[完結]ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました

真那月 凜

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17.レイのパーティー加入

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『グォ……』
魔物の断末魔が響く

「トータの勝ち」
「よっしゃ!」
ナターシャさんの言葉にトータさんがガッツポーズする

今日はカルムさん、ナターシャさん、アランさん、トータさんにレイと私の6人で迷宮に来ていた
新旧弾丸メンバープラスおまけのような感じだ

「次は?」
「レイとサラサ」
「サラサとやって勝てる気がしねぇな」
カルムさんの言葉にレイが苦笑しながら言った

ランダムに選んだ2人が目隠しをして前方からくる魔物を倒す勝負が今朝から行われている
きっかけは昨夜の何気ない会話っだった


◇ ◇ ◇


「気配察知ってあったら便利だよなー?」
「何だよ突然?」
トータさんの言葉にアランさんが反応する

「いや、こないだAランクになった奴がそのスキル持ってるらしいんだよな」
「気配察知ねぇ…」
レイが呟くのを聞きながら私はそばにあった魔法スキルの本を手に取った

「覚えれるのか?」
「大丈夫そう」
2人で小声で話しながら私は気配察知のスキルを複製した

「ぶっ…」
私のステータスを見ていたレイは瞬時に追加されたスキルに噴き出した

「何だよレイ?」
「いや、サラサがな…」
笑いが止まらないらしく言葉が続かない

「…まさか?」
カルムさんが何かを察したようにレイを見る

「そのまさか」
レイは答えながらも笑い続けている

「どういうことだ?」
「サラサが気配察知を複製した?」
「「は?」」
「本当に?」
トータさんとアランさん、ナターシャさんの言葉は同時に発せられた

「せこいって…」
「あはは…じゃぁみんなにも渡そうか?」
私がそう言うとレイを含む5人の目が集中した

「え…と?」
多少圧を感じるその視線に動揺しないと言ったらウソになる

「渡すって言ったか?」
「そんなこと出来るのか?」
「前にスキルって人に渡せるのかなって考えてたら創れたみたいで…」
私はそう言いながらみんなに気配察知のスキルを譲渡した

「今皆に譲渡したけど複製で作ったからスキルレベルは1だよ」
「…ってことはスタートラインはみんな一緒ってことだよな?」
「そうなるね」
「じゃぁ明日勝負しようぜ」
「勝負?」
皆がトータさんを見る

「スキルレベルを上げる勝負。誰が一番早く10まで上がるか」
「10までねぇ…まぁそれくらいなら1日で何とかなるか?」
「無理なら別の日に続きすればいいんじゃない?」
どうやら勝負は決定したらしい


◇ ◇ ◇


というやり取りの後今に至る
6人同時にすると危険だし判定できないということで順番に1対1で勝負すること半日
皆順調に7までスキルレベルが上がっていた
最初は下層から初めて今は中層まで戻ってきている
弱い魔物ほど気配も少ないということでカルムさんが提案した

レイと2人アイマスクをつけて神経を研ぎ澄ます
面白いほどレイの気配が感じ取れる
「!」
気配を感じて魔法を放った瞬間だった
『ギャッ!』
何とも言い難い魔物の声が響きアイマスクを取ると炭になった魔物が見て取れる
どうやら私の攻撃はムダに終わったらしい

「レイの勝ち」
「っしゃ!初めてじゃね?」
嬉しそうなレイに苦笑する
転生者のチート持ちということもあって普段からレイは負けてもひがんだりすることはない

「サラサに勝つとかお前も大概化け物になったよな…」
「化け物ってお前…」
カルムさんのしみじみと発せられた言葉にレイは思わず突っ込んでいた

「今のは察知自体はたぶんサラサのが早かった」
「え?」
「その後の反応がレイのが早い」
「そうなのか?」
「ああ。俺にはそう見えた」
カルムさんは言う

「残念、レイの反射スピードはどれだけやっても越せないもんね…」
普段から特に競うわけではないものの、レイの反射スピードに助けられていることが多い
自分でも決して鈍いつもりはないんだけど…

「そこは俺も勝てたことがないしな」
「あれ?カルムも大概早いのに?」
ナターシャさんが首を傾げる

「ああ。こいつのは異常だからな」
「異常とか言うな」
レイが不貞腐れたように言う

「まぁまぁ。ねぇ、そろそろ休憩にしない?」
「飯!」
トータさんが真っ先に乗ってくる

「場所は…ここでいいか。大した魔物出るわけじゃねぇし」
「アランが一番遅れてるから食ってる間に頑張って追い付け」
「マジか…」
アランさんは項垂れるがまんざらでもなさそうだ

インベントリからサンドイッチやおにぎりを取り出すとみんなが我先にと手に取っていく
アランさんは背後の気配に集中しながら食事を取り、時々魔法を放っていた
もちろん取りこぼしはレイたちが仕留めていたけど

そんな感じで初めての6人での迷宮攻略は何故かタイマン勝負のみで終わってしまった
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