165 / 199
44.メリッサの緊急避難
4
しおりを挟む
食事の準備が整いナターシャさんがメリッサさんを呼んできた
「どうメリッサさん?」
「だいぶ楽になったかな」
そう言うメリッサさんの顔色はかなり良くなっていた
「メリッサお姉ちゃん最近よく笑うよ?」
マリクがそう言うとメリッサさんが驚いていた
「…私笑ってなかった?」
「うん。ヘンリー生まれるまで辛そうだった」
サラッとそう言うマリクが随分とたくましく見える
「…子供ってよく見てるのね?」
「そうねぇ…驚くときは多いかも?」
「まぁでも、楽になったならよかったわ。アランもかなり心配してたわよ」
ナターシャさんの言葉にメリッサさんは苦笑する
「アランには感謝してる」
「何、突然」
「今回の事で初めて思ったの。アランがいてくれたらそれだけで安心できるって」
私とナターシャさんは顔を見合わせてから黙って聞くことにした
「昔から家族ぐるみで付き合いがあったせいで、色んなことがうやむやになってたんだなって思うの。そんな中でもアランは私たちをいつも優先して守ってくれたから」
そう言ってヘンリーを抱きしめる
「何を言われてもアランだけはずっと味方でいてくれた。それが本当に嬉しかったの」
「…今回の騒動のきっかけって何かわかってるの?アランはいまいちよく分からない感じだったけど…」
先日話していた時の事を思い出しながらナターシャさんが尋ねた
「多分…アランの一番下の弟がお母さんが遊んでくれなかったから寂しかったって言いだしたことだと思う」
「それが何でメリッサから子供を取り上げることになるのよ?」
さっぱりわからないわとでも言うようにナターシャさんは言った
「アランのお母さんはずっと働いてるから、日中家にはおじいちゃんとおばあちゃん、ほかの兄弟だけになるの。でもあの子は母親が良かったのね」
「だからって…」
「うん…でもアランのお母さんはそれを聞いて後悔したんだと思う。だから私に仕事辞めろって言いだしたの。そこからはみんなの意見が二転三転して…働きに出るならその間面倒見る役目の取り合いが始まって、気づいたら仕事辞めないなら子供取り上げるって話にまでなってた感じかな」
「…」
とんでもない飛躍だ
本人たちの事を無視して自分たちの感情だけですべてを進めようとしているようにしか思えない
「途中からメリッサのためでも子供のためでもなくなってる。挙式の前もそうだったわよね?」
「あの時は私たちからじゃなくよそから聞いたからって怒って、拗ねて…」
呆れたようなナターシャさんの言葉にメリッサさんもため息交じりにに言った
「極めつけがそんな大事なことを真っ先に話せないお前らは息子でも娘でもないだったかしら?」
「うん。あの時アランは自分たちの事だからって、両親たちの許可はほっといて先に進めようとしたんだけど、私が皆に祝福して欲しいって言ったから…」
「そうね。アランは大分やきもきしてたものね」
ナターシャさんは言う
「考えてみれば、アランはあの時点である種の線引きをしてたのかもしれないわね。だからこそ今回も最初からこっちにメリッサを非難させることも視野に入れてた?」
「多分そうなんだと思う…」
メリッサさんは頷く
「それでも私が諦めきれなかったの」
「諦める?」
「うん。自分の家族もアランの家族も大事にしたいってどこかで思ってたんだと思う。だから何とかわかってもらおうって頑張ったんだけど…」
「もうすでにメリッサの言葉は聞こえなくなってたってことね」
ナターシャさんの言葉にメリッサさんは頷いた
「だけど流石に今回の事で分かってもらうのは無理なんだって分かった。仲が悪いわけじゃなかったし、大切な親族だってことには変わりないけど簡単に許せることじゃないし、ほとぼりが冷めるまで家族からの接触は拒否しようと思ってる」
「「拒否?」」
私とナターシャさんの言葉は揃っていた
「拒否って言ったら仰々しいんだけど正直今はあんまり関わりたくなくて…」
「あーうん。自分たち置いてきぼりでもめられたら流石に怖いよね…」
「サラサちゃんの言う通りなんだ。信じられなくなっちゃったって言うのもあるんだけどすごく怖い。その矛先がヘンリーに向いたらと思うと余計に…」
長いこと身近で育った自分たちが参ってしまっただけに、ヘンリーへの影響は計り知れない
「でもそれじゃ町に住むのはつらいんじゃない?」
「そうなんだよね…簡単に納得してもらえるとも思えないし、おしかけてこられる可能性もあるし」
「…とりあえず当分はここで様子見なさい」
「私はありがたいけど流石に迷惑でしょ?」
「迷惑なわけないでしょ。まぁ子供が多いから静かな場所ではないけど」
ナターシャさんは笑いながら言う
「メリッサさんいてくれるなら私たちも協力し合えるから助かるしね」
「ありがと…じゃぁしばらく甘えさせてもらってもいい?」
「「もちろん」」
ナターシャさんと同時に頷いていた
「どうメリッサさん?」
「だいぶ楽になったかな」
そう言うメリッサさんの顔色はかなり良くなっていた
「メリッサお姉ちゃん最近よく笑うよ?」
マリクがそう言うとメリッサさんが驚いていた
「…私笑ってなかった?」
「うん。ヘンリー生まれるまで辛そうだった」
