[完結]ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました

真那月 凜

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24.動物になった子供たち

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ナターシャさんの提案で作り始めた服がようやく形になった
「レイ、これどう思う?」
私は小さな服を2着ベッドの上に並べて尋ねる

「…これは…」
レイは唖然としている
どうやら驚かせようとしていたたくらみは成功したようだ

「ちょ、早く着せてみようぜ」
レイはそばで仰向けになって手足をバタバタさせていたシアを抱き上げるとさっそく着替えさせる
その手際は驚くほどいい

「これはヤバいだろ…」
ニヤケるのを隠そうともせずレイはシアを構い倒している

「じゃぁ私はマリク呼んでくるね」
「ああ、あいつらは下に待たせとけよ…っとその必要はなさそうだな」
扉に向かおうとしたところ、下から軽い足音が近づいてくるのが分かった
どうやらマリクがいつものように上がってきたようだ

「入っていい?」
「いいわよ」
ノックか掛け声を必ずすること
そのナターシャさんとの約束は守られているようだとつい笑ってしまう
成長の一つ一つが微笑ましいと感じてしまうあたり私も大概なのかも?

「シアとあそ…ぶ?」
いつものようにシアを探すために部屋を見回しレイの腕の中にくぎ付けになる
うん。この反応は嬉しい

「マリクのもあるのよ」
「僕のも?」
マリクの目が輝いた

「そうよ。シアとおそろいはイヤかしら?」
私はマリクの為の服を見せる

「おそろい!僕も着ていい?」
「もちろんよ」
答えるなりマリクは着替えだす

「これであってる?」
「ふふ…あってるしとっても似合ってるわ」
「やった!シア!」
マリクは嬉しそうにシアに駆け寄ると、うつぶせで寝転がる
それをみてレイは笑いながらシアを同じようにベッドに寝かせてやる

「ぶっ…ヤバすぎ」
「可愛すぎ…」
私たちは2人を見ながら思わず溢れてくる笑みを隠すこともない

「おい、あいつらにも見せてやろうぜ。マリク来い」
「うん」
マリクは伸ばされたレイの手に身を任せそのまま抱き上げられる
私はシアを抱き上げる
下にいる2人の反応を想像しながら私たちは悪戯を仕掛ける子供のように顔を見合わせた

そーっと扉を開けて気づかれないように中に入る
そして前方に子供たちをおろした

「にゃー」
「えー?!」
「は?」
ナターシャさんとカルムさんの視線は2人にくぎ付けだった

「…レイ」
「ん?」
「鳴きまねするように言ったの?」
「ああ。その方が面白いだろ?」
レイはケラケラと笑いながら言う

「ちょっと、サラサちゃんこれ…」
「さっき出来上がったの。ネコの兄弟、どう?」
そう、私は着ぐるみのような部屋着を作ったのだ
猫を模した前世ではよく見かけたタイプのもの

「どうって…可愛すぎよ?!」
「相変わらずおもろいものを…しかも普段から寝転がってることの多い猫を選ぶあたり…」
「でしょう?シアが動けないからこれしか思い浮かばなくて」
私は笑いながら返す

「ママ、ボク可愛い?」
「とーっても可愛いわよ!」
ナターシャさんはそう言ってマリクを抱き上げた
抱き付く姿も猫がしがみついているように見える

「サイズ的にカルムが抱いた方が見栄えがいいかもな」
レイが思いついたように言う
その手もとでシアがコロンと仰向けに寝がえりをうたされている

「ん?こうか?」
カルムさんがナターシャさんからマリクを抱き受けるとみんなが笑い出す

「似合いすぎ…本当に猫抱いてるみたい」
ナターシャさんは涙目になりながら笑っている
カルムさんも自分で想像できてしまったのか苦笑する
そんな中マリクが何度も猫の鳴きまねをするせいでみんな笑いが止まらなくなってしまった

「ねぇ、これも前世で?」
「そうだよ。スリッパ…動物の足の形の室内用の靴とかもあったんだけど…」
「靴より断然服でしょう」
遮るように言ったナターシャさんはマリクの頭の部分を脱がせたりかぶせたりして楽しんでいる

「これ、兄弟みんなが揃って着てたら笑えるだろうなー」
「家の中でこのサイズの猫が10匹とか…?」
「それ化け猫屋敷になる気がするんだけど…」

「化け猫屋敷はともかくこれ、町ではやらしたら面白そうじゃね?」
「町中を動物姿の子供たちが走り回る…ってこと?」
「ああ」
レイの言葉にみんなで顔を見合わせる
子供服はもともと数パターンしか存在しないこの世界でこんなものが出回れば確実に売れる
それが分かるだけにその想像は現実になるだろう

「よし、昼飯食ったら町に行くぞ」
カルムさんがそう言いながらマリクをおろす

「何しに行くの?」
「ふふ…かわいいマリクを見せびらかしに行くのよ~」
ナターシャさんはにっこり笑ってそう言った
どうやら午後の予定が決まったらしい
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