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38.発作
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バルドは思ってた以上に頑張る子供だった
空いた時間を見つけては作業しようとする
私達は基本的にバルドの意思に任せつつ、無理をしてそうな時は声をかける様にしていた
といっても、その前にマリクたちが構って欲しくて突撃していく事の方が多かったけれど…
そんな中、異変が起きたのはバルドが細工を初めて4日目の夕方だった
「サラサお姉ちゃん!」
リアムが玩具部屋から血相を変えて飛び出してきた
「どうしたのリアム?」
手を引っ張るリアムに向き合うようにしゃがみ込む
「バルドお兄ちゃんが呼んできてって」
「バルドが?」
リアムに手を引かれ玩具部屋へ入るとバルドが床に寝転がっていた
「マリクお兄ちゃんサラサお姉ちゃん呼んできたよ」
「ありがとうリアム」
マリクはそばに来たリアムの頭をなでる
「何かあったの?」
「ここで遊んでたんだけどバルドお兄ちゃんがサラサお姉ちゃんを呼んでって。そう言った後突然寝転がっちゃった」
マリクは心配でバルドを一人にできなかったようだ
「バルド?」
私はそばにしゃがみ込みバルドの顔を覗き込む
青白い顔に脂汗が浮かんでいる
「サラサ姉ちゃ…」
バルドはか細い声で私を呼びながら手を伸ばしてきた
「くるし…」
その言葉に状況を察する
リルにもバルドの病気のことはよくわかっていないようで実際に目にするまで私達にもどんな状態になるかは分からなかったのだ
「マリクとリアムはナターシャさんを呼んできてくれる?」
「「わかった!」」
2人は頷いて飛び出して行った
今の時間ならナターシャさんは馬の世話をしているはずだ
私は床に座りバルドを膝枕する
「ちゃんと伝えてえらいわ」
「約束…した…」
少しでも体調が悪くなったらすぐに言うこと
バルドはその約束をちゃんと守ったのだ
「もう大丈夫よ」
落ち着かせるようにゆっくりそう言いながら微笑んで見せる
小児喘息のような症状なのはすぐにわかった
まだ軽いゼーゼーという呼吸なので一人で我慢していたわけでもなさそうだ
「サラサちゃん何かあった?」
丁度表で軽く運動していたナターシャさんが戻ってきた
「ナターシャさん、今から創造を使うわ」
私がそう告げるとナターシャさんが状況を見て理解してくれたようだ
「マリク、リアムと部屋から枕と毛布を持ってきてくれる?」
「「わかった」」
2人はそのまままた飛び出していった
「バルド、もう少しだけ我慢してね」
「ん…」
私はバルドが頷くのを確認してから、のど元に手をかざして狭くなった気道が広がるイメージを描く
「…楽になった…?」
バルドが不思議そうにつぶやいた
「良かった。でも夕食まで部屋で休んでなさい?」
「うん。サラサ姉ちゃんありがとう」
バルドは素直に頷いて自分の部屋に戻っていった
自分のステータスを確認すると気道拡張のスキルが追加されていた
それを複製しナターシャさんに譲渡する
「ナターシャさんステータス確認して?」
「分かったわ…って何これ?気道拡張?」
ナターシャさんはプチパニックに陥った
「今バルドに使ったスキル。呼吸を楽にするものだからバルドが苦しんでる時に使って。あとでみんなにも渡すわ」
「…相変わらずすごいことができるのね」
ナターシャさんは苦笑する
「ママ持ってきた」
マリクとリアムが戻ってきたのはその直後だった
「バルドお兄ちゃんもう大丈夫?」
「大丈夫よ。サラサちゃん少し休むからご飯の用意手伝ってくれる?」
「「うん」」
2人は嬉しそうに我先にとキッチンに向かって行った
「とりあえずソファまで動ける?」
「大丈夫」
私はゆっくり立ち上がってソファーまで移動した
そしてマリクたちが持ってきてくれた枕と毛布を借りるとすぐ休むことにした
横になった瞬間意識が遠のいていくのが分かる
「ほんと、自分の事は後まわしなんだから…まぁでも、ちゃんと言ってくれるだけいいのかしら?」