サラッとそう言うマリクが随分とたくましく見える
「…子供ってよく見てるのね?」
「そうねぇ…驚くときは多いかも?」
「まぁでも、楽になったならよかったわ。アランもかなり心配してたわよ」
ナターシャさんの言葉にメリッサさんは苦笑する
「アランには感謝してる」
「何、突然」
「今回の事で初めて思ったの。アランがいてくれたらそれだけで安心できるって」
私とナターシャさんは顔を見合わせてから黙って聞くことにした
「昔から家族ぐるみで付き合いがあったせいで、色んなことがうやむやになってたんだなって思うの。そんな中でもアランは私たちをいつも優先して守ってくれたから」
そう言ってヘンリーを抱きしめる
「何を言われてもアランだけはずっと味方でいてくれた。それが本当に嬉しかったの」
「…今回の騒動のきっかけって何かわかってるの?アランはいまいちよく分からない感じだったけど…」
先日話していた時の事を思い出しながらナターシャさんが尋ねた
「多分…アランの一番下の弟がお母さんが遊んでくれなかったから寂しかったって言いだしたことだと思う」
「それが何でメリッサから子供を取り上げることになるのよ?」
さっぱりわからないわとでも言うようにナターシャさんは言った
「アランのお母さんはずっと働いてるから、日中家にはおじいちゃんとおばあちゃん、ほかの兄弟だけになるの。でもあの子は母親が良かったのね」
「だからって…」
「うん…でもアランのお母さんはそれを聞いて後悔したんだと思う。だから私に仕事辞めろって言いだしたの。そこからはみんなの意見が二転三転して…働きに出るならその間面倒見る役目の取り合いが始まって、気づいたら仕事辞めないなら子供取り上げるって話にまでなってた感じかな」
「…」
とんでもない飛躍だ
本人たちの事を無視して自分たちの感情だけですべてを進めようとしているようにしか思えない
「途中からメリッサのためでも子供のためでもなくなってる。挙式の前もそうだったわよね?」
「あの時は私たちからじゃなくよそから聞いたからって怒って、拗ねて…」
呆れたようなナターシャさんの言葉にメリッサさんもため息交じりにに言った
「極めつけがそんな大事なことを真っ先に話せないお前らは息子でも娘でもないだったかしら?」
「うん。あの時アランは自分たちの事だからって、両親たちの許可はほっといて先に進めようとしたんだけど、私が皆に祝福して欲しいって言ったから…」
「そうね。アランは大分やきもきしてたものね」
ナターシャさんは言う
「考えてみれば、アランはあの時点である種の線引きをしてたのかもしれないわね。だからこそ今回も最初からこっちにメリッサを非難させることも視野に入れてた?」
「多分そうなんだと思う…」
メリッサさんは頷く
「それでも私が諦めきれなかったの」
「諦める?」
「うん。自分の家族もアランの家族も大事にしたいってどこかで思ってたんだと思う。だから何とかわかってもらおうって頑張ったんだけど…」
「もうすでにメリッサの言葉は聞こえなくなってたってことね」
ナターシャさんの言葉にメリッサさんは頷いた
「だけど流石に今回の事で分かってもらうのは無理なんだって分かった。仲が悪いわけじゃなかったし、大切な親族だってことには変わりないけど簡単に許せることじゃないし、ほとぼりが冷めるまで家族からの接触は拒否しようと思ってる」
「「拒否?」」
私とナターシャさんの言葉は揃っていた
「拒否って言ったら仰々しいんだけど正直今はあんまり関わりたくなくて…」
「あーうん。自分たち置いてきぼりでもめられたら流石に怖いよね…」
「サラサちゃんの言う通りなんだ。信じられなくなっちゃったって言うのもあるんだけどすごく怖い。その矛先がヘンリーに向いたらと思うと余計に…」
長いこと身近で育った自分たちが参ってしまっただけに、ヘンリーへの影響は計り知れない
「でもそれじゃ町に住むのはつらいんじゃない?」
「そうなんだよね…簡単に納得してもらえるとも思えないし、おしかけてこられる可能性もあるし」
「…とりあえず当分はここで様子見なさい」
「私はありがたいけど流石に迷惑でしょ?」
「迷惑なわけないでしょ。まぁ子供が多いから静かな場所ではないけど」
ナターシャさんは笑いながら言う
「メリッサさんいてくれるなら私たちも協力し合えるから助かるしね」
「ありがと…じゃぁしばらく甘えさせてもらってもいい?」
「「もちろん」」
ナターシャさんと同時に頷いていた
42
お気に入りに追加
834
あなたにおすすめの小説
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
異世界村長:目標は生き残ること。神は信じない
薄味メロン
ファンタジー
日本生まれ、日本育ちの鞍馬康之27歳は、神から『テンプレ通りだから』の一言だけを賜り、異世界転生に転生した。
神に期待しないことを覚えつつ、異世界で成長していった康之は、ひょんなことから村長に抜擢される。
命の危機はなんどもあったが、多くの仲間やメイドたちと巡り会い。村人達と助け合いながら、のびのびと異世界で生きていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる