値がついているということだ
「採取の時とかよさそうなんだけどね。ギルドもそれで使ってるんだろうし」
確かに採取依頼の時の受け取りは籠を用意されている
でも市場にはあまり出回っていない
「この国の物じゃないから高いのよねぇ…」
そう
蔓で作られた籠はいわゆる輸入品のようなものなのだ
なのでかなり高い
ギルドが大量に入手できるのはギルドは国ではなく世界の施設とみなされるかららしい
スタンピードなどで国の指揮下にあると確実に対応が遅れるためギルドのみ協力体制が取られていて、各国の王族も貴族もギルドに対しては口を出せないようになっている
「とりあえず3種類くらいを考えてるの」
「そんなに?」
「あ、うん。採取用に直径40cmくらいのもの、料理する時の水きりようで20cmくらいのもの、あとは小物入れ感覚で使える10cmくらいのもの」
「なるほどねぇ。大きさが3種類ってことなのね?確かにそれは便利そう」
ナターシャさんの反応を見る限りこの世界でも受け入れられそうだ
それに今使ってるのはランディさんが捨てていた材料なので工賃にちょっと乗せた程度で販売できるはず
「元々捨ててた材料で作るからランディさんも値段設定は安めにするんじゃないかな?」
「あぁ…あの人、異常なくらいロスを嫌うからね」
「だね。だからこそバルドのことも良心的に値段付けてくれてるんだろうし」
普通に考えればド素人の子供の作品に付ける値段ではない
たとえ私に対する信用料がついたとしてもだ
「確かにそうね。新しいデザイン考えたら1000シアだっけ?」
「私も聞いたときは驚いた。でもそれだけあれを破棄するのが悔やまれてたんだろうなとも思うけど」
「バルドが選んだのが竹細工で良かったのかもね」
ナターシャさんはそう言いながら他の作品たちを見る
「あの中から選んだんだもんねぇ…」
数ある中からとった一つ
それが竹細工だったのは本当に幸運だったのかもしれない
「とりあえずこんな感じかな」
私は一番小さなものを完成させた
「あら可愛い」
ナターシャさんは手に取ってまじまじと眺めている
「これ、子供達も喜びそうじゃない?」
「そう?」
「賭けてもいいわよ?」
こういった時のナターシャさんの予想が外れたことはない
「じゃぁ…あと3つ作らないとね」
「ふふ…よろしく~」
私もナターシャさんも子供達には平等に与えてやりたいと思っている
同じように与えて手に取るかは別の問題
もちろん競うことも大事なんだろうけど…
「サラサ姉ちゃん何やってんの?」
バルドが水やりを終えて入ってきた
「新しい竹細工よ」
ナターシャさんが出来た籠をバルドに手渡した
「すごい…同じ材料からこんなものも作れるんだ…」
どうやらバルドの視点はナターシャさんとは少し違うらしい
これは期待できそうだと私は一人心の中で喜んでいた
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サラサ達の子供達の冒険はこちら
■チートな親から生まれたのは「規格外」でした
この機会にご一読いただけると嬉しいです
■召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います(長編/ファンタジー)
■ボクはキミが好き。その一言で奪われた未来を取り返します(短編/恋愛)
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