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23.誕生
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階段を上がってくる軽い足音が聞こえ少しすると扉がノックされる
「どうぞ」
答えると扉はすぐに開く
「シア起きた?」
マリクが寝室に入ってくるとシアが手足をバタつかせた
自分と遊んでくれる人と分かっているのだろうか?
「起きてるわよ。マリクが来てくれてうれしいみたい」
マリクはシアの頬をプニプニとつつく
自分より小さく弱い存在が気になるらしく、マリクはかなりの時間をシアのそばで過ごしていた
「ここにいたのかマリク。ママが呼んでたぞ?」
「…行ってくる」
名残惜しそうにシアを見てから部屋を出て行った
「ちょっと前まではナターシャから離れなかったのに成長したもんだ」
レイが笑いながら言う
それだけ安心して暮らせているのであれば喜ばしいことだ
「シアもあっという間に成長すると思うよ?」
「それは寂しいな…でもそうなる前に2人目つくりゃ問題ないか?」
あまりにも自然に零される言葉にドキッとする
「…いいの?」
「何が?」
「2人目…とか」
「2人でも3人でも俺はいいぞ?お前に似た女の子なんて最高だな」
考えただけでも楽しいのだとその目が言っていた
家族が増えることを当たり前のこととして受け入れているレイに救われる
「…お前がそういう言い方するってことは前世が絡んでるんだろうけど…この国では基本的に子供は宝だ」
「宝…?」
「ああ。血がつながってようがそうでなかろうが、子供を大事にするし子供が一人の家庭も少ない」
確かに町で見かけるのも複数の子供連れが多い
「カルム達みたいに子供が産めなくても孤児院の子どもを複数引き取って大切にするのが普通だな。まぁ貴族や王家は別だけど」
そういえばナターシャさんが孤児院で長く暮らす子供は少ないと言っていたのを思い出す
それでも引き取られないまま成人を迎える子も一定数はいるようだけど
「どうしても女の体に負担がかかるから2-3人産んで、あとは孤児院から引き取ってるのも珍しくない。その辺はサラサの希望に合わせるよ」
当たり前のように告げられると自然に喜びが湧いてくる
「ありがとレイ」
「感謝するのは俺の方だ」
当たり前のように言って口づけられる
普通とは少し違うけど暖かい家族がここにある
その家族は少しずつ増えていくのだと思える幸せをかみしめていた
シアが産まれて10日を過ぎると私の体調も元に戻ってきてベッドの上の方が苦痛になってきた
「そういや今日の昼飯から作るって?」
「うん。ナターシャさんが買い物してきてくれる」
「久々のサラサの飯か。楽しみだな」
そう言ったレイは本当に嬉しそうだった
「ナターシャさんも上達してるでしょ?」
「ああ。でも俺にとって一番うまいのはサラサの作ったものだな」
どこまでも甘やかしてくれるようだ
それが少しくすぐったい
少しの間ゆっくり話をしてから動き出す準備を始めた
レイがシアを抱き上げ2人で下に降りるとマリクが駆け寄ってくる
「マリクおはよう」
「おはよ!シア見てる」
出産前に用意していた揺りかごにシアを寝かせるとマリクがすぐそばに陣取った
シアもマリクの差し出した手の指を握りしめている
「マリクも立派なお兄ちゃんだな」
カルムさんが言う
「シア弟?」
「同じようなもんだな。しっかり守ってやれよ?」
「うん。シア守る」
マリクは嬉しそうに笑った
「…いっそこのまま一緒に住むか?今さらお前らいなくなったら依頼行くの怖いかも」
レイが笑いながら言う
「確かに今の状態が当たり前になりつつあるからな。俺も2人だけ残して依頼に行くのは怖い」
カルムも笑い出す
正直私もそう思う
ナターシャさんとマリクに助けられたり救われたりしてる部分はかなり大きい
「二世帯住宅みたいにしたら面白そう」
「二世帯住宅?」
聞き返されてこの世界にその概念がないことを思い出す
この世界では基本的には結婚したら家を出る
介護の為に親を引き取ることはなく代わりに新たな子どもを引き取るという
そのため婚姻している複数の世帯が同居することはまずない
「えっとね…一部だけ共有しながら2つの家族が同じ家に住む感じ」
「一部って?」
「玄関とかキッチン、あとはリビングなんかもそうかな?1階と2階で分けるか共有部分を中心にして左右に分けるのが多いかな」
「へぇ面白そうだな」
「…今と変わんねぇ気がするけどな」
「「確かに」」
そろった声に3人で笑いあう
「マジで考えてみるか?」
「どうせならもう少し町に近い方がいいな」
「チビが遊べるスペース含めてリビングを広めにして…トータやアランが泊まる部屋だろ。あとは…」
カルムさんとレイはかなり具体的に案を出し始めた
買物から帰ってきたナターシャさんもすぐに仲間に入って話が進んでいく
食事の準備をしながらダイニングキッチンのイメージまで次々と言い合っている始末だ
その日のうちに当然のように一緒に住むことは決まり、土地が決まればそのまま着工されることになった
家具類は私が作る為、それ以外にかかる費用は2/3をカルムさんたちが、残りを私たちが支払うことになった
「どうぞ」
答えると扉はすぐに開く
「シア起きた?」
マリクが寝室に入ってくるとシアが手足をバタつかせた
自分と遊んでくれる人と分かっているのだろうか?