ナターシャさんのそんな言葉が聞こえた気がした
空いた時間を見つけては作業しようとする
私達は基本的にバルドの意思に任せつつ、無理をしてそうな時は声をかける様にしていた
といっても、その前にマリクたちが構って欲しくて突撃していく事の方が多かったけれど…
そんな中、異変が起きたのはバルドが細工を初めて4日目の夕方だった
「サラサお姉ちゃん!」
リアムが玩具部屋から血相を変えて飛び出してきた
「どうしたのリアム?」
手を引っ張るリアムに向き合うようにしゃがみ込む
「バルドお兄ちゃんが呼んできてって」
「バルドが?」
リアムに手を引かれ玩具部屋へ入るとバルドが床に寝転がっていた
「マリクお兄ちゃんサラサお姉ちゃん呼んできたよ」
「ありがとうリアム」
マリクはそばに来たリアムの頭をなでる
「何かあったの?」
「ここで遊んでたんだけどバルドお兄ちゃんがサラサお姉ちゃんを呼んでって。そう言った後突然寝転がっちゃった」
マリクは心配でバルドを一人にできなかったようだ
「バルド?」
私はそばにしゃがみ込みバルドの顔を覗き込む
青白い顔に脂汗が浮かんでいる
「サラサ姉ちゃ…」
バルドはか細い声で私を呼びながら手を伸ばしてきた
「くるし…」
その言葉に状況を察する
リルにもバルドの病気のことはよくわかっていないようで実際に目にするまで私達にもどんな状態になるかは分からなかったのだ
「マリクとリアムはナターシャさんを呼んできてくれる?」
「「わかった!」」
2人は頷いて飛び出して行った
今の時間ならナターシャさんは馬の世話をしているはずだ
私は床に座りバルドを膝枕する
「ちゃんと伝えてえらいわ」
「約束…した…」
少しでも体調が悪くなったらすぐに言うこと
バルドはその約束をちゃんと守ったのだ
「もう大丈夫よ」
落ち着かせるようにゆっくりそう言いながら微笑んで見せる
小児喘息のような症状なのはすぐにわかった
まだ軽いゼーゼーという呼吸なので一人で我慢していたわけでもなさそうだ
「サラサちゃん何かあった?」
丁度表で軽く運動していたナターシャさんが戻ってきた
「ナターシャさん、今から創造を使うわ」
私がそう告げるとナターシャさんが状況を見て理解してくれたようだ
「マリク、リアムと部屋から枕と毛布を持ってきてくれる?」
「「わかった」」
2人はそのまままた飛び出していった
「バルド、もう少しだけ我慢してね」
「ん…」
私はバルドが頷くのを確認してから、のど元に手をかざして狭くなった気道が広がるイメージを描く
「…楽になった…?」
バルドが不思議そうにつぶやいた
「良かった。でも夕食まで部屋で休んでなさい?」
「うん。サラサ姉ちゃんありがとう」
バルドは素直に頷いて自分の部屋に戻っていった
自分のステータスを確認すると気道拡張のスキルが追加されていた
それを複製しナターシャさんに譲渡する
「ナターシャさんステータス確認して?」
「分かったわ…って何これ?気道拡張?」
ナターシャさんはプチパニックに陥った
「今バルドに使ったスキル。呼吸を楽にするものだからバルドが苦しんでる時に使って。あとでみんなにも渡すわ」
「…相変わらずすごいことができるのね」
ナターシャさんは苦笑する
「ママ持ってきた」
マリクとリアムが戻ってきたのはその直後だった
「バルドお兄ちゃんもう大丈夫?」
「大丈夫よ。サラサちゃん少し休むからご飯の用意手伝ってくれる?」
「「うん」」
2人は嬉しそうに我先にとキッチンに向かって行った
「とりあえずソファまで動ける?」
「大丈夫」
私はゆっくり立ち上がってソファーまで移動した
そしてマリクたちが持ってきてくれた枕と毛布を借りるとすぐ休むことにした
横になった瞬間意識が遠のいていくのが分かる
「ほんと、自分の事は後まわしなんだから…まぁでも、ちゃんと言ってくれるだけいいのかしら?」
ナターシャさんのそんな言葉が聞こえた気がした
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