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44.メリッサの緊急避難
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「サラサ姉ちゃん来て!シアが…」
バルドに呼ばれ玩具部屋へ向かう
「どうしたの?」
中を見たとたん固まってしまう
部屋の中を5つのぬいぐるみが飛び回っていてマリクとリアムが楽しそうに追いかけている
「最初は1つだったのにいきなり」
バルドが今でも信じられないという感じでかなり興奮していた
「言葉より早く念動力上達するとか…」
私は喜ぶべきか悲しむべきかわからなくなった
「シア」
「マーマ!」
シアが私を見て笑顔を見せるとぬいぐるみが一斉に私の方に飛んできた
攻撃ではなくじゃれつくような突撃だ
「こんなにたくさん凄いわね?」
制御をかけながらシアを抱き上げると嬉しそうに笑う
「メリッサさんも落ち着いたからみんないらっしゃい」
3人を促すと我先にとリビングに向かう
「で、何があったの?」
飛びついてきたリアムにナターシャさんが尋ねた
「シアがぬいぐるみ浮かべてた」
「5つも!」
マリクが続ける
「5つ?!」
「私もびっくり。いきなりパワーアップ」
もう笑うしかない
最近では毎日のように浮かせているので浮かせていること自体はメリッサさんも含めて誰も驚きはしない
でもその数がいきなり増えるのはどういうことなのか…?
「一応ナターシャさんにも制御用のスキル渡しとくね」
そう言うとナターシャさんはステータスを確認した
「念動力制御?」
「うん。浮かせてるのをゆっくり下におろすようなイメージで使って」
「了解」
「ねぇ、スキル渡すって何?」
メリッサさんがキョトンとしている
「あー私の持ってるスキルを譲渡するスキル」
「え…」
「メリッサ、驚くだけ無駄よ。サラサちゃんのスキルは未知の世界なんだから」
「ナターシャさんそれ酷くない?」
「事実でしょ?」
肯定的に言われ黙ってしまう
「ママ」
「ん?」
「サラサお姉ちゃんいじめちゃダメ」
マリクが顔の前で手をクロスさせて言う
その可愛さに私とナターシャさん、メリッサさんは思わず顔がほころんだ
「そうね。いじめちゃだめよね」
ナターシャさんは緩んだ顔を治すことも出来ずごまかす様にマリクを抱きしめた
「シアのスキルとかサラサちゃんの特別な力とか…それと比べたら私の悩み何てチッポケなものなのかも…」
「え~と、メリッサさん?」
私はどうとればいいのかわからず苦笑する
「馬鹿ねメリッサ。悩みに大きいも小さいもないの。まして子供に関する悩み何て余計にね」
「ナターシャさん…」
「そうよね。自分にとっては小さな悩みだと思ってても周りに取ったらとんでもない事だったり、もちろんその逆だったり…悩みに大小も優劣も付けれないよね」
「そういうこと。ただ、私たちで力になれるならいくらでも協力するわ。もっとも話を聞くくらいしか出来ないことも多いかもしれないけどね」
こういう時になんでもしてあげると言い切らないあたりナターシャさんらしいと思う
その時突然、メリッサさんの顔が突然ゆがんだ
「メリッサさん?」
「メリッサ!」
お腹を押さえて顔からは冷や汗が流れ出す
「マリクこれ打ち上げて」
ナターシャさんはシアが生れた時と同じ発煙筒のようなものをマリクに渡した
「分かった!」
マリクは庭に出て打ち上げる
「メリッサ横になりな」
身体を支えながら寝かせる
「ママ緑色だった」
「そうよ。緑色はお医者さんを呼んでって合図ね」
「リアムお水入れてきてくれる?」
「うん」
「バルドはこのタオルを濡らしてきてメリッサさんの汗を拭いてあげて」
「分かった」
子供たちは素直に手伝ってくれる
少しすると玄関が騒がしくなり弾丸が帰ってきた
「良かった。見えるところにいてくれたんだ」
「ああ。トータが医者呼びに行った。アラン、メリッサを部屋に運んでやれ」
レイがソファーに横になるメリッサさんを見てそう言った
「分かった」
アランさんはすぐにメリッサさんを抱き上げてベッドに移した
「誰か来た。僕出るね」
バルドが真っ先に出て行く
医者とトータさんが入ってくると緊迫した空気が流れた
ここからは私たちには何もできない
ただリビングでメリッサさんとその赤ちゃんが無事であるようにと祈るしかできない
シアを抱きしめる手に力がこもってしまう
「サラサ」
それに気づいたレイがシアを抱き受けてくれた
足元ではレイ達の依頼に同行していたカーロもいる
「きっと大丈夫だ」
「ん…」
頷くものの生まれる予定日まではまだ少し早い
時期的には正期産の時期でもここしばらくのストレスが影響していないとは言い切れない
長い時間をみんなが沈黙したまま過ごしていた
動きがあったのは日付が変わってからだった
小さなかすれるような鳴き声が途切れ途切れに聞こえてくる
「…産まれた?」
皆で顔を見合わせているとナターシャさんが出てきた
バルドに呼ばれ玩具部屋へ向かう
「どうしたの?」
中を見たとたん固まってしまう
部屋の中を5つのぬいぐるみが飛び回っていてマリクとリアムが楽しそうに追いかけている
「最初は1つだったのにいきなり」
バルドが今でも信じられないという感じでかなり興奮していた
「言葉より早く念動力上達するとか…」
私は喜ぶべきか悲しむべきかわからなくなった
「シア」
「マーマ!」
シアが私を見て笑顔を見せるとぬいぐるみが一斉に私の方に飛んできた
攻撃ではなくじゃれつくような突撃だ
「こんなにたくさん凄いわね?」
制御をかけながらシアを抱き上げると嬉しそうに笑う
「メリッサさんも落ち着いたからみんないらっしゃい」
3人を促すと我先にとリビングに向かう
「で、何があったの?」
飛びついてきたリアムにナターシャさんが尋ねた
「シアがぬいぐるみ浮かべてた」
「5つも!」
マリクが続ける
「5つ?!」
「私もびっくり。いきなりパワーアップ」
もう笑うしかない
最近では毎日のように浮かせているので浮かせていること自体はメリッサさんも含めて誰も驚きはしない
でもその数がいきなり増えるのはどういうことなのか…?