「起きてるわよ。マリクが来てくれてうれしいみたい」
マリクはシアの頬をプニプニとつつく
自分より小さく弱い存在が気になるらしく、マリクはかなりの時間をシアのそばで過ごしていた
「ここにいたのかマリク。ママが呼んでたぞ?」
「…行ってくる」
名残惜しそうにシアを見てから部屋を出て行った
「ちょっと前まではナターシャから離れなかったのに成長したもんだ」
レイが笑いながら言う
それだけ安心して暮らせているのであれば喜ばしいことだ
「シアもあっという間に成長すると思うよ?」
「それは寂しいな…でもそうなる前に2人目つくりゃ問題ないか?」
あまりにも自然に零される言葉にドキッとする
「…いいの?」
「何が?」
「2人目…とか」
「2人でも3人でも俺はいいぞ?お前に似た女の子なんて最高だな」
考えただけでも楽しいのだとその目が言っていた
家族が増えることを当たり前のこととして受け入れているレイに救われる
「…お前がそういう言い方するってことは前世が絡んでるんだろうけど…この国では基本的に子供は宝だ」
「宝…?」
「ああ。血がつながってようがそうでなかろうが、子供を大事にするし子供が一人の家庭も少ない」
確かに町で見かけるのも複数の子供連れが多い
「カルム達みたいに子供が産めなくても孤児院の子どもを複数引き取って大切にするのが普通だな。まぁ貴族や王家は別だけど」
そういえばナターシャさんが孤児院で長く暮らす子供は少ないと言っていたのを思い出す
それでも引き取られないまま成人を迎える子も一定数はいるようだけど
「どうしても女の体に負担がかかるから2-3人産んで、あとは孤児院から引き取ってるのも珍しくない。その辺はサラサの希望に合わせるよ」
当たり前のように告げられると自然に喜びが湧いてくる
「ありがとレイ」
「感謝するのは俺の方だ」
当たり前のように言って口づけられる
普通とは少し違うけど暖かい家族がここにある
その家族は少しずつ増えていくのだと思える幸せをかみしめていた
シアが産まれて10日を過ぎると私の体調も元に戻ってきてベッドの上の方が苦痛になってきた
「そういや今日の昼飯から作るって?」
「うん。ナターシャさんが買い物してきてくれる」
「久々のサラサの飯か。楽しみだな」
そう言ったレイは本当に嬉しそうだった
「ナターシャさんも上達してるでしょ?」
「ああ。でも俺にとって一番うまいのはサラサの作ったものだな」
どこまでも甘やかしてくれるようだ
それが少しくすぐったい
少しの間ゆっくり話をしてから動き出す準備を始めた
レイがシアを抱き上げ2人で下に降りるとマリクが駆け寄ってくる
「マリクおはよう」
「おはよ!シア見てる」
出産前に用意していた揺りかごにシアを寝かせるとマリクがすぐそばに陣取った
シアもマリクの差し出した手の指を握りしめている
「マリクも立派なお兄ちゃんだな」
カルムさんが言う
「シア弟?」
「同じようなもんだな。しっかり守ってやれよ?」
「うん。シア守る」
マリクは嬉しそうに笑った
「…いっそこのまま一緒に住むか?今さらお前らいなくなったら依頼行くの怖いかも」
レイが笑いながら言う
「確かに今の状態が当たり前になりつつあるからな。俺も2人だけ残して依頼に行くのは怖い」
カルムも笑い出す
正直私もそう思う
ナターシャさんとマリクに助けられたり救われたりしてる部分はかなり大きい
「二世帯住宅みたいにしたら面白そう」
「二世帯住宅?」
聞き返されてこの世界にその概念がないことを思い出す
この世界では基本的には結婚したら家を出る
介護の為に親を引き取ることはなく代わりに新たな子どもを引き取るという
そのため婚姻している複数の世帯が同居することはまずない
「えっとね…一部だけ共有しながら2つの家族が同じ家に住む感じ」
「一部って?」
「玄関とかキッチン、あとはリビングなんかもそうかな?1階と2階で分けるか共有部分を中心にして左右に分けるのが多いかな」
「へぇ面白そうだな」
「…今と変わんねぇ気がするけどな」
「「確かに」」
そろった声に3人で笑いあう
「マジで考えてみるか?」
「どうせならもう少し町に近い方がいいな」
「チビが遊べるスペース含めてリビングを広めにして…トータやアランが泊まる部屋だろ。あとは…」
カルムさんとレイはかなり具体的に案を出し始めた
買物から帰ってきたナターシャさんもすぐに仲間に入って話が進んでいく
食事の準備をしながらダイニングキッチンのイメージまで次々と言い合っている始末だ
その日のうちに当然のように一緒に住むことは決まり、土地が決まればそのまま着工されることになった
家具類は私が作る為、それ以外にかかる費用は2/3をカルムさんたちが、残りを私たちが支払うことになった
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