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37.遊び心2(輪投げ)

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まずは準備ということでテーブルの上に作業用のマットと接着剤を用意する
「お、何か思いついたのか?」
「一応ね。とりあえず作ってみるわ」
レイの言葉に頷きながらまずは板を置く
中心付近に対角線上の線を引くいてから棒の直径に合わせてメモリをつける

「次は…」
インベントリから接着剤を取り出すと板に棒をくっつけた

「何だコレ?」
板に棒が立っているだけの物体にみんなが首を傾げる
その悩ましい顔を見ながら微笑みつつも何も答えない

「最後はこうして…」
30センチほどの縄の先端同士を少し食い込ませると接着剤をつけて輪っか状にした
それを大小様々なサイズで作っていく

「なぁサラサ、そろそろ答え」
レイがたまりかねて尋ねてきた

「ふふ…完成だよ」
「「これで?」」
カルムさんとレイが同時に発していた

「こうやって少し離れたところからこのロープの輪を投げるの」
板の上に立っている棒に向かって実際にやって見せる

「おぉ?」
5つ中3つが木に通る
輪のサイズが全て違う為同じように投げても入ってくれないのだ

「これは輪投げっていう遊び。あの木の棒に向かってこの輪っかを投げるのよ」
「ちょっ、やらせろ」
レイとカルムさんが早速輪っかを手に持った
少し離れた場所から投げる

「うわっ…おしい」
一投目が棒に当たって近くに落ちた
「もうちょい右か…よっ…げ…」
二投目はかすりもしなかった

「輪っかのサイズが違うから同じように投げてもダメなんだよねぇ」
「…お前先に言えよ…」
レイが拗ねたように言う

「大きい輪っかの方が入りやすいし、距離を離せば難しくなるからそれで調整できるでしょ?子供は大きな輪を近くから、大人は小さめの輪を遠くから投げれば一緒に勝負も出来るんじゃないかな」
「確かにそれなら色んな年の子が集まっても一緒に楽しめそうね」
ナターシャさんが同意する

「あとは的をいくつか作って、的ごとに点数をつけて勝負するとかね」
「遠い方が点が高いって感じか?」
「そんな感じ。それに狙いを定めるって言う意味で言えば遊びながら命中力が上がるかなって」
「あぁ、投擲を石で練習する奴もいるからな。そう考えたら孤児院のチビに丁度いいか」
カルムさんが思いついたように言う
孤児院で貰い手のなかった子たちは冒険者になることが多いと言っていたことを思い出す

「集中力も鍛えられそうね。マリク、リアム、バルドもいらっしゃい」
「なーにー?」
「新しいおもちゃ、出来たわよ」
「「おもちゃ!」」
ナターシャさんの言葉にマリクとリアムが走ってきた
バルドは少ししてから出てきたからきっと玩具部屋を片付けていたのだろう

「どうやって遊ぶの?」
「この輪っかを持て」
「うん」
マリクがカルムさんから大きめの輪っかを渡された

「あの棒に向かって投げるんだ。棒に通ったら成功だ」
「わかったー」
マリクは頷くと棒を睨みつける
そして…
「えい!」
大きく振りかぶって投げた輪っかは縦向きに着地し、窓の方まで転がって行った

「うぅ…」
泣きそうになりながらカルムさんを見る

「マリク、次はこうやって投げてみろ」
カルムさんが実際にやって見せるとコクンと頷いた

「えいっ!」
掛け声と共に飛んでいく輪っかは棒の少し手前で着地した

「お、もう少しだな」
さっきよりも近くなったことでマリクはやる気が出たらしい
立て続けに投げて6投目で棒に通った

「やったー!!パパ見てた?」
「ああ。見てたぞ。上手く入ったな」
はしゃぐマリクを抱き上げる

「ママぼくもー」
リアムがナターシャさんの手を掴んでせがむ

「そうね、次はリアムの番ね」
「うん」
張り切って輪っかを掴んだリアムは10投目で棒に入れることが出来た
続いたバルドは4投目で成功し、その後は皆が代わる代わる投げている

「あの子たちお気に入りの輪っかが出来たみたいね」
「確かに。ずっと同じの使ってるもんね。いっそ目印でもつけようか」
私はインベントリを探りビニールテープのようなものを取り出した

「バルド、その輪っかちょっと貸して」
「え?うん」
バルドは首を傾げながらも渡してくれる
受け取った輪っかの継ぎ目部分を中心にテープを巻いていく

「よし、これでOK」
「これは?」
「バルドの輪っかっていう目印ね」
「サラサお姉ちゃん僕のも!」
「僕も!」
マリクとリアムも輪っかを差し出してくる

「ちょっと待ってね」
マリクとリアムの輪っかにそれぞれさっきと別の色のテープを巻いていく

「これで他のと混じってもわかるでしょ?」
「「うん!」」
嬉しそうに頷いて自慢げにカルムさんに見せに行った
「子ども達は自分の輪、大人はランダムなら丁度いいハンデかもね」
「そうね。大人が投げる輪を子供が選んだらもっと楽しいことになるかしら?」
「おいナターシャ?」
カルムさんがそれ以上難易度を上げるなと言いたそうな目で見ていた

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