[完結]ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました

真那月 凜

文字の大きさ
上 下
82 / 199
20.共同生活

1

しおりを挟む
翌朝レイと私は早くから目が覚めた
「朝ごはん何にしよっか?」
「そーだなー…」
心配性のレイにエスコートされながら階段を下りる

「チビが喜びそーなのがいいよなぁ…」
当たり前のようにマリクの事を考えている

「あれは?ホットケーキ」
「いいかも。あとは…ミックスジュースでも作ってみようかな」
「俺はコーヒーで」
「レイ朝のコーヒー欠かさないもんね」
笑いながら準備を始める

「はよ~」
カルムがマリクを抱き上げたまま起きてきた

「おう」
「おはようございます。マリクもおはよう」
「…おはよ」
少し恥ずかしそうに言う

「ちゃんとご挨拶出来て偉いね。今から朝ごはん作るからちょっと待っててね」
頭をなでて言う

「カルムさんはコーヒーだよね?」
「ああ。頼む」
カルムさんはレイの隣に座って膝の上にマリクを乗せた
私はマリクから見える場所でミックスジュースの準備をする
ジューサーの音にびっくりして一瞬固まったマリクをカルムさんがあやしているのが微笑ましい

「ミックスジュースの出来上がり」
グラスに注いでマリクの前に置くとレイとカルムさんにはコーヒーを出す
そしてマリクの前で私もミックスジュースを口にする

「マリクこれは果物とミルクを混ぜた飲み物だよ。昨日のイチゴミルクより甘くてとろみがあるかな」
そう説明するとチビチビと飲み始めた
カルムさんがそんなマリクの頭をなでていた

私はホットケーキの準備を始める
「カルムさんはマリクと分けっこでいい?」
「ん?ああ」
その意図を悟ってすぐに頷いてくれる

丁度焼きあがってきたタイミングでトータさんが起きてきた
「トータさんおはよ」
「おはよー。サラサ俺もコーヒーくれ」
「ちょっと待ってね」
先にコーヒーを準備してしまう

焼きあがった2枚のホットケーキをお皿に移すとバターを乗せる
レイとカルムさんの前に置いてから次を焼き始めた

「ジャムのせるなら…イチゴとブルーベリー、オレンジ」
一つずつマリクの前に置いていく

「マリクどの味がいい?」
「…」
マリクは黙ったままイチゴを指さした
イチゴミルクと言いイチゴが好きなのだろうか
それとも他の味を知らないだけか…?

カルムさんはイチゴジャムをバターの上に塗り一口サイズに切り分ける
そして先に自分が食べてみる
「やっぱうまいなぁ…ほらマリクも食ってみ?」
小さめのフォークを渡すと少しずつかじる
その後も次々と食べていたので気に入ったのだろう
レイもそれを確認しながら隣で食べ始める

「サラサ、チョコクリームくれ」
次に焼きあがったのをトータさんに出した途端その要求が飛んでくる
もう1枚はカルムさんのお皿にのせている

「マリクもチョコクリーム食ってみるか?」
マリクはトータさんが塗っているのをジーっと見てから頷いた
興味はあるようだ
カルムさんがさっきと同じように一口サイズに切り分けると、マリクはカルムさんが一切れ食べたのを見てから自分も食べ始めた

「サラサ俺ももう1枚」
「ちょっと待ってね」
次々と焼くものの焼きあがったものからすぐになくなっていく
マリクは流石に3種類目には手を出さず残りのミックスジュースを少しずつ飲んでいた

「みんな早くない?」
レイたちが食べ終えソファーでくつろいでいるとようやくナターシャさんが起きてきた
マリクがカルムさんの膝の上からナターシャさんに手を伸ばす

「おはようマリク」
「おはよ」
そう返すマリクをナターシャさんは抱き上げる

「ご挨拶出来て偉いわね。ご飯はもう食べた?」
その問いにコクンとうなずく

「ぱぱ、いっしょ」
「パパと食べたのね?おいしかった?」
再びうなずく
答えが返ってくるごとにナターシャさんはマリクの頭をなでる

「ホットケーキ食べてたんだけどナターシャさんはどうします?」
「私も欲しいわ」
「了解。飲み物はコーヒーかミックスジュースか…」
「ミックスジュースかな。自分で入れるわ」
私がホットケーキを焼き始めたのを見てナターシャさんは自分で準備し始めた

しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

異世界陸軍活動記

ニボシサービス
ファンタジー
病弱だった青年が異世界に飛ばされ、そこで軍人として活躍するお話です

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

処理中です...