「一応ナターシャさんにも制御用のスキル渡しとくね」
そう言うとナターシャさんはステータスを確認した
「念動力制御?」
「うん。浮かせてるのをゆっくり下におろすようなイメージで使って」
「了解」
「ねぇ、スキル渡すって何?」
メリッサさんがキョトンとしている
「あー私の持ってるスキルを譲渡するスキル」
「え…」
「メリッサ、驚くだけ無駄よ。サラサちゃんのスキルは未知の世界なんだから」
「ナターシャさんそれ酷くない?」
「事実でしょ?」
肯定的に言われ黙ってしまう
「ママ」
「ん?」
「サラサお姉ちゃんいじめちゃダメ」
マリクが顔の前で手をクロスさせて言う
その可愛さに私とナターシャさん、メリッサさんは思わず顔がほころんだ
「そうね。いじめちゃだめよね」
ナターシャさんは緩んだ顔を治すことも出来ずごまかす様にマリクを抱きしめた
「シアのスキルとかサラサちゃんの特別な力とか…それと比べたら私の悩み何てチッポケなものなのかも…」
「え~と、メリッサさん?」
私はどうとればいいのかわからず苦笑する
「馬鹿ねメリッサ。悩みに大きいも小さいもないの。まして子供に関する悩み何て余計にね」
「ナターシャさん…」
「そうよね。自分にとっては小さな悩みだと思ってても周りに取ったらとんでもない事だったり、もちろんその逆だったり…悩みに大小も優劣も付けれないよね」
「そういうこと。ただ、私たちで力になれるならいくらでも協力するわ。もっとも話を聞くくらいしか出来ないことも多いかもしれないけどね」
こういう時になんでもしてあげると言い切らないあたりナターシャさんらしいと思う
その時突然、メリッサさんの顔が突然ゆがんだ
「メリッサさん?」
「メリッサ!」
お腹を押さえて顔からは冷や汗が流れ出す
「マリクこれ打ち上げて」
ナターシャさんはシアが生れた時と同じ発煙筒のようなものをマリクに渡した
「分かった!」
マリクは庭に出て打ち上げる
「メリッサ横になりな」
身体を支えながら寝かせる
「ママ緑色だった」
「そうよ。緑色はお医者さんを呼んでって合図ね」
「リアムお水入れてきてくれる?」
「うん」
「バルドはこのタオルを濡らしてきてメリッサさんの汗を拭いてあげて」
「分かった」
子供たちは素直に手伝ってくれる
少しすると玄関が騒がしくなり弾丸が帰ってきた
「良かった。見えるところにいてくれたんだ」
「ああ。トータが医者呼びに行った。アラン、メリッサを部屋に運んでやれ」
レイがソファーに横になるメリッサさんを見てそう言った
「分かった」
アランさんはすぐにメリッサさんを抱き上げてベッドに移した
「誰か来た。僕出るね」
バルドが真っ先に出て行く
医者とトータさんが入ってくると緊迫した空気が流れた
ここからは私たちには何もできない
ただリビングでメリッサさんとその赤ちゃんが無事であるようにと祈るしかできない
シアを抱きしめる手に力がこもってしまう
「サラサ」
それに気づいたレイがシアを抱き受けてくれた
足元ではレイ達の依頼に同行していたカーロもいる
「きっと大丈夫だ」
「ん…」
頷くものの生まれる予定日まではまだ少し早い
時期的には正期産の時期でもここしばらくのストレスが影響していないとは言い切れない
長い時間をみんなが沈黙したまま過ごしていた
動きがあったのは日付が変わってからだった
小さなかすれるような鳴き声が途切れ途切れに聞こえてくる
「…産まれた?」
皆で顔を見合わせているとナターシャさんが出てきた
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