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18.体調不良?

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昼食の準備を始めて少しした時いきなり激しい吐き気に襲われた
思わずその場でうずくまってしまったのにナターシャさんが気づいた
「サラサちゃん大丈夫?」
心配そうな顔で背中をさすってくれる
「ひどい顔色だわ。さっきまで何ともなかったのに…」
顔を覗き込んできたナターシャさんの方が困惑しているように見える

「どーした?」
リビングにいたレイが駆け寄ってくる

「サラサちゃん体調悪いみたいなのよ」
「…上で寝かしてくるよ。悪いけど医者呼んできてくんね?」
「俺行ってくるよ」
トータさんが答えるなり飛び出していった

レイはゆっくりベッドにおろしてくれる
横になったことで少し楽になった気がする

「ずっと体調悪かったのか?」
「ううん。突然…」
何が起こっているのかわからず不安になってしまう
耐性MAXというスキルがあるから大概の事は大丈夫なはずで、現にミュラーリアに来てからスタンピードを除いて大したケガも体調不良も覚えがない
記憶にあるのは料理や工作中の些細な傷くらいでそれもヒールで簡単に治る
その時に初めて耐性というものが自ら働きかけることには聞かないスキルなのだと知ったくらいだ

私は不安から逃れるようにレイの手を握っていた
レイはその手をしっかりと握り返してくれる
「大丈夫だ。お前は一人じゃない」
ベッドに腰かけたレイはそう言って額に口づける
それだけで不安が和らいでいく気がした

医者が到着するとレイは部屋を追い出されてしまった
この世界ではそれが普通らしい

診断を終えると医者は笑顔を見せて言った
「おめでとうございます。妊娠されてますよ」
「え…?」
思わず医者を見返していた

「7月の終わりか8月の始めあたりで生まれるでしょう」
「本当…に?」
自然と手をお腹に当てていた

「これからは普段以上に健康に気を付けてください。それと定期的に診察に来てください」
医者は頷いてからそう言った

「ご主人にはご自分で話されますか?」
「あ…できればお願いしてもいいですか?」
「分かりました。ではお話ししてそのまま帰ります。お大事に」
そう言って医者は出て行った


少しして入ってきたレイに強く抱きしめられる
「…喜んでくれる?」
「俺たちの子だ。当たり前だろ」
その言葉に涙が溢れ出す
自分の中に芽生えた新しい命を当たり前だと受け入れてくれるのが嬉しかった

「元気に生まれて来るように大事に育てよう。もちろん生まれてからもだ」
「うん…」
「あいつらも絶対喜んでくれる。生まれたらみんなに可愛がられるよ」
「そうかな?」
「ああ。賭けてもいい」
レイは笑いながらそう言った



体調が落ち着いてから2人で下に降りた
「寝てなくて大丈夫なの?」
最初に気付いたナターシャさんが心配そうに声をかけてきた

「ありがとうナターシャさん。もう大丈夫」
「病気じゃなかったからな」
「え?」
「…ひょっとして…?」
不思議そうに首をかしげるトータさんの横でナターシャさんが期待のまなざしを向ける

「…妊娠してるって」
「やーん…おめでとう!」
ナターシャさんが抱きしめてくれる

「いつ生まれる予定だ?」
「7月の終わりか8月の始めくらいだって」
「…ってことはやっぱり挙式ベイビーね」
うん。言うと思った
でもみんなの前で言葉にはしないで欲しい

「今さら恥ずかしがることでもないだろ。それにしてもめでたいな」
カルムさんが自分の事のように喜んでくれる
「元気に生まれて来いよ~いっぱい遊んでやるから」
「トータは遊んでやるんじゃなくて遊んでもらうんだろ?」
「カルムひでー」
じゃれるようなやり取りが当たり前のように繰り広げられていた
本当に喜んでくれてるのが伝わってくる

「言っただろ?」
自分の事のように喜んでくれる皆を見てそう言ったレイに頷いて返す
本当に暖かい人たちだと思う

「アランの結婚にレイのパーティー入り、サラサの妊娠…ほんとスゲーな」
「今月休息にしてて正解だったわね」
「そうだなこんな気分のいい休息は初めてだ」
みんなの言葉を聞きながら嬉しさがこみあげてくる

「相変わらず泣き虫だな」
レイが目元の涙を拭い、苦笑しながら抱きしめてくれる

「だって…当たり前のように受け止めてくれる…」
「ああ。良かったな」
髪をなでながら言うレイにみんなが驚いている

「みんな驚いてるからもう泣くな」
目元に口づけられ驚きと恥ずかしさで一気に涙が止まった
みんなにからかわれながらも幸せな時間が続いた
